日別アーカイブ: 2019年5月19日

引越先を襲われたB16021

5月13日にミツバチの巣箱から引越したクロオオアリのコロニーB16021に異変が起きていました。
5月19日、引越先と思われる箇所の岩の上で喧嘩のようなものが見られました。よく見ると、比較的大きなクロオオアリ2匹が、小さめのクロオオアリを両方から咥えて引っ張っていました。

小型のクロオオアリが大型のクロオオアリに襲われている 10時22分撮影

その意味がよく分からないままでいたところ、足下の芝生の上を、女王アリがとても慌てた様子で走っていました。

女王アリが逃げていく 10時24分撮影

その後を追うように何匹かの働きアリも急ぎ歩いていました。この事態を見て、B16021が他のコロニーのクロオオアリに襲われたのだと分かりました。
逃げてきた女王アリは、踏み石を一つ渡ったところで肢を止めました。

女王アリは写真の場所で止まった 10時25分撮影

もう一度、B16021の引越先だったと思われる場所を見ると大型のクロオオアリが何匹もいました。

岩で陰となっている場所にもクロオオアリがいる 10時25分撮影

女王アリが逃げる際の経路となったと思われる芝生の上を見ると、何匹もの小型の働きアリが取り残されていました。

芝生に取り残されていた働きアリたち 10時26分撮影

ふと何かを運んでいるクロオオアリを見つけました。

10時26分撮影

その運んでいたものを取り上げて見ると、小型のクロオオアリの死体でした。

10時28分撮影

ところで、女王アリが落ち着いた場所には、働きアリが僅かしか付いて来ていませんでした。その内に女王アリの居場所を見つけて、取り残されていた働きアリたちが移動するだろうと思っていましたが、しばらくしてもそのような動きはありませんでした。そこで、1匹ずつ捕らえて女王アリの元へ移動させました。

女王アリの下に集めた状態 働きアリの数が明らかに減っていた 10時48分撮影

この場所では日射が強いため、板を被せました。

10時48分撮影

それから1時間ほどして、まだ板の下にアリたちがいることを確かめ、そのすぐ横の芝を抜き、軽く掘って真砂土で埋めました。

そこに巣を造ることを期待して、この上にも板を被せました。

ところで、B16021を襲ったクロオオアリのコロニーを特定しようと思い、大型のクロオオアリがいる岩に蜜を垂らしました。

蜜で腹部を膨らませたクロオオアリの帰路を追うと、A巣のアリであることが分かりました。A巣はこの場所からはかなり離れているのですが、なぜB16021を襲うことになったのか、思い当たることがありました。それは、B16021が引っ越した後、しばらくして、引越先と思われる極近くの岩の上に蜜を垂らしていました。その蜜をA巣の働きアリが見つけてやって来るようになったと考えられます。
ところで、B16021が逃げる際、あまりにも慌てていたらしく、幼虫などは1匹も持ち出せていません。まだ、巣の中にあるはずですが、A巣のアリが持ち出したり、運んでいるところは見ませんでした。
夜の8時頃に板を持ち上げて様子を見ると、既に1匹もB16021のクロオオアリはいませんでした。真砂土も掘られてはいませんでした。どこかで生き延びられたらよいのですが、それはかなり難しいことです。