月別アーカイブ: 2017年8月

猛暑日の地中の温度

昨日8月23日は、既に下旬に入っていながら、岡山市で36℃を越える暑さになりました。
たぶん、7月からそうしていたと思うのですが、蟻を飼育している部屋では、昼間はエアコンをつけています。私がその部屋にいない時は28℃設定で、部屋にいる時は25℃に設定しています。

ところで、庭のクロオオアリですが、大変暑い時間帯はほとんど姿を見ません。この時間帯は、巣の中で過ごすことが多いのでしょう。そこで、地中の温度を測ってみることにしました。

熱電対Kタイプのデジタル温度計を使います。この温度計には2つの端子があり、同時に2ヶ所の温度を測ることができます。

デジタル温度計

上の写真の左側の端子に繋ぐセンサプローブは、先端の金属部分が25cmあり、こちらを地中に差し込みます。また、右側のセンサプローブで地表の気温を測ります。

測定の様子 12時0分撮影

測定場所としては、南東向きの斜面の芝生が生えているところにしました。上の写真の左上に写っているのが地中の温度を測っているセンサプローブで、右に見えるのが芝生の葉や茎の陰になっている箇所の地表の温度を測っているセンサプローブです。
正午の測定で、地温が28.8℃、地表が36.8℃を示しています。地中25cmの地点の方が、地表より8℃温度が低いことが分かります。

先程、蟻を飼育している部屋の気温を私がいない時に28℃に設定していると書きましたが、どうやらこの設定温度でまんざら的外れではなかったようです。もっとも、25cmよりも深い地中の温度は、更に低くなると考えられますが……。

蟻飼育専用棚を作る

これまでは、蟻の飼育容器を置く棚としては、本棚を使っていましたが、置き切れなくなってきました。そこで、蟻飼育専用の棚を作ることにしました。
材料は1×4材のみを使います。
6月19日に完成させ、8月4日には更に棚の数を増やしました。

8月15日撮影 この1つの棚に176コロニーが収まっている

上段に見えるのが人工巣アンテシェルフ(最上段左端のみアンテネスト)、中段の白いケースが対照実験中の飼育容器、下段は飼育中の本年度採集のクロオオアリとムネアカオオアリのコロニーです。この1つの棚に、176コロニーが収まりました。

2017年度 オオアリの死亡率と子育て成功率

2017年に採集したクロオオアリとムネアカオオアリの女王アリの死亡率と子育て成功率をまとめてみました。
ここで言う子育て成功率とは、ある決まった定義はないのですが、ある期間までに働きアリが1匹でも誕生したコロニーの割合とします。

サンプル:
5月20日・21日 蒜山高原採集 クロオオアリ31匹 ムネアカオオアリ4匹
5月30日 駒ケ根市内採集   クロオオアリ158匹 ムネアカオオアリ48匹
計:クロオオアリ189匹 ムネアカオオアリ52匹

飼育環境:
◎ 小型のふた付き透明カップの中にカット綿を敷き、常に湿った状態(結露などで透明カップの側面等が湿る程度)を保ちます。
◎ 糖分等の餌は与えず、水だけを摂取する状態にしておきます。
◎室温での飼育となります。

調査日:7月31日

〈クロオオアリの場合〉
死亡率:12%
子育て成功率(死亡した個体数を含む):72%
子育て成功率(死亡した個体数は含まない):82%

〈ムネアカオオアリの場合〉

死亡率:6%
子育て成功率(死亡した個体数を含む):75%
子育て成功率(死亡した個体数は含まない):80%

※注 実際に採集した女王アリの数はサンプル数よりも多く、子育てが順調な個体をお分けしたりしていますので、わずかですが死亡率は少し下がり、子育て成功率は少し上がると考えられます。