日別アーカイブ: 2019年5月11日

「移植」後のBH18018の生存を確認

今年「移植」したクロオオアリのことが気になっていました。この間、移植した7箇所の全部で、クロオオアリの出入りが見られず、全滅したのではないかと心配でした。
移植の際には、クロオオアリが外部に出ないように飼育ケースの上から透明ケースを被せていましたが、これには別の効用もありました。クロオオアリを襲うものが外部から入ってくるのを防いでいたのです。しかし、4月26日からは、この透明ケースを外していました。
既にその日から、小さなアリが移植場所にやって来るようになっていました。

移植場所に入ってきた小さなアリ 4月26日16時7分撮影
移植場所に入ってきた小さなアリ 4月26日16時14分撮影

その翌日の27日から30日までの4日間は家を空けていましたので、観察ができなかったのですが、その間、この小さなアリがクロオオアリの巣を襲ったかも知れません。

5月6日、花壇に移植したBK17075の箇所を見ると、小さな穴が空いていて、小さなアリが出入りしていました。

11時7分撮影

穴は小さいのですが、クロオオアリが出入りできる大きさがありました。ですが、小さなアリにとっては大きな穴です。この小さなアリの巣穴ではなさそうです。心配していたことが起こったのかも知れません。
そこで、思い切って移植した箇所を掘り起こすことにしました。

11時16分撮影

見た限りでは小さなアリは地中からは出てきませんでした。また、クロオオアリも出てこず、クロオオアリの死骸も見当たりませんでした。結局、ここに移植したBK17075のコロニーがどうなったのかを知ることは出来ませんでした。

それから5日ほど経ち、5月11日、西斜面下に移植した3つのコロニーの安否を確かめることにしました。取り敢ずBH18018から移植箇所を掘り起こすことにしました。少し掘り進んだ時、意外にもクロオオアリの働きアリが1匹、土の中から飛び出してきました。
掘るのを止め、巣穴を特定するために蜜を与えました。

蜜を吸うクロオオアリ 右のどこかに巣穴がある 16時25分撮影

蜜を吸っている間、掘り起こした箇所からできるだけ表面の土を取り除きました。やがて、そのクロオオアリは帰路につきましたが、かなり迷いながらも、巣穴を見つけて地中へと入っていきました。

クロオオアリは巣口を見つけて、巣の中に入っていった 中央より少し右の小さな穴がその巣口 16時37分撮影

巣口が分かったので、巣口の脇に石を置いて、巣口を埋めないように土を戻しました。

巣口は石の右にある 16時50分撮影

他の2つの移植した場所は、もう掘らないでおきました。

ミツバチの巣箱で「移植」

4月22日・23日に引き続き、三度クロオオアリを「移植」することにしました。これまでの移植では、クロオオアリやムネアカオオアリにしてみれば、いわば強制的に「移植」させられたのですが、今回は「自発的」な「移植」になるようにします。

移植するコロニー:B16021 (2016年6月11日に蒜山高原で採集した新女王アリのコロニー 当初から研究用アンテネストで飼育)

B16021 研究用に特別に作製したアンテネストで飼育してきた

この研究用のアンテネストが入る箱を用意します。箱の条件としては、風雨を防ぎ、遮光でき、箱の中が高温にならないもの、外界と出入りできる穴があること、そして簡単に中にアクセスできること、です。そんな条件を満たす箱を作ることもできましたが、ちょうど条件を満たす箱がありました。ミツバチの巣箱です。

ミツバチの巣箱に入れてシリコン栓を外したところ 2019年5月11日15時30分撮影
アンテネストに出入りしやすくするためにアクリルパイプに接して石を置いた 蜜を与え、大きめのプラスチックケースの中には水を入れた 15時35分撮影
蓋を閉めた状態 蓋には4箇所換気口が備わっている 15時37分撮影
直射日光が直接本体に当たらないようにカバーを被せた

このようにして、このコロニーのアリたちがどうするかを観察します。箱の中が気に入れば、3年間過ごしてきたアンテネストでの生活を捨てずに、このままずっと住み続けるかも知れません。そうなればそれでいいのですが、引越すれば「移植」したことになります。その際には、「強制的」な引越よりも、時間をかけて引越先としてより良い場所を探して新居を構えるかも知れません。そうなれば、それに越したことはないでしょう。