日別アーカイブ: 2018年4月28日

移植のクロオオアリを発見

今年移植したクロオオアリが生き延びているか心配していましたが、今日、その働きアリを見つけました。
今年移植したクロオオアリのコロニーの働きアリは、昨年生まれた1世代目で、体が小さいのです。そのため、従来から庭にいるクロオオアリの働きアリとは、見て区別がつきます。
その体が小さいクロオオアリが、網の目状のフェンスの鉄線を伝って歩いていました。急いで蜜を持ってきて、フェンス沿いのキウイフルーツまでたどり着いていたこのアリの近くに蜜を垂らしました。

蜜を吸うクロオオアリ 16時36分撮影

やがて、このアリは帰路につきましたが、歩ける道が網目状の鉄線であったため、歩く方向が自由が利かず、とても迷っていました。随分と時間をかけて、フェンスの下のセメントブロックにたどり着きますが、それからも迷っていました。結局、セメントブロックの向こう側へ行き、フェンスのこちら側からは見えなくなり、見失ってしまいました。この働きアリの移住先を特定することはできませんでした。
それから少しして、今年移植したと思われる小さめの働きアリを見つけました。腹部が膨らんでいなかったのと、見失ってあまり時間が経っていなかったので、おそらく先程の働きアリではないでしょう。今度は、フェンス下の鉄製の枠の上を歩いていました。

次に見つけた移植後のクロオオアリ 蜜を吸っている 17時13分撮影

このアリの帰路を追ってみました。この鉄製のフェンスから地面に下りるには、特定の場所を通らなくてはなりません。

フェンスは1.8mごとに一箇所の、鉄の柱でコンクリートブロックに繋がっている

上の写真のように、フェンスとコンクリートブロックは鉄の柱で繋がっていますが、柱の間隔は1.8mもあります。目が見えないアリにとっては難所です。案の定、同じ場所を行ったり来たりしていました。けれども、しばらくしてこの難所を伝ってコンクリートブロックまで下りてくると、今度は迷うことなく歩き、巣へと戻っていきました。その巣は、3月28日に移植したBK17014(その時点で13匹の働きアリ)でした。

右寄り中央少し下の黒く写っている箇所に巣口があった

しばらくして、働きアリが1匹だけで巣から出てきました。これまでの経験から、小さなコロニーの場合は、おそらく先程のアリであっても、仲間を連れて出てこないのです。このアリは、先ほど蜜を見つけた方向へと道しるべも付けずに早走りしましたが、巣の近くの例の難所を通らず、コンクリートブロックの上を主に走っていました。これでは、方角は正しいのですが、蜜のあるフェンスの枠には到達しません。間もなく、そのアリは、移植した巣のある場所に置いていた御影石の板の上に上がりました。そこで、そこに蜜を垂らしました。

御影石の板の上で蜜を飲むクロオオアリ 17時23分撮影

腹部が一杯になると帰り始めましたが、今度は、コンクリートブロックに沿って這わしている散水ホースの上を主に使って走り、とても早く巣へと戻っていきました。

巣口を確かめているところ 人間には巣口はとても分かりづらく、そこに穴があるようには思えないほど 17時24分撮影

ところが意外に思えたのは、とても早足で戻ってきたのに、巣口を確かめた後もすぐには巣の中に入らず、巣口の極く周辺を歩き回っていたことです。この行動は、3回目に蜜を吸って戻ってきた時も見られました。巣がある場所をよりはっきりと覚える行動なのかも知れません。

 

クロナガアリの女王アリを採集

4月26日の午後、クロナガアリの女王アリを採集しました。昨年は、4月16日に採集していて、その様子については同日のブログ「小型種の女王アリを採集」で触れています。その時は、トビイロシワアリの女王アリではないかと思っていましたが、その翌日、ブログをご覧になった方からクロナガアリだと教えていただきました。
今年もクロナガアリの女王アリが採集できればと思っていましたので、何日も前から気にかけながら庭を見ていました。昨年は午後3時頃でしたが、今年は午後3時少し前に、初めの1匹を見つけました。庭中を探してみましたが、集中して見つかるのは庭の南西向きの場所でした。特定の範囲内に複数の女王アリが歩いていたのですから、その近辺に巣があるはずです。巣があれば、羽アリが群がっていると思われますので、発見しやすいはずですが、どうもそのような個所はありませんでした。そこで、ふと、思い浮かんだのは、南西向きの庭のフェンス越しの外です。案の定そこでも、クロナガアリの女王アリが歩いていました。

フェンス越しの外 道の横には山林がある

ただ、ここでも巣らしい場所は見つけられませんでした。この日、フェンス越しの外も含めて、12匹のクロナガアリの女王アリを採集しました。
ところで、午後4時頃、上の写真の中央辺りですが、そこで2匹のクロナガアリの女王アリが巣穴を掘っているのを見つけました。そのすぐ手前でも、こちらは1匹で巣穴を掘り始めているのを見つけました。もう早くも巣穴を堀り始めだした女王アリがいたのです。
次の動画は、2匹のクロナガアリの巣穴掘りを撮影したもので、3カットを1つに編集しています。
1カット目:16時1分から1分間
2カット目:16時2分から1分間
3カット目:16時53分から3分間
動画では、0分42秒の時点で、片方の女王アリがもう片方の女王アリを巣穴から引きずり出す場面があります。
2分32秒の時点では、片方の女王アリがもう片方の女王アリを巣穴から引きずり出そうとしています。
3分18秒・4分6秒・4分17秒の時点で、同じ片方の女王アリが巣穴から土を運びだす場面が見られます。

2匹で巣作りを始めるクロナガアリの女王アリ 5分間の動画

『アリハンドブック』(文一総合出版)のクロナガアリの項では、「単女王性のアリではあるが、コロニー創成時に複数の新女王が集まって、一緒に巣づくりを始めることが少なくない」と書かれています。この動画は、この記述を裏付けています。
2匹の関係を見ていると、堀り始めたころは、2匹が同じ程度に巣穴を掘っているように見えますが、仲が良いとは言えないようです。やがて、片方が頭部を上にして巣穴に潜り、じっとしています。人間に置き換えれば、ずるいって感じでしょうか。もう1匹が、それでも巣穴を掘り続けようとしているようですが、巣穴の中に潜っている相手が邪魔になったのでしょう。この動画には写っていないのですが、何度も潜っている相手を引き出そうとしていました。
2匹はこんな関係ですから、巣穴を最後まで掘り続けることができるのでしょうか。

4月28日の様子 17時02分撮影

上の写真は2日後の28日の様子です。女王アリの姿はありませんが、未だに巣穴口が塞がれていません。この穴の中に女王アリがいるのかどうか、近い内に調べてみようと思います。

なお、今回必要以上にクロナガアリの女王アリが採集できましたので、ご希望の方には有償とは致しますが、お分け致します。こちらから、お問い合わせ下さい。

今回採集したクロナガアリの女王アリ