上記タイトルについての前回のブログ(6月13日)から1か月半が経ちました。
本件での研究テーマである創巣期の巣穴については、結局のところ、新女王アリは巣穴を造らず、地上で子育てをしたために観察できませんでした。
人工巣の中では、危険を感じる場面がなく、落ち着ける環境だったのが、新女王アリが巣穴を掘らなかった主因だったのでしょう。大小どのようなコロニーでも言えることですが、空気が動かない閉じた環境の中では、子育てを安心してしています。今回の場合の創巣期の環境も同じだったと言えます。
上記タイトルについての前回のブログ(6月13日)から1か月半が経ちました。
本件での研究テーマである創巣期の巣穴については、結局のところ、新女王アリは巣穴を造らず、地上で子育てをしたために観察できませんでした。
人工巣の中では、危険を感じる場面がなく、落ち着ける環境だったのが、新女王アリが巣穴を掘らなかった主因だったのでしょう。大小どのようなコロニーでも言えることですが、空気が動かない閉じた環境の中では、子育てを安心してしています。今回の場合の創巣期の環境も同じだったと言えます。
シリアルナンバーR15016は、昨年採集したムネアカオオアリの女王アリで、7月4日の時点で、働きアリと繭が無く、幼虫2匹は死んだ状態で卵が12個ありました。子育てに失敗しているのですが、それでも女王アリは元気に生きています。
このコロニーに、同日、大繁栄しているムネアカオオアリのR120614-04から繭12個、幼虫7匹を加えました。
7月7日に見ると、働きアリはまだ生まれていませんでしたが、2個の繭が羽化しかけていました。いずれも、触角が繭から出て動いています。ですが、女王アリは何もしないでいました。通常なら、働きアリがいない時は、女王アリが羽化を介助するはずです。
そこで、この2つの繭を取り出して、B130605+R(クロオオアリの働きアリ3匹とムネアカオオアリの働きアリ5匹のクロオオアリのコロニー)とR15055(働きアリ3匹のムネアカオオアリのコロニー)のそれぞれを入れました。
すると、どちらのコロニーも羽化の介助を始めました。
ところが、しばらくしてB130605+Rの方を見ると、羽化したのですが、左中脚と後脚の途中から先がなくなっています。
R15055の方はと言うと、羽化したにも関わらず死んでしまったようです。
やがて、この羽化したばかりの大型の働きアリは、食べられていました。
今日7月8日の朝、B130605+Rの方で羽化した働きアリはいなくなっていました。死骸もないようで、完全に食べられたようです。ちなみにR15055の方の働きアリの死骸は残っていました。
R15016は、羽化の介助が出きないことがわかりました。それでも、過去のデータを見ると、昨年の7月に働きアリが1匹だけ羽化しています。ですが、この1匹は、極く短い期間に女王アリに食べられています。羽化に何らかの問題があったためにその働きアリが殺されたのか、それとも他の要因なのかは分かりません。
関連ブログ:
「異常な個体差」(2013年9月24日)
アリを飼育している部屋で、時々はオオアリが這っているのを見かけます。世話をしている時に気づかない内に逃げ出しているようなのですが、今日7月7日は、まとまった数のムネアカオオアリが部屋の中を歩いていました。後で数えてみると少なくても9匹だったのですが、歩いている箇所から考えて、同じ巣から出てきたようです。いったいどこの巣から出てきたのでしょうか。
人工巣をよくよく注意深く見ても、シリコン栓などが外れたりしているわけでもなく、巣を特定することができません。たまたま1匹がある人工巣のアンテシェルフの側面を歩いていましたので、その巣の中に入れましたが、この巣ではなかったらしく、攻撃を受けてしまいました。
そこで、逃げ出した巣を特定するために、ペットボトルの蓋に蜜を入れて、歩いているアリの近くに置いてみました。しばらくすると、その蜜を見つけ、吸い始めました。
3匹も集まりましたが、初めに蜜を見つけたアリが呼んできたわけではなく、他の2匹も歩いていて偶然に見つけました。
そうこうしている内に、別のところで、1匹のムネアカオオアリが、死んだ仲間を銜えて歩き始めました。自分の巣に戻るつもりでしょうか。後を追えば、巣が特定できるはずです。
ところが、人工巣を置いていない収納棚の前まで来ると、死体を置いて立ち去りました。このムネアカオオアリの巣は特定できませんでした。
蜜に集まったムネアカオオアリですが、その内に腹部がいっぱいになり、歩き始めました。ところが、慌てているわけではないのですが、右往左往しているようで、行き先が定まらないのです。自然界では、帰路は、往路とは少し違っていても、また途中迷うことがあっても、巣のある方向へと進みます。下の写真は、かなり時間が経った頃撮影したものですが、蜜の近くで、蜜を吸った者同士で栄養交換をしています。本来なら、巣に戻って栄養交換をするところです。結局、自分の巣へは戻っていないのです。
なぜ、部屋の中では自分の巣に戻れないのでしょうか。このことは、今回の観察が初めてではなく、これまでも気づいてはいましたが、今回更にはっきりしてきました。
よく言われていることは、アリは腹部から道しるべになる液を出して歩き、そのしるべを頼りに巣に戻ると言われていますが、こうした室内での行動を見ると、そうではないように思えます。
アリの道について、探求する価値がありそうです。
今日、7月6日の岡山の最高気温は35.2℃でした。14時半から15時頃にかけて、6月14日のブログ〈クロオオアリの行動範囲とアリの「高速道路」〉で触れているコンクリートの道を見ましたが、クロオオアリの姿はありませんでした。1日で最も暑かったと思われる時間帯であり、その上、この「高速道路」には日かげがないため、クロオオアリは庭の外にある主要なえさ場には行かずに、そのほとんどが巣の中に留まっていたのでしょう。
庭の外の以前クロオオアリの姿を見た道とクヌギの木を見ても、クロオオアリの姿はありませんでした。
ところが、ほんの少し先を歩いていると、クロオオアリの姿がありました。何かの塊に食いついています。その塊はカブトムシの体の一部でした。
このカブトムシは雌で、腹部が無くなっていましたが、まだ触角が動いていました。その近くに前ばねの一部のようなものがありました。このカブトムシは、どうやら鳥に襲われたようです。まだ、かすかに生きているのですから、先ほど襲われたのでしょう。近くを見ると、雌のカブトムシの死骸が更に2体、雄のカブトムシの死骸が1体、雌雄のクワガタムシの死骸がそれぞれ1体ずつありました。
自宅の庭の横の道から、このクロオオアリがいる場所までの途中には、クロオオアリはいませんでしたので、このカブトムシに食いついているクロオオアリは、自宅の庭からやって来たクロオオアリではないように思えました。そこで、カブトムシの体の一部を銜えて立ち去るクロオオアリの後を追ってみました。
案の定、自宅の庭に向かう山道ではなく、林の中へ入っていきました。しばらくは追いましたが、茂みの中のため追いきれませんでした。
巣の場所は見つけられませんでしたが、近くにクロオオアリの巣がありそうです。もしそうならば、庭の外の自宅の極く近くに、庭のクロオオアリとは違う巣があることになり、新たな発見になります。
そこで、そのことを確かめるために、次のようなことをしてみました。
午後4時前には、以前と同じようにクロオオアリが「高速道路」を盛んに行き来するようになっていましたので、1匹捕まえました。大型の働きアリでした。それから、先ほどのクロオオアリがいたカブトムシの死骸の所へ行き、死骸ごとクロオオアリを捕らえました。中型の働きアリが2匹でした。
次に、これらの働きアリを一緒にしてみました。激しく咬み合うことはありませんでしたが、カブトムシの死骸の所にいた1匹の働きアリが、庭にいた大型の働きアリに、時々、一方的に、攻撃を仕掛けていました。
これで、両者は別のコロニーに属していることが実証されたわけで、庭の外の自宅に極く近いところに、クロオオアリの巣があることが分かりました。これは、待望の大発見です。
参照ブログ:「近くにクロオオアリを探して」(2016年5月7日)
今年の6月16日のブログ「人工巣でムネアカオオアリの雄アリが生まれていた」で、雄アリが働きアリから攻撃を受けている様子について触れていますが、6月24日にも別のコロニーで同じような光景を目にしました。
このコロニーは、昨年の2015年に新女王アリを採集した家族(S/N:R15071)で、雄アリが1匹生まれていました。
その雄アリが、24日には同じ巣の働きアリに攻撃されていたのです。この度も6月16日と同じように、翅を咬まれていました。ただ、今回は働きアリ1匹だけが攻撃をしていました。
このこととは関係がないと思いますが、その2日前の22日に女王アリが死にかけているのに気付いていました。
24日以降、雄アリのその後を観察していませんでしたが、本日7月3日に見てみると、雄アリは死んでいて、その死体が残っていました。ちなみに、女王アリも死んでいました。
雄アリが2度まで、巣内で働きアリから攻撃を受けているのを見たわけですが、このことは、自然界でも行われているのではないかと思われます。6月16日にせよ、24日にせよ、自然界では既に結婚飛行が済んでいる時期です。結婚飛行の時期を過ぎても、例外的にまだ巣に残っている雄アリがいることもあるでしょう。そんな時、雄アリは働きアリに攻撃され、殺されてしまうのでしょう。
今年の4月21日のブログ「2年目のアンテネスト」(2015年採集クロオオアリ)で紹介したコロニーのその後の様子です。
まだ2年目ですから、それほど大きなコロニーではないのですが、巣穴(トンネル)をとてもたくさん掘っています。この様子から自然界では、2年目でもかなり長い巣穴が掘られているように思われます。
先月の6月15日のブログ「やっと翅を落とした女王アリが産卵」でふれた女王アリの翅が、全て落とされていました。
また、幼生虫も増えて育っていて、卵が21個、幼虫が6匹になっていました。