月別アーカイブ: 2016年5月

K地での過去の結婚飛行の日

K地でのクロオオアリとムネアカオオアリりの結婚飛行の日について、過去のデータをあげてみます。

データは 降水量 最高気温/最低気温 の順
気象観測地は 標高728m(長野県上伊那郡飯島町)
K地は 標高835m〜874m

2010年6月
4日 0.5mm 24.0/10.3
5日 0mm 25.8/11.2
6日 0mm 26.1/9.8
7日 0mm 25.0/14.0
8日 0mm 21.4/14.2 K地での最初の採集 偶然で採集数は少ない

2011年6月
4日 0mm 25.0/11.2
5日 0mm 23.0/13.1
6日 0mm 26.1/11.4
7日 0mm 20.6/12.7
8日 0.5mm 24.5/12.3 採集日 多数採集

2012年6月
10日 1.0mm 25.1/15.2
11日 0mm 24.6/15.7
12日 2.5mm 20.0/14.0
13日 0mm 21.9/13.9
14日 0mm 28.0/15.5 採集日 多数採集

2013年
5月
27日 0mm 24.0/13.6
28日 0.5mm 21.1/13.0
29日 6.5mm 16.4/12.9
30日 5.5mm 22.8/15.2
31日 0mm 26.5/13.9 この日がピークであったのではと推察
6月
1日 0mm 22.9/13.2
2日 0mm 24.1/13.8
3日 0mm 25.8/13.5
4日 0mm 27.5/13.2
5日 0mm 26.7/12.9 採集日 採集できず
6日 16.5mm 22.3/14.3 採集日 採集できず

2014年
5月
27日 35.0mm 22.6/12.8
28日 0mm 26.2/11.4 採集日 採集できず
29日 2.0mm 24.8/12.1 採集日 採集できず
30日 0mm 27.6/11.6 採集日 採集できず
31日 0mm 29.3/13.2 ピークはこのあたりと推察
6月
1日 0mm 31.9/13.2 ピークはこのあたりと推察
2日 0mm 30.2/14.3 採集日 多数採集
3日 0mm 30.1/15.1 採集日 多数採集できたが、午前中のみ この日の飛行はなし

2015年5月
23日 0mm 23.1/ 7.4
24日 0mm 24.0/10.9
25日 0mm 24.4/11.4
26日 0mm 27.5/11.2 この日から多数飛行あり
27日 0mm 30.0/10.9 採集日 午前中から多数採集

クロヤマアリの女王アリの引っ越し

5月20日、塚山公園へクロオオアリの観察に出かけていた時、たまたまある場所のクロヤマアリの行列に異変があることに気づきました。小さなアリが大きなアリを咬んで誘導していたのです。すぐにその大きなアリが女王アリだと気づきました。早速女王アリを採集し、その辺りの行列を見ていると、丸まった働きアリを働きアリが運んでいました。

クロヤマアリが仲間を運んでいた

クロヤマアリが仲間を運んでいた

次から次へと一方方向へ仲間をくわえて運んでいきます。白い小さなものも運んでいます。卵のかたまりのようです。
その先には、巣がありました。

巣らしい

巣らしい

働きアリをできるだけ多く採集しました(45匹でした)。

ところで、クロヤマアリは、一つの巣に複数の女王アリがいるということですので、その内の1匹の引っ越しを見かけたのでしょう。引っ越し元を探してはみましたが、それは分からなかったのですが、かなりはなれているようでした。
先日の採集旅行中の5月24日、これもまたたまたま、同じような引っ越しに出会いました。今度も、女王アリが働きアリに咬まれて誘導されていたのです。ただ、往復している働きアリの数が少なかったので、働きアリは7匹しか採集できませんでした。
二度まで、女王アリの引っ越しをたまたま見つけたのですから、クロヤマアリの女王アリの引っ越しは、かなり頻繁に行われているのかも知れません。

5月20日採集のクロヤマアリのコロニー 働きアリ45匹

5月20日採集のクロヤマアリのコロニー 働きアリ45匹 飼育ケースはリトルアンテシェルフ 5月29日撮影

5月24日採集のコロニー 働きアリ7匹 5月29日撮影

5月24日採集のクロヤマアリのコロニー 働きアリ7匹 飼育ケースはクリアーカップ入りコンクリート製人工巣 5月29日撮影

ミカドオオアリの羽アリを採集

先日採集旅行に出かけた際、ミカドオオアリの羽アリも採集していました。
5月23日と24日にそれぞれ別の場所で採集しましたが、いずれも昼間に野外のトイレの中にいました(その内1ヶ所では、前日群がるように多数いたそうです)。
それらの羽アリを、25日に別の場所で採集した組み合わせで、一緒にすることにしました。
サンプル1:M16001 女王アリ1と雄アリ1
サンプル2:M16002 女王アリ1と雄アリ1
サンプル3:M16003 女王アリ1と雄アリ1
サンプル4:M16004 女王アリ1と雄アリ2
その結果ですが、29日までに全てのサンプルで雄アリが1匹死に、サンプル4では雄アリが1匹生き残りました。女王アリは全て翅を付けたままで生き残っています。

ND4_2069

5月29日撮影 死亡した雄アリは取り除いています

以上からは、ミカドオオアリの場合、クリーンカップという環境の中では、異なる巣から飛び立った羽アリ同士であっても、交尾はしないことがわかります。

庭のクロオオアリがついに飛翔

5月27日午後3時45分ごろ、庭にあるクロオオアリのB巣を見ると、有翅雌アリが巣から出ているのに気づきました。

巣から出て葉の上にいた

巣から出て葉の上にいた

あたりを見ると、雄アリがたくさん巣から出ていました。

雄アリがたくさんいた 15時53分撮影

雄アリがたくさんいた 15時53分撮影

まだ飛び立つ様子がないので、塚山公園へクロオオアリの様子を見に行き、再び帰ってきて見ると、更にたくさんの羽アリが出ていました。

羽アリが増えていた 16時56分撮影

羽アリが増えていた 16時56分撮影

有翅雌アリもたくさん出ていました。

コンクリートブロックの上にも 17時35分撮影 

コンクリートブロックの上にも 17時35分撮影

この間、飛び立つ羽アリが増えていきました。

飛び立った直後の有翅雌アリ

飛び立った直後の有翅雌アリ 18時10分撮影

何者かに襲われた有翅女王アリを見つけました。頭部と翅の一部を失っています。地上で襲われたようです。小さなアリの餌食になっていました。

ND4_2020

午後6時を過ぎても結婚飛行は続いていましたが、さすがに7時過ぎには、羽アリが少なくなりました。

賑やかだった巣口周辺だが、この時には羽アリの姿がなかった 19時04分撮影

賑やかだった巣口周辺だが、この時には落ち着きを取り戻していた 19時04分撮影

とは言え、まだ外に出たままの女王アリがわずかにいました。

巣に戻るのでしょうか それともこれから飛び立つのでしょうか 19時04分撮影

巣に戻るのでしょうか それともこれから飛び立つのでしょうか 19時04分撮影

ところで、結婚飛行に飛び立った何匹もの新女王アリを目視で見送りましたが、かなり高いところまで上っていき、やがては見えなくなりました。風は緩やかに東へと吹いているようで、その影響なのか、心持ち東へと飛んでいく新女王アリが多いように感じました。
自宅の庭と自宅前の道や空き地を注意深く何回も探しましたが、翅を落として歩く新女王アリはいませんでした。かなり遠くへ飛んで行ったのかも知れません。新女王アリを採集することができなかったのは残念でしたが、自宅の庭で結婚飛行が観察できたのは幸運でした。
ところで、結婚飛行が行われたのは、B巣だけでした。A・C・D巣では羽アリは出ていませんでしたので、巣ができてから日が浅く、まだ羽アリが生まれていないのかも知れません。

この日に羽アリの全部が飛び立ったのではなさそうです。後日、再び同じ巣からの結婚飛行が見られそうです。

ムネアカオオアリの巣がある所

ムネアカオオアリは、一般的には朽ち木等に営巣するとされています。

生きた朽ち木に営巣している大家族 結婚飛行直前の様子

生きた朽ち木に営巣している大家族 結婚飛行直前の様子

これも枯れていない木 巣口の穴が見える

これも枯れていない木 巣口の穴が見える

地中に埋もれかけている切り株 木は死んでいる

地中に埋もれかけている切り株 木は死んでいる

しかし、営巣できる朽ち木は限られていると考えられます。実際、木の中に巣がない場合もよく見かけます。下の写真の巣は、道路脇の割れ目に巣口があります。

割れ目に巣口がある

割れ目に巣口がある

先日の採集旅行の際に、ムネアカオオアリの巣を探す機会がありました。腹部をいっぱいに膨らませて歩いているムネアカオオアリの跡をつけてみました。

ND4_1592

たどり着いたのは、まだそんなに大きくなっていない木の麓で、重なった落ち葉の中の空洞に入って行きました。これは朽ち木の中とは言えない状況で、地中に巣があるように思えました。

落ち葉を取り払っています

落ち葉を取り去っています

他の巣も見つけました。今度は石の横に巣口があり、こちらも地中へと巣穴が延びているように思えました。

落ち葉で巣口が覆われている

落ち葉で巣口が覆われている

落ち葉を取り去ってみると

落ち葉を取り去ってみると

早すぎた採集旅行

5月22日、長野県飯田市で今年初めて最高気温が30℃を越えました。長野県にお住まいのある方から、何日か前にクロオオアリの羽アリが出たと言う話を聞き、例年の採集場所でもそろそろ羽アリが出るのではないかと思い、片道500kmの採集旅行に出かけました。22日に出発し、23日の早朝に現地入りしました。
23日も天気予報では暑くなることが予想されました。ですから、この日を期待していたわけですが、もし、23日に採集できなければ、次の24日までが採集可能な天気でした。けれども、もっと心配していたことは、この例年の採集場所で、既に結婚飛行のピークが終わっていたら、とても面倒になることでした。
22日に羽アリが出たとしたら、23日の早朝にはまだ地上を歩いている脱翅新女王アリがいるはずですが、見当たりませんでした。例年観察している巣を覗いてみると、わずかに羽アリの姿がありました。

雄アリが見える

雄アリが見える 11時38分撮影

まだ、これから結婚飛行が望めそうです。
2ヶ所のいつもの施設の方々に、今年大きなアリを見たかをお尋ねしましたが、まだのようでした。また、除草をされている方2人にもお聞きしましたが、大きなアリに気づかれていないようでした。これで、この辺りでは、まだ結婚飛行は行われていないと断言できそうです。
23日の夕刻、ただ1つの巣だけでしたが、羽アリが巣から出ているのを見つけました。

05231624

羽アリが巣から出ていた 16時24分撮影

今回の採集旅行では、まとまった数の脱翅新女王アリの採集はできませんでした。以下にわずかに採集できた新女王アリを記しておきます。

クロオオアリ
B16001〜B16003 M地点 23日9時20分ごろまでに採集
B16004〜B16005  S地点 23日10時ごろ
B16006      M地点 23日16時30分

ムネアカオオアリ
R16001 S地点 24日11時ごろ
R16002 寿司店の駐車場 24日12時45分

この他に、クロオオアリの巣を1つ崩しました。確かにまだ多数の羽アリがいました。雌雄羽アリともに20数匹を採集しました。

庭のクロオオアリの羽アリが出てきた

5月21日、庭のクロオオアリの巣から羽アリが出ていました。この巣は、今年の4月5日のブログ「クロオオアリが出てきた」の巣で、B巣になります。

たくさんの雄アリが出てきていました

たくさんの雄アリが出てきていた 16時02分撮影

ただ、巣口から地上に出ているのは雄アリだけのようです。有翅雌アリは、巣穴から外を伺っていました。

巣の中に有翅雌アリの姿があった

巣の中に有翅雌アリの姿があった 16時08分撮影

しばらく観察しましたが、雌雄ともに飛翔するところは見ませんでした。

現有のクロ・ムネアカ共存コロニー

現有しているクロオオアリとムネアカオオアリの共存コロニーは、3つあります。そのデータを列挙しておきます。

①B131015
2013年6月5日採集 女王アリはクロオオアリ クロオオアリの働きアリ3匹 ムネアカオオアリの働きアリ4匹 幼虫5 卵1

B131015+R

B131015+R

このコロニーの女王アリは、創巣期に、子どもを蛹になるまでは育てることができましたが、羽化の介助が出来ませんでした。そのため、働きアリがいませんでした。(詳しくは「異常な個体差」を参照 関連ブログ:「一度も産卵しない女王アリ」「単独女王アリと異種間の養子縁組?」)

②B15044
2015年5月27日採集 女王アリはクロオオアリ クロオオアリの働きアリ0匹 ムネアカオオアリの働きアリ4匹 幼虫7 卵25

B15044+R

B15044+R

2015年8月31日に、働きアリ2匹、幼虫1、卵5のところへ、女王アリが死亡したムネアカオオアリのコロニーR15012の繭4個、幼虫16、卵2を加えました。

③B15053
2015年5月27日採集 女王アリはクロオオアリ クロオオアリの働きアリ0匹 ムネアカオオアリの働きアリ4匹 幼虫7 卵25

B15053+R

B15053+R

2015年8月20日に、働きアリ0匹、繭有りのところへ、女王アリが死亡したムネアカオオアリのコロニーR15003の繭2個、幼虫25、卵6を加えました。

クロオオアリの行列の起因は?

これまでもブログでクロオオアリの行列を取り上げてきました。
そう多くない数のだいたい10匹程度の数で巣から出ていきます。先頭のアリだけが、リズミカルに一瞬立ち止まって、腹部を地面等に着けながら進んでいきます。後に続くアリは、右往左往しながらもついていきます。

先頭のアリの後について進む集団

先頭のアリの後について進む集団

行き先は決まっていたようで、木に登り始めました

行き先は決まっていたようで、木に登り始めました 総勢16匹でした

その木はヤマモモの木でした

その木はヤマモモの木でした

ところで、餌探しをしているクロオオアリに蜜を与え、腹部が十分に膨らむと、巣へと帰っていきます。その帰路の様子を観察していると、「リズミカルに一瞬立ち止まって、腹部を地面等に着けながら進んで」いるわけではありません。草などが生えていない平坦な道だと、かなりのスピードで歩いていきます。そして、巣に戻ってしばらくすると、同じアリらしいアリが出てきて、先ほどの蜜の場所へ行きます。その往路ですが、先ほどの帰路とは少しずつ違っています。小さなアリのことですから、少しの道の違いも大きな違いです。それを数回繰り返しましたが、その間、仲間のアリを引き連れて、蜜のある場所へ行くことはありませんでした。このアリの場合は、単独行動でした。
上記2つのアリの行動の違いは、どのように説明すると良いのでしょうか。興味深いことです。

クロオオアリの巣がたくさんあることを確認

昨日訪れた塚山公園に再び行き、新たに4ヶ所のクロオオアリの巣を見つけました。
巣は下の写真のような南向きの斜面にありました。

ND4_0743

ND4_0862

斜面は芝や笹のような植物で覆われていて、よく刈り込まれていました。
4ヶ所の内3ヶ所は目視で見つけ、1ヶ所は蜜を与えて後を追って見つけました。

蜜を与えたところ 帰路を追いました

蜜を与えたところ 帰路を追いました

この1ヶ所は、見ただけでは到底見つけられない所に巣口がありました。

芝等で巣口が覆われている

芝等で巣口が覆われている

昨日見つけた巣と合せると7ヶ所になりますが、見つけた巣の密度から考えると、他にも巣がたくさんあると考えられます。結婚飛行が行われると、まとまった数の女王アリが採集できる可能性がありそうです。

ところでその結婚飛行ですが、自宅のクロオオアリはまだ飛び立ってはいません。数年前に自宅のクロオオアリの巣に羽アリがいたことを確認してはいるものの、今年は、羽アリを出す大きなコロニーがなくて、結婚飛行が行われなかったのかも知れません。ですから、自宅近くのこの塚山公園のクロオオアリの巣に、まだ羽アリがいるかどうかは大変関心のあることです。塚山公園のクロオオアリの巣にも羽アリがいれば、この地域では、確かにまだ結婚飛行が行われていないことになります。

さて、目視で見つけた巣の一つは、巣口が大きく開いていました。結婚飛行の前になると巣口が大きく開くので、まだ、巣の中に羽アリがいる可能性がありました。
しばらくの間、巣口をじっと覗き込んで見ていると、巣の中から出てきはしませんでしたが、羽アリの女王アリと雄アリの姿がかろうじて見えました。

翅のある女王アリの姿が見える

翅のある女王アリの姿が見える

同じ巣の別の巣口には雄アリがいた

同じ巣の別の巣口には雄アリがいた

岡山市内でトゲアリを発見

1966年8月14日、私が中学生の頃、岡山市内の矢坂山で、女王アリを含むトゲアリとクロオオアリが混在するコロニーを採集しています。そのころは、インターネットがなかったこともあり、トゲアリについての情報は少なく、まだ未記録のものだと考えて、トゲアリが一時的社会寄生をするのではないかという見解を、「昆虫と自然」誌10月号に投稿しています。
それから半世紀、2016年5月13日に、岡山市内の塚山公園で、トゲアリを見つけました。
この公園の北側斜面のあまり日射のない場所で、トゲアリの働きアリが歩道を横切って歩いていました。辺りを探したところ、2ヶ所巣になっているかもしれない木を見つけました。2ヶ所の場所は、近くでしたので、同じコロニーの可能性があります。

穴を出入りしていた

穴を出入りしていた

こちらは大きめの木で、クヌギのようだ

こちらは大きめの木で、クヌギのようだ

クロオオアリを探しに

先日は、自宅周辺でクロオオアリを探しましたが、見つけることはできませんでした。もっとも、徹底していたわけではなく、自宅の南側半面を歩きましたので、北側も探す必要があります。それは、また後日にすることにして、今日は、まず、矢坂山へ出かけました。

矢坂山全景

矢坂山全景

矢坂山は、万成石で有名な桜色の花崗岩が採掘されている場所にあります。中学生の頃、よくこの山へクロオオアリを採集しに出かけました。現在の自宅からは、直線距離にして北北東7km弱の所にあります。
案の定、配水場に向かう入り口近くの道で、クロオオアリを見つけました。

ND4_0590

この後、城跡に通じる散策道でもクロオオアリを見つけましたが、棲息の密度はかなり低いようでした。

次に訪れたのは、自宅から直線距離で西北西1.6kmのところにある岡山県総合流通センター内の塚山公園です。
駐車場近くの平地に花をつけている木があり、ハナムグリがいました。

ハナムグリ

ハナムグリ

クロオオアリも来ていないかと探していると、わずかながら1〜2匹見つけました。

クロオオアリもいましたが、その数はわずかでした

クロオオアリもいましたが、その数はわずかでした

その後、小高い丘へ上がってしばらくしてから、クロオオアリの巣を見つけました。

やっと見つけた最初の巣

やっと見つけた最初の巣

ちょうど、何匹かが隊列を組んで出かけるところでした。

隊列を組んで出かけるところ

隊列を組んで出かけるところ

少し離れたところの大きめの木の幹に、他のアリに混じってクロオオアリがいました。

ND4_0723

そこで、この木から降りてくるクロオオアリの後をつけてみました。
すると、少し離れたところの大木の根元近くに巣があることが分かりました。

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2つ目に見つけたクロオオアリの巣

この丘の上の平地には、他にもクロオオアリの巣がありそうです。
再び下に降りてしばらくしてから、広場の横で3つ目のクロオオアリの巣を見つけました。近くに3つの巣穴がありました。同じコロニーの巣なのでしょう。

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この塚山公園は、自宅から近く、岡山市が管理している無料の公園でもあるので、クロオオアリの観察には適していることが分かりました。もっと多くの巣を見つけるために、次は蜜を持って行くことにします。

トゲアリの女王アリの共存 その後

2013年に、ムネアカオオアリのコロニーNESTCON1025に寄生したトゲアリの女王アリT130913-01のコロニーでは、トゲアリの女王アリが2匹共存しています。共存を始めたのは2015年からです。
その経緯についてですが、2015年9月4日、T130913-01の姿が見つからず、死んでしまったと思い、2015年採集のトゲアリの女王アリT15082806を入れました。
ところが、T130913-01は、その時、見つけられなかっただけで、生きていたのです。それで、1つのコロニーに女王アリが2匹になったのです。
下の写真は2016年5月11日現在の様子です。今も仲良く暮らしています。

1つのコロニーに2匹のトゲアリの女王アリ

1つのコロニーに2匹のトゲアリの女王アリ

前述ブログ
2匹のトゲアリが寄生」(2015/10/17)

トゲアリのコロニーの遺族同士の合併・共存は可能か

2014年採集のトゲアリの女王アリT140908-26(クロオオアリSIMSMA01079に2014年9月14日侵入)は、昨日の時点で女王アリのみ生き残っていました。また、同じく2014年採集のトゲアリの女王アリT140908-27(クロオオアリSIMSMA01047に2014年9月14日侵入)は、既に死んでおり、トゲアリの働きアリ2匹と、クロオオアリの働きアリ1匹のみでした。
また、2014年採集のトゲアリの女王アリT140903-01(クロオオアリNESTCON01005に2014年9月4日侵入)は、昨日の時点で既に死んでいて、トゲアリの働きアリが13匹、クロオオアリの働きアリが25匹、残されていました。

そこで、T140903-01の遺族のコロニーの中に、女王アリT140908-26を入れ、更にT140908-27の遺族のトゲアリの働きアリ2匹とクロオオアリ1匹を入れることにしました。もし成功すれば、トゲアリの女王アリとトゲアリの働きアリ、そしてクロオオアリの働きアリが共存する新たなコロニーができるのです。

まず、T140908-26を入れてみました。すると、巣全体に違和感があるようでしたが、T140908-26は、クロオオアリの働きアリやトゲアリの働きアリから攻撃を受けませんでした。T140908-26は、長い間忙しく人工巣内を歩き回っていました。
次に、T140908-27の遺族のトゲアリの働きアリを1匹入れました。すると、クロオオアリ1匹に触角を咬まれました。しばらくして放され、それからは何回かクロオオアリと口移し(栄養交換)をしていました。更にもう1匹のトゲアリの働きアリを入れたところ、今度は攻撃を受けるところは見ませんでした。
最後に、T140908-27のクロオオアリを入れてみました。初めの内は、この入れたクロオオアリが腹を曲げて蟻酸を吹きかけていましたが、相手にされず、やがて口移しをしていました。それからしばらくして、3匹のクロオオアリに肢を咬まれ、はり付け状態になっていましたが、後に放されていました。

そして、次の日、本日ですが、侵入者・被侵入者ともに死骸はなく、受け入れ・受け入れられたように見受けられました。トゲアリの女王アリは落ち着いており、その回りにはトゲアリの働きアリが取り囲んでいました。トゲアリの働きアリの数は全部で15匹、クロオオアリの数は26匹になりました。

トゲアリの働きアリが、異母のトゲアリの女王アリの回りに集まっていた

トゲアリの働きアリが、異母のトゲアリの女王アリの回りに集まっていた

新たにコロニーの女王アリとなったT140908-26ですが、この女王アリには、昨年2015年の11月14日時点で、トゲアリの働きアリは無く、クロオオアリの働きアリが3匹、幼生虫は無し、でした。ですから、これからのトゲアリのコロニーとしての繁栄は期待できないかも知れません。

仮称「ミシマアリ」のコロニーに女王アリがいた

昨年(2015年)の11月4日、電力引き込み塔に設置されていたもう使っていない配電盤を取り外していた時、中型のアリのコロニーを見つけました。人工的なプラスチックの中に巣がありました。

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2015年11月4日撮影

このアリは、木を伐採した際に、木の中の空洞に棲んでいるところを何回か見ていましたが、種名はまだ特定できていません。特徴としては、腹柄節が1節で、働きアリの大きさにかなりの差があります。ここでは、同定できるまで仮に「ミシマアリ」と名付けます。
採集した時、体が大きいアリが何匹かいましたが、それらを大型の働きアリだとすれば、他にそれらより更に大きな女王アリがいるはずでした。しかし、そのような大きさのアリは見つけられませんでした。そこで、採集したアリたちの中に女王アリが含まれているかどうかについては、確証が持てないでいました。

ところが昨日、実体顕微鏡を覗いていると、繭がありました。

繭がいくつか見られる

繭がいくつか見られる

更に、卵があることに気づきました。

卵があった

卵があった

卵があると言うことは、女王アリがいると考えられます。そこで更に調べてみると、翅を落とした跡がある個体を見つけました。

翅を落とした跡がある

翅を落とした跡がある

これが仮称「ミシマアリ」の女王アリです。大きな働きアリとあまり大きさに差がありませんでした。これまで、女王アリが発見できなかったのは、肉眼で見ていたからのようです。

ルリアリのその後 まだ子育てが続いている

2013年5月17日にコロニーを採集したルリアリの家族は、2015年7月13日に気付いた時には、女王アリを失っていました(ブログ「ルリアリの女王アリの死」)。その時、多数の卵があったのですが、その卵がやっと大きな幼虫になったようです。

卵や蛹は見当たらない

卵や蛹は見当たらない

その間10か月が経過しています。蛹になって羽化するまでには更に時間が必要ですから、1年近くかけて成虫になることになります。ちなみに、卵が全くないのは、既に昨年女王アリが死んでいることを考えれば納得できることです。

よく見ると雄アリがいました。

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2匹か3匹ぐらいです。雄アリがいたことについては、昨年2015年の9月20日のブログ「ルリアリの家族に雄アリが」で取り上げています。その時の雄アリがまだいるのでしょう。

2015年10月27日採集の種名不明の女王アリが産卵

昨年2015年の10月27日に、庭で小さいながらも女王アリらしいアリを採集し、女王アリかどうかの確認をしないまま、飼育していました。アンテモジュールにカット綿を敷き、時々水分を補給し、蜜を入れていました。長い間、産卵することもなく、冬の間も生き続けていました。

ところが、今日2016年5月10日、改めて見ると、頭部の下の方に何かがあるようです。実体顕微鏡で見ると卵が3個ありました。産卵を始めたようです。

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この女王アリの種名はまだ分からないでいます。

ムネアカオオアリの女王アリの同居

直前ブログの「クロオオアリの複数の女王アリは同居できるか 結果」と同様に、ムネアカオオアリでも実験をしています。ただ、こちらは1例だけですから、結論を出すことはできません。

11月29日に、ムネアカオオアリSIMSMA01070(2011年7月27日採集 働きアリ8匹 幼生虫無し)とムネアカオオアリSIMSMA01055(2011年7月27日採集 働きアリ4匹 幼生虫無し)を合併させました。
翌日の30日には、働きアリが2匹死んでおり、他に2匹が瀕死の状態でした。2つのコロニーは、互いに交わろうとしない様子で、腹柄節近辺まで黒い女王アリの回りには4匹が、普通色の女王アリの近辺には3匹が集まり、1匹がどっちつかずでいました。その後の経過は、

12月1日:女王アリは2匹とも元気だが喧嘩気味 働きアリ3匹死亡(残り7匹)
12月13日:女王アリ2匹健在 働きアリ2匹死亡(残り5匹)
1月4日:上記同様

そして5月現在は、女王アリは2匹ともに生きていて、働きアリが3匹と卵が30個以上あります。

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5月10日撮影

女王アリ2匹は馴染んでなく、先日、口と口を噛み合って喧嘩をしているところを見ました。

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卵は1つの団子状になって多数あるのですが、大切にされていないように見えました。

 

クロオオアリの複数の女王アリは同居できるか 結果

女王アリがいるクロオオアリのコロニー同士は、同居できるのでしょうか。できそうにないと思えますが、検証してみることにしました。

2015年11月27日
sample1:B14115とB14118 働きアリは合わせて8匹
sample2:B14069(働きアリ7匹)とB14127(働きアリ6匹)

2015年11月28日
sample3:B14072(働きアリ10匹 幼虫3)とB14031(働きアリ9匹 幼虫1)とB14057(働きアリ17匹 幼虫0)とB14048(働きアリ7匹 幼虫0)

2015年11月30日
sample4:B14034(働きアリ4匹 幼生虫無し)とB14133(働きアリ13匹 幼虫10)

以上、幼生虫を含んだコロニー構成はまちまちですが、4つのサンプルを用いました。

経過
11月30日
sample1:女王アリ健在 働きアリ8匹死亡なし
sample2:女王アリ健在 働きアリ13匹死亡なし
sample3:4匹の女王アリの内1匹が死亡(薄い色の働きアリ5匹が取り囲んでいる) 働きアリ7匹死亡

12月1日
sample1:女王アリ健在 働きアリ8匹死亡なし
sample2:女王アリ健在 働きアリ13匹死亡なし
sample3:女王アリ2匹目が瀕死 働きアリ1匹死亡 全体にまとまりがない
sample4:女王アリ健在 働きアリ1匹死亡 まとまりがない

12月2日
sample3:働きアリ5匹死亡

12月13日
sample1:女王アリ1匹瀕死 働きアリ8匹死亡なし
sample2:女王アリ健在 働きアリ13匹死亡なし
sample3:女王アリ2匹目が死亡(残り2匹) 働きアリ2匹死亡(残り33匹)
sample4:女王アリ健在 働きアリ1匹死亡(残り15匹)

1月4日
sample1:女王アリ1匹死亡(残り1匹) 働きアリ2匹死亡(残り6匹)
sample2:女王アリ1匹死亡(残り1匹) 働きアリ13匹死亡なし
sample3:女王アリ残り2匹 働きアリ1匹瀕死(残り33匹)
sample4:女王アリ健在 働きアリ1匹死亡(残り14匹)

以上の経過で真冬を迎えました。そしてほぼ半年後の5月現在の様子ですが、次のようです。

sample1:女王アリ1匹 働きアリ5匹 卵9個(いずれも窪んでいる)

sample1

sample1

sample2:女王アリ1匹 働きアリ12匹 卵4個

sample2

sample2

sample3:女王アリ1匹 働きアリ25匹 卵10数個

sample3

sample3

sample4:女王アリ1匹 働きアリ13匹 繭1 幼虫3 卵20以上

以上の結果を踏まえてまとめてみると、4サンプルに限ってのことですが、当初の予想通り、クロオオアリの女王アリは複数匹で同居することができないと言えます。
ちなみに働きアリについては、所属コロニーを識別することはできませんが、以下の推移から、

sample1:8匹→5匹
sample2:13匹(7+6匹)→12匹
sample3:43匹(10+9+17+7匹)→25匹
sample4:17匹(4+13匹)→13匹

生き残った女王アリとは別のコロニーの働きアリも「受け入れられた」「または1部受け入れられた」「または受け入れられることもある」と言えます。