日別アーカイブ: 2016年5月29日

クロヤマアリの女王アリの引っ越し

5月20日、塚山公園へクロオオアリの観察に出かけていた時、たまたまある場所のクロヤマアリの行列に異変があることに気づきました。小さなアリが大きなアリを咬んで誘導していたのです。すぐにその大きなアリが女王アリだと気づきました。早速女王アリを採集し、その辺りの行列を見ていると、丸まった働きアリを働きアリが運んでいました。

クロヤマアリが仲間を運んでいた

クロヤマアリが仲間を運んでいた

次から次へと一方方向へ仲間をくわえて運んでいきます。白い小さなものも運んでいます。卵のかたまりのようです。
その先には、巣がありました。

巣らしい

巣らしい

働きアリをできるだけ多く採集しました(45匹でした)。

ところで、クロヤマアリは、一つの巣に複数の女王アリがいるということですので、その内の1匹の引っ越しを見かけたのでしょう。引っ越し元を探してはみましたが、それは分からなかったのですが、かなりはなれているようでした。
先日の採集旅行中の5月24日、これもまたたまたま、同じような引っ越しに出会いました。今度も、女王アリが働きアリに咬まれて誘導されていたのです。ただ、往復している働きアリの数が少なかったので、働きアリは7匹しか採集できませんでした。
二度まで、女王アリの引っ越しをたまたま見つけたのですから、クロヤマアリの女王アリの引っ越しは、かなり頻繁に行われているのかも知れません。

5月20日採集のクロヤマアリのコロニー 働きアリ45匹

5月20日採集のクロヤマアリのコロニー 働きアリ45匹 飼育ケースはリトルアンテシェルフ 5月29日撮影

5月24日採集のコロニー 働きアリ7匹 5月29日撮影

5月24日採集のクロヤマアリのコロニー 働きアリ7匹 飼育ケースはクリアーカップ入りコンクリート製人工巣 5月29日撮影

ミカドオオアリの羽アリを採集

先日採集旅行に出かけた際、ミカドオオアリの羽アリも採集していました。
5月23日と24日にそれぞれ別の場所で採集しましたが、いずれも昼間に野外のトイレの中にいました(その内1ヶ所では、前日群がるように多数いたそうです)。
それらの羽アリを、25日に別の場所で採集した組み合わせで、一緒にすることにしました。
サンプル1:M16001 女王アリ1と雄アリ1
サンプル2:M16002 女王アリ1と雄アリ1
サンプル3:M16003 女王アリ1と雄アリ1
サンプル4:M16004 女王アリ1と雄アリ2
その結果ですが、29日までに全てのサンプルで雄アリが1匹死に、サンプル4では雄アリが1匹生き残りました。女王アリは全て翅を付けたままで生き残っています。

ND4_2069

5月29日撮影 死亡した雄アリは取り除いています

以上からは、ミカドオオアリの場合、クリーンカップという環境の中では、異なる巣から飛び立った羽アリ同士であっても、交尾はしないことがわかります。