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移植器を作る

昨年も、クロオオアリの庭への「移植」を数多く試みてきました。その移植の方法としては、飼育ケースから半強制的に引越させる方法や、飼育ケースから引越を促す方法をとりました。
表題の「移植器」では、そのいずれの方法でもなく、飼育ケースを地中に埋め、飼育ケースを巣作りのベースとする方法をとります。2016年の4月に行った移植の方法と同じ考えですが、飼育ケースを「移植器」の中に入れて、地中に埋めるところが違います。

移植器の全容。クロオオアリを飼育しているケースを移植器に入れて地中に埋める。シリコンチューブの先が地上に出る。

本体の底には仕切があり、左のスペースに、クロオオアリを飼育している飼育ケースを蓋を取って入れます(ここで使う飼育ケースは、Seriaで売られている小物入れです)。
本体には、3箇所の穴があり、その内、側面の穴の一つには、アクリルバイプを固定し、30cmの長さのシリコンチューブを繋げます。そして、シリコンチューブの先だけを地上に出します。
他の2つの穴は、底面と側面にあり、いずれも地中へと巣穴を拡張する際の出発点になります。上の写真では、チューブの先と2箇所の穴にシリコン栓をしていますが、地中に設置する時には外します。万一、地上に出ているチューブの先から、大量に雨水が入ってきても、その水は底の穴から地中にしみ込み、飼育ケースがある左のスペースには水は入りません。

移植の際に、小規模のクロオオアリのコロニーが、地上から巣穴を掘って巣を作ると、小型のアリに襲われるリスクが高かったのですが、この移植器では、巣の中に外敵が入りにくい構造になっています。これが、この移植器の一番の利点です。
ただ、クロオオアリのコロニーが生き続けるには、活動期間中、蜜源を絶やさないようにしなくてはなりません。庭には、蜜源が少ないため、人工的に蜜を与えることになるのですが、その蜜を働きアリが見つけ易いように工夫しなくてはならないでしょう。

昨年は、3月の下旬にクロオオアリが地上に出てきましたので、4月になってから、この移植器を使ってクロオオアリの移植を試みようと思います。