日別アーカイブ: 2019年5月5日

クロオオアリの子育て 室温の違い

2014年3月8日のブログ「クロオオアリの子育て 着々と」で、クロオオアリのコロニーの子育ての様子に触れていますが、そのコロニーと今飼育しているクロオオアリのコロニーの子育てを比較してみましょう。
そのブログでは、「比較的大きな家族のクロオオアリ」の様子に触れています。そして、そのコロニーは、「冬の間も書斎においていましたので、20℃前後の室温の中にいる時間が多くありました」とあり、「2月下旬に繭が1つあることに気付いていました。幼虫がもう大きくなっているようでした。……繭の数が増え、巣全体で4こになっていました」とあります。
ところで、今飼育しているクロオオアリの中で、よく繁栄しているコロニーの一つにS/N:B120614があります。このコロニーの女王アリは、2012年の6月14日に採集していますので、創巣から7年目を迎えようとしています。このコロニーの現時点での様子は下の写真のようです。

人工巣アンテシェルフの各段にたくさんの幼虫がいる 下段から3段目の中央右の黄色をしている塊が卵の塊
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たくさんの幼虫がいて、卵もあります。幼虫は昨年孵化して越冬したものと思われます。また卵はこの春になって生まれたものです。けれども、繭は見当たりません。
2014年の場合の3月8日からすると、今日の5月5日はおよそ2ヶ月も経っているのですが、それでもまだ蛹(繭)になっていません。この成長の違いはいったいどこから来るのでしょうか。
ちなみに今飼育している部屋は、2014年の時とは違って、冬も春も暖房をしていませんでした。そこで考えられることは、飼育していた部屋の室温の違いです。おそらくそれが、成長の違いとなって現れたのでしょう。

飼育中のトゲアリの様子 2019年5月

昨年の10月11日のブログで、その時点で飼育していたトゲアリの3つのコロニーについて触れていますが、昨年寄生に成功したトゲアリも含めて、その後の様子について触れておきます。

① S/N:T140906-40
最も良く繁栄しているコロニーです。トゲアリの女王アリを2014年9月6日に採集し、同年9月11日にクロオオアリの巣S/N: NESTCON01024(2012年6月14日に新女王アリを採集)に侵入させました。したがって、寄生してから4年8ヶ月程経過したことになります。
今年の1月29日から特製の飼育ケースに入れ、後日アンテグラウンドⅡ型に繋げています。幼生虫が多数見られます。

S/N:T140906-40

② S/N:T130921-09
順調に繁栄することが期待できるコロニーです。飼育器の水槽の中に置いたアクリルと木で作った巣箱の中にコロニーが入っています。この巣箱には、閉ざされた空間があり、側面の1つの穴からのみ出入りできるようになっています。トゲアリの女王アリを2013年9月21に採集し、同年10月3日にクロオオアリの巣S/N:NESTCON01030(2011年6月8日に新女王アリを採集)に侵入させました。したがって、寄生してから5年7ヶ月程経過したことになります。幼生虫が多数見られます。

S/N:T130921-09

③S/N:T140906-03
働きアリが少ないコロニーです。これまでは、上述のアクリルと木で作った巣箱の中には入らず、巣箱の下の土とのすき間で暮らしていましたが、今年になって巣箱に入りました。トゲアリの女王アリを2014年9月6に採集し、同年9月10日にムネアカオオアリの巣S/N:NESTCON01027(2012年6月14日に新女王アリを採集)に侵入させました。したがって、寄生してから4年8ヶ月程経過したことになります。幼生虫がいるかどうかは確かめられませんでした。

T140906-03

④S/N:T180919
昨年新たに寄生に成功したトゲアリの女王アリ(S/N:T180919)とクロオオアリのコロニー(S/N:B15002)です。(「たった1例のトゲアリの寄生を試みる」等を参照)
B15002の巣がある人工巣リトルアンテシェルフを小型水槽の中に入れています。

人工巣を小型水槽の中に入れている

人工巣の中では、多数のクロオオアリの幼虫が見られます。

クロオオアリの幼虫が育っている

トゲアリの女王アリも健全のようです。腹部がよく膨れています。既に産卵が始まっているのかも知れません。

トゲアリの女王アリの腹部がよく膨らんでいる