今年の5月2日のブログ「トゲアリが作る不思議な模様」で取り上げた模様が、何時頃からか見られなくなっていました。
汚れの色は同じですが、少し渦を巻くような曲線状の汚れはありません。なぜこのように違ってきたのか、その事由は全く分かりません。
今年の5月2日のブログ「トゲアリが作る不思議な模様」で取り上げた模様が、何時頃からか見られなくなっていました。
汚れの色は同じですが、少し渦を巻くような曲線状の汚れはありません。なぜこのように違ってきたのか、その事由は全く分かりません。
今年の6月3日のブログで、
「昨年の9月22日のブログ「たった1例のトゲアリの寄生を試みる」で紹介しているトゲアリの女王アリ(S/N:T180919)が寄生したクロオオアリのコロニー(S/N:B15002)の5月5日以後の様子ですが、卵と孵化してまもない幼虫がいました」
と書きましたが、今日7月28日になって、トゲアリの働きアリの羽化が始まっているのに気づきました。この間、ほぼ毎日観察していましたので、数日前から見落としていたのか、それとも極直近に羽化したのかどちらかでしょう。働きアリを見ると、色がまだ薄いのもいます。
トゲアリの女王アリはじっとはしてなくて、よく歩き回っていました。
働いているトゲアリの働きアリもいました。
トゲアリの働きアリの数を数えて見ると、6匹確認できました。
小学生と中学生の頃、アリを飼育していましたが、2010年になって再びアリを飼育するようになりました。その年の6月8日、たまたまですが長野県のK地点でクロオオアリの新女王アリを1匹採集したのが、再びアリを飼育するきっかけになりました。そして、その翌年の3月に退職したため、2011年からは、アリを飼育する時間が持てるようになりました。
2010年に採集したクロオオアリの女王アリは、5年後の2015年6月27日に死に、現在コロニーは残っていません。
現有の最も古い採集年のコロニーは、2011年に新女王アリを採集したコロニーになります。以下、今年採集のクロオオアリの新女王アリのコロニーを除く、現有のクロオオアリのコロニーを列挙します。
2011年採集 4コロニー(以下シリアル番号と飼育器を記載)
B110608-04 旧型アンテシェルフで飼育 過去大家族 現在小家族
B110608-06 カップ型コンクリート人工巣をグッピー水槽に入れて飼育
B110608-07 リトルアンテシェルフ2個を中型水槽に入れて飼育 大家族
B110608-11 グッピー水槽で飼育
2012年採集 2コロニー
B120614-03 グッピー水槽で飼育
B120614-86 旧型アンテネストとアンテシェルフと百均トレー5段組で飼育 最多大家族
2013年採集 1コロニー
B130617-04 カップ型コンクリート人工巣をグッピー水槽に入れて飼育
2014年採集 1コロニー
B14034+133(同種間共存) リトルアンテシェルフをグッピー水槽に入れて飼育
2015年採集 2コロニー
B15006 虫籠コンクリート人工巣と特製アンテシェルフとアンテグラウンドⅠ型
B15099 カップ型コンクリート人工巣をグッピー水槽に入れて飼育 大家族
2016年採集 4コロニー
B16000 百均簡易飼育器で飼育
B16001 リトルアンテシェルフで飼育
B16012 研究用アンテネストで飼育
B16018 研究用アンテネストで飼育
2017年採集 14コロニー
BH17001+BH17025(同種間共存) カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17007 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17015+BH17009(同種間共存) カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17010 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17023 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17027 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17031 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BK17015 ミニアンテシェルフで飼育
BK17022 百均簡易飼育器で飼育
BK17040 リトルアンテシェルフで飼育
BK17052 リトルアンテシェルフで飼育
BK17055 百均簡易飼育器で飼育
BK17064 百均簡易飼育器で飼育
BK17081 リトルアンテシェルフで飼育
2018年採集 9コロニー
BH18008 百均簡易飼育器で飼育
BH18015 百均簡易飼育器で飼育
BH18019 百均簡易飼育器で飼育
BH18020 百均簡易飼育器で飼育
BH18024 グッピー水槽で飼育
BH18030 グッピー水槽で飼育
BH18034 百均簡易飼育器で飼育
BH18037 グッピー水槽で飼育
BH18040 百均簡易飼育器で飼育
以上37コロニー
こうして見ると、8年以上生きている女王アリがいることが分かります。
また、37コロニーの中で最も大家族になっているのは、2012年採集のB120614-86で、次に大家族になっているのは、2015年採集のB15006です。このことから、コロニーの規模の大小は、結果的には、経過年の長短によらないことが分かります。ただ、故意にそうしたわけではありませんが、飼育環境や餌の量の違いが要因となったかも知れません。ですから、女王アリ(とそのコロニー)には個体差があることは分かっていますが、以上の記録からだけでは、コロニーの規模を個体差だけで説明するには無理がありそうです。
ところで、大家族のB120614-86とB15006に限りませんが、他の大家族のコロニーも含めて、これからを期待していることがあります。それは、羽アリの誕生です。今年も羽アリは生まれないようです。羽アリの誕生の条件については、飼育下での先行事例もあるようですが、検証してみたいと考えています。
クロオオアリでは、創巣から何年か後に羽アリが生まれるのですが、何年後から羽アリが生まれるのかは、私にはまだ分かりませんし、そもそもコロニーの個体差(集団差)や、巣のある場所の周りの環境の差や、気候などが要因となって、一律に何年後からということではないでしょう。
では、何年後かに羽アリが生まれるようになってからは、毎年羽アリは生まれるのでしょうか。このことについては、過去4年間の観察で少し分かってきました。
自宅の庭にはいくつかクロオオアリの巣があるのですが、この内、これまでに羽アリを見たA巣とB巣とC巣で、年次ごとに振り返ってみましょう。
2016年 羽アリを見たのは B巣のみ
2017年 B巣と C巣(わずかに雄アリのみ)
2018年 A巣と B巣と C巣(少数の雌雄アリ)
2019年 A巣のみ
B巣は、庭のクロオオアリのコロニーの中で、一番繁栄していると思っていましたが、3年連続で羽アリが出てきた後、今年は羽アリが出てきませんでした。A巣とC巣は2年連続で羽アリが出てきましたが、C巣では3年目は羽アリが出てきませんでした(C巣は、A巣とB巣と比べて、これまでの観察からコロニーの規模が小さいと思われます)。
以上のことから、いくつか考えられるのですが、次のように考えることもできます。
A巣では、羽アリが生まれるようになってからは2年連続で羽アリが生まれていて、来年も羽アリが生まれるかもしれない。
B巣では、少なくとも3年連続で羽アリが生まれたが、コロニーが終焉をむかえた(女王アリが死んだ等)のかもしれない。
C巣では、コロニーの規模が不安定で、来年以降羽アリが出てくるかわからない。
いずれも、来年以降の各コロニーの羽アリの有無を見なければ、確かなことは言えないようです。
(1)昨年2018年の3月28日のブログ「クロオオアリの同種間共存(1)」で取り上げている「ケース1」のその後について
2018年4月5日には、B15053+R(2016年8月16日女王アリ死)のクロオオアリの働きアリ7匹を加えました。この時、 喧嘩は無く受け入れられました。
2018年4月14日に、BH17022(2018年4月13日女王アリ死)のクロオオアリの働きアリ7匹と幼虫3匹を加えています。
2018年5月1日に、B130605+R(旧名B131015)のクロオオアリの働きアリ6匹とムネアカオオアリの働きアリ1匹を加えました。この時、ムネアカオオアリも受け入れられました。
2018年5月7日に、BK170530-114(2018年5月7日女王アリ死)のクロオオアリの働きアリ2匹を加えました。しかし、受け入れられませんでした。
2019年の02月28日には、既に全滅していました。
(2)昨年2018年の3月28日のブログ「クロオオアリの同種間共存(2)」で取り上げている「ケース2」のその後について
2018年6月3日に、BK170530-195(2018年6月3日女王アリ死)のクロオオアリの働きアリ3匹と幼虫2匹を加えましたが、働きアリは受け入れられませんでした。
そこで、2018年の6月3日時点でのコロニーの構成は、女王アリに働きアリ15匹と幼虫が2匹になります。それから13ヶ月強経った現在の様子は、下の写真のようです。
かなりコロニーが大きくなったことが分かります。
(3)今年2019年の4月19日のブログ「Q+WとWのみのクロオオアリのコロニーを合併」で取り上げている1つ目の例のその後について
4月16日に合併したコロニー
BH170521-025:
2017年5月21日に岡山県蒜山高原で採集した女王アリのコロニー
働きアリ2匹と女王アリ 幼生虫なし
BH170520-001:
同年5月20日同地(採集箇所も同じ)で採集した女王アリのコロニー
昨年女王アリ死 働きアリ多数 幼虫あり
4月16日には、女王アリに、働きアリ多数と幼虫も多数いたことになります。次の写真は、その後の3ヶ月弱の様子です。
人工巣には、写真の部屋の他にもう一つ部屋があり、そこにも幼生虫がいました。写真には写らなかったのですが、卵もありました。一つのコロニーになったようです。
(4)今年2019年の4月19日のブログ「Q+WとWのみのクロオオアリのコロニーを合併」で取り上げている2つ目の例のその後について
4月19日に合併したコロニー
BH170520-015:
2017年5月20日に岡山県蒜山高原で採集した女王アリのコロニー
働きアリ2匹と女王アリ 幼生虫なし
BH170520-009:
同年同日同地(採集箇所も同じ)で採集した女王アリのコロニー
今年3月に女王アリが死亡 働きアリ4匹のみ 幼生虫なし
4月19日には、女王アリに働きアリ6匹のみで、幼生虫はいませんでした。次の写真は、その後の3ヶ月弱の様子です。
4月19日には居なかった幼生虫が育っています。働きアリは、写真には4匹写っていますが、5匹いました。1匹は死んだようです。
少し以前から、ミツバチの蜜枠を屋外に出しています。
一度スムシが付いてしまった蜜枠で、蜜を別のコロニーのミツバチに与えるのが目的です。
既にクロヤマアリはこの蜜枠にやってきていましたが、つい2〜3日前から、クロオオアリもやって来るようになりました。
このクロオオアリの帰路を追ってみると、A巣から来ていることが分かりました。
少し意外なのは、この蜜枠で同時に見かけるのが2匹までだという点です。ここには蜜が豊富にあるにも関わらず、仲間を引き連れて来ないようなのです。その理由として考えられるのは、A巣が比較的遠方にあることや、蜂蜜の嗜好性についてですが、確かなことは分かりません。
B16015は、6月19日に、自宅の庭にミツバチの巣箱を使って移植したクロオオアリのコロニーです。そのコロニーが、引越を始めていました。
気づいたのは6月29日のことで、早朝に庭を見回っていた時のことでした。
先ず目に付いたのは、繭を運んでいるところでした。芝地の斜面を上へと歩いていきます。少しして、そこより下の方を見ると、同じく繭を運んでいる複数のクロオオアリがいました。
これは、6月19日に移植したコロニーが引越をしているところだろうと思い、更に下の方にあるミツバチの巣箱を見ると、ちょうど仲間を咥えて歩いていくクロオオアリがいました。
やはり、B16015が引越を始めているようです。もう一度斜面の上の方を見ると、階段として踏み石にしているコンクリートブロックと芝生の間に繭を引きずり込んでいました。
後に続くクロオオアリを観察しても、同じ場所で繭を引き込んでいきます。この場所に巣を作ったようです。その場所は、コンクリートブロックの階段の上から2番目でした。
幼虫を運び出しているところも見ました。
初めに引越に気づいてから2時間ほど経っても、まだ繭を運び出しているところを見ました。
この引越はいつから始まっていたのか、また何時頃終わりそうなのかが全く分かりませんでした。ミツバチの巣箱の蓋を開けて、人工巣アンテネストを見ると、まだ引越前とほとんど様子が変わりませんでした。引越は始まってまだそれほど時間が経っていないように思えました。
引越の際、女王アリがどのようなタイミングで移動するのかを観察したかったのですが、これ以上時間を取って観察しても、しばらくの間は女王アリの引越に出会せないように思え、9時に観察を終了しました。
それから、1日置いて7月1日、ミツバチの巣箱を開けてみると、アンテネストの中のアリの部屋が空になっていました。
2匹ほどアンテネストの中で働きアリを見ましたが、女王アリも含め引越は既に完了しているようでした。
引越先の巣の場所は分かってはいましたが、巣口を特定するために、コンクリードブロックに接する芝を刈りました。すると、コンクリートブロックの1つの穴が一部むき出しになり、穴の中から働きアリが飛び出してきました。
コンクリートブロックの穴を巣として利用しているのかも知れません。だとすると、上下左右の4面はコンクリートに覆われ、安全が確保されていると思われます。
芝を刈ったために、不用心にも空いてしまった前面の穴を塞がなくてはならなくなりましたが、辺りには穴を塞ぐ材料が無いように思いましたので、真砂土で周囲を覆いました。
1時間ほど経つと、巣口は適度に塞がれていました。
今回の引越先は、意外にも移植した場所からかなり離れた場所でした。
直線距離にして7.8mです。人間にとっては極近くですが、クロオオアリにとっては、たいそうな距離です。上掲の6月29日の8時31分撮影の繭を咥えたクロオオアリの足跡を追ってみると、ミツバチの巣箱から新巣の巣口に到着するまで、17分強かかっていました。直線距離を使って計算するのは必ずしも妥当ではありませんが、分速にするとおよそ46cm/分になります。この数値は、繭を運んでいたとは言え、クロオオアリの通常の歩く早さからするとかなり遅い数字です。その原因として考えられるのは、主に芝生の上を移動したからでしょう。もっとも、巣口から下方にあるコンクリートブロック9箇所については、全て平面を横断していました。これはクロオオアリなりの知恵のようなものなのでしょう。
どのような過程で、こんなにも移動するには不便な場所を見つけ、移動先として選んだのか興味深いところです。
ところで女王アリは引越の過程のどの時点で移動したのでしょうか。今回は、というか今回もなのですが、ついに出会すことはできませんでした。私がひそかに思っていることは、女王アリが引っ越すのは夜間なのではないかということです。鳥に襲われるのが一番危険だと思うのです。