日別アーカイブ: 2019年5月10日

帰路の環境を変えると

庭には幾本も果樹を植えています。冬に果樹の根元の周りに寒肥を撒いておきましたが、そのため果樹の根元の周りの芝が勢いよく繁っていました。そこで、その芝を刈っていました。モモの木の根元の周りを刈っている時、そのモモの木にかなりの数のクロオオアリが来ていました。このクロオオアリは、A巣のアリであることは、以前確かめていました。
そこで、ある実験をしてみようと思いました。帰路の環境を変えてみるのです。そのような場合、クロオオアリは迷わずに帰路につけるのでしょうか。

隣に植えているモモの木 今回実験に使うモモの木も芝を刈る前はこんな様子だった
一部芝を刈ったところ 芝を刈るとこんな風に帰路の環境が変わる
実験に使うモモの木 根元の周囲の芝を刈ったあと
フィールド写真:実験のフィールド 右奥手に実験に使うモモの木がある モモの木から斜面を下ると敷石がある B巣は写真には写っていないが、左手前下にある

初めにモモの木の葉などに蜜を垂らしました。

蜜を吸うクロオオアリ 10時10分27秒撮影

やがて1匹目が帰り始めました。果たして迷わずに巣へと帰れるのでしょうか。

迷う様子もなく斜面を下っていく 10時31分25秒撮影

迷う様子もなく斜面を下っていきました。2匹目も、3匹目も、4匹目も同様に迷う様子はありませんでした。

2匹目 10時31分49秒撮影
3匹目 10時32分56秒撮影
4匹目 10時38分06秒撮影

10匹目まで観察しましたが、その全てのクロオオアリが、帰路を迷う様子もなく巣のある方へと進んでいきました。
では、その10匹が全て同じ道を辿って帰っていったかというと、そうではありませんでした。
帰路の途中に敷石があるので、その敷石を目印として観察してみました。本ブログの上から4番目の写真「フィールド写真」に写っている一番手前の敷石をA、次の奥手の敷石をB、更に次の奥手の敷石をCとすると大体の帰路の経路を次のように分けることができました。

A:3番目と7番目のクロオオアリ
B:4・6・8・10番目のクロオオアリ
C:5・9番目のクロオオアリ

敷石Aの場合 写真は7番目に帰路についたクロオオアリ
敷石Bの場合 写真は4番目に帰路についたクロオオアリ
敷石Cの場合 写真は5番目に帰路についたクロオオアリ

以上の観察から次のことが言えそうです。
① クロオオアリの場合、いつもの餌場からの帰路では、帰路の環境が変わっても巣のある方へと迷うことなく帰ることができる。
②クロオオアリの場合、いつもの餌場からの帰路では、その辿る道筋は個体によって違っている。