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清水白桃を害虫から守るクロオオアリ

直前のブログで、クロオオアリの今の食源について触れたばかりですが、先程、新たな発見をしました。清水白桃の樹からクロオオアリが幼虫を咥えて下りてくるところを幸運にも見ることができました。

幼虫を咥えて下りてくるクロオオアリ 15時59分撮影

もちろんこの幼虫は、クロオオアリの幼虫ではなく、何かの昆虫の幼虫です。状況から考えると、この幼虫は清水白桃の樹の何かを食べていたのでしょう。その幼虫をクロオオアリが見つけて、巣へと持ち帰っているのです。食料としてなのでしょう。

幼虫を巣へと運ぶクロオオアリ 16時0分撮影

清水白桃にとって、この限りでは、クロオオアリは益虫と言えそうです。

参照
クロオオアリが運んでいたもの」(2016年4月12日)
ムネアカオオアリも活動中」(2013年4月15日)
クロオオアリ・ムネアカオオアリの食性」(2012年6月12日)

今、食源はどこに?

3月18日にクロオオアリが地上に出てきたことについては、既にブログに書きましたが、気になっていることがありました。それは、食べ物が既に用意されているのかどうかという点です。
庭の外の草地のカラスノエンドウの様子を見ると、今もアブラムシが付いていないように見えます。(昨年はカラスノエンドウにアブラムシが大発生していました。)

昨年3月2日撮影

そこで、アブラムシが付いていないように見えても、3月3日のブログで書いたように、ほんの少しはアブラムシがいるかもしれないと考え、実体顕微鏡で確かめてみました。

実体顕微鏡で調べたカラスノエンドウのサンプル

しかし、1匹もアブラムシを見つけることができませんでした。
昨日も、クロヤマアリは、庭の外の草地に来ていましたが、クロオオアリの姿はありません。

中央に写っているのはクロヤマアリ 3月25日15時10分撮影

クロオオアリをこの庭の外の草地でその年初めて見たのは、昨年は4月5日、2017年は4月1日でした。まだ4月にはなっていませんが、このまま、アブラムシが発生しなければ、今年は蜜源不足になりそうです。

蛇足になりますが、何故今年はカラスノエンドウにアブラムシが付かないのか、その理由を考えてみました。昨年のことを思い起こすと、アブラムシが大発生したことで、カラスノエンドウが種が出来る前にほぼ全滅してしまいました。そこで、カラスノエンドウに付いていた大量のアブラムシは「放浪」を始め、かなりの数のアブラムシが、自宅の庭にも押し寄せて来ました。しかし、結局のところ、自宅の庭も含め、他の放浪先にもカラスノエンドウが生えてなく、アブラムシは大量に死滅したと考えられます。一方、アブラムシの大量発生で、ナナホシテントウも例年になく多く発生したと考えられます。ナナホシテントウは、カラスノエンドウに付くアブラムシに限らず、他の種のアブラムシも食べると考えると、ナナホシテントウはかなりの数が、生き延びられたのでしょう。現に、昨年は庭の果樹でもナナホシテントウをよく見かけました。
こうして、今年を迎えたとすれば、庭の外の草地にはアブラムシの越冬卵は少なかったであろうし、逆にナナホシテントウは多く越冬していて、僅かなアブラムシもナナホシテントウに食べられたと考えられます。
ちなみに、自宅の庭のすぐ外以外の、歩いて行ける範囲のカラスノエンドウの様子も見にいきました。主に2箇所の様子を見ましたが、そこでもカラスノエンドウにアブラムシが付いていないようでした。

さて、A巣のすぐ横には清水白桃があり、満開を迎えています。花には何種類かの昆虫が訪れています。

3月25日14時22分撮影
3月25日14時24分撮影
3月25日14時37分撮影

モモの花からも蜜が出ているようです。
クロヤマアリも訪れていました。そして、クロオオアリもやって来ていました。

クロヤマアリ
クロオオアリ

クロオオアリの動きを見ていると、枝ごとに往復して、何かを見つけようとしているようでした。しかし、立ち止まることがなく、何も見つけられていないようでした。複数のクロオオアリを見ましたが、どのクロオオアリも腹部は膨れていませんでした。

腹部は膨れていない 3月25日14時58分撮影

クロオオアリは、モモの花の蜜は利用できないようです。

ところで、この時期、クロオオアリはタンパク源を得ているのでしょうか。昆虫を与えて、その反応を見ました。ここでも、ミツバチの死骸を使いました。

ミツバチの死骸に食いつき、巣へ運ぼうとしているクロオオアリ 3月25日撮影

A巣の巣口の極近くにいたクロオオアリに、ミツバチの死骸を与えました。2箇所で与えましたが、いずれも食いつき、巣へと運んで行きました。このことから、既にタンパク源を必要としていることが分かります。
ただ、クロオオアリが得られるタンパク源は極少ないはずです。昆虫の絶対量はまだまだ少ないのです。下の写真は、一晩に捕虫器で捕らえた昆虫の量です。

捕虫器
捕虫器の網の中 3月26日撮影
一晩で捕らえた昆虫 3月26日撮影

トゲアリの幼虫の様子

飼育環境下のトゲアリの幼虫はどうなっているのでしょうか。もう成長を始めているでしょうか。

S/N:T130921-09 18時57分撮影

この写真中央の幼虫は成長しているようです。しかし、写真の下方を見ると小さい幼虫も写っています。
2018年9月22日に寄生を始めたS/N:T180919の幼虫は、どれもまだ小さいようです。

S/N:T180919の幼虫 19時2分撮影

ところで、このコロニーには、まだ多くのクロオオアリがいます。このクロオオアリは、最も若い個体では、幼虫で越冬して2019年に成虫になったものです。クロオオアリも幼虫の世話をしています。

19時3分撮影

トゲアリが活動を始める

そろそろ飼育しているトゲアリが活動を始める頃です。もう何日も前から、巣があるケースからアンテグラウンドⅡ型へ幾匹かが出てきていましたが、それはまだ弱々しく歩いている感じでした。
今日はかなりの数のトゲアリがアンテグラウンドへ出てきていました。そこで、昆虫を与えることにしました。今年になって初めてのことです。昆虫は、自宅で飼っている西洋ミツバチの死骸が巣箱前に落ちているので、それを与えることにしました。

ミツバチに集まるトゲアリ S/N:T140906-40 3月20日14時26分撮影

ミツバチを5匹与えたのですが、いずれの箇所でもたくさんのトゲアリがミツバチを取り囲んでいました。
他のトゲアリのコロニーにもミツバチの死骸を与えてみました。こちらもミツバチを取り囲んでいました。

S/N:T130921-09 巣の中に運び込んでいる 18時55分撮影
S/N:T140906-03 19時00分撮影

クロオオアリにも、今年初めて昆虫を与えてみました。トゲアリと同様にミツバチの死骸です。

巣の中に運び込んでいた S/N:B15006 14時28分撮影
S/N:B120614-86 18時51分撮影

いずれもミツバチに反応はありますが、それは弱いようです。分解しようとはしていませんでした。

C巣のクロオオアリも地上へ

昨日は、C巣のクロオオアリが地上に出ているところは見られませんでしたが、今日、C巣のクロオオアリも地上に出ていました。

昨日、C巣の近くに設置していた蜜器にクロオオアリが来ていた 14時46分撮影

蜜を吸ったクロオオアリの帰路を追ってみると、芝生の傾斜地につけた歩道の道端辺りの芝生の中に入って行きました。

写真中央の芝生の中にクロオオアリが帰って行った

そこで、巣穴を確認するためにその周囲の芝を刈りましたが、巣口は分かりませんでした。やがて、巣に戻ってきたクロオオアリたちが、巣口があったと思われる辺りにやって来て、戸惑っている様子でした。

巣口が埋まってしまったのか、戸惑っているアリたち 15時55分撮影

17時過ぎに同じ箇所を見ると、巣に戻ってきたアリたちが、外側から巣穴へと通じるように掘っているようでした。

ところで、昨日は巣穴の箇所を特定できなかったO巣ですが、今日、巣口を確認できました。

確認できたO巣の巣口 15時29分撮影

昨日、O巣の近くに設置していた蜜器にもやってきていました。

O巣の近くの蜜器にやってきたクロオオアリ

クロオオアリが地上に出てきた

ここ数年、自宅の庭で、春に、クロオオアリが地上に出てくる最初の日を記録しています。正確には、私が最初に地上で見かけた日ということになりますが、努めて観察はこまめにしてきたつもりでいます。
2017年は3月26日、2018年は3月25日、昨年は3月20日に、地上でクロオオアリを初めて観察しました。今年はいつになるか、何日か前から庭で観察をしていましたが、今日ふと、玄関先の散水ホースを伝って歩いているクロオオアリを見つけました。

3月18日10時4分撮影

そのクロオオアリが歩いて行く先に毛虫がいて、毛虫に出会うとクロオオアリが食いつき始めました。

毛虫に食いつくクロオオアリ

結局、毛虫はクロオオアリから逃げ切りましたが、このクロオオアリの行動を見ると、もうクロオオアリは完全に活動を開始していることが分かります。
蜜を与えて、帰路を追うことで巣の場所を見つけようと試みましたが、このクロオオアリは、帰り道に迷っているようで、一度帰路についていながら、再び散水ホースに戻って来ました。私の方が根負けしてしまい、僅かな時間、庭を見回るためにその場を離れて戻ってみると、クロオオアリの姿はなく、見失ってしまいました。
この後、庭の他の場所にクロオオアリがいないか、もう一度見回りましたが、クロオオアリは見つけられませんでした。
庭を見回る際のポイントは、昨年の秋に、生存していることが分かっていた巣の辺りです。その中でも特に、O巣の巣口周りと、A巣の東西の2箇所の巣口周りと、C巣の巣口周りです。
午後になって、O巣の辺りを見ていると、1匹のクロオオアリが歩いているのが目に留まりました。

14時52分撮影

続いてあと2匹をO巣の近くで見かけました。どうやら、午前中に見つけたクロオオアリは、例外的ではなく、この日が、クロオオアリがこの春最初に地上に出てきた日のようです。
そこで、A巣の西側の巣口辺りも見ると、ここにも芝生の上を歩くクロオオアリがいました。

15時3分撮影

しかも、1匹ではなく、次々と複数のクロオオアリを見つけました。午後になって設置しておいた蜜器にも、やがてクロオオアリがやってきました。

15時9分撮影

そこで、巣口を捜すために、このクロオオアリの帰路を追ってみました。すると、A巣の東側の巣口の方へと帰って行きました。
一方、西側の巣口の下方を歩いているクロオオアリにも、蜜を垂らして与えていましたが、こちらの複数のクロオオアリたちは、A巣の西側の巣口へと帰って行きました。
今日、巣穴の位置まで特定できたのは、A巣の西側の巣口だけでした。

A巣の西側にある巣口 芝を刈って見やすくした 15時44分撮影

ちなみに、O巣とA巣の東側の巣穴は、芝生のため特定できませんでしたが、巣穴があると思われる箇所の芝を刈っておきました。
C巣がある場所では、クロオオアリは見かけませんでした。
なお、岡山気象台の観測で、今日の最高気温は岡山市で19.7℃(15時26分)でした。これは、今年の最高気温です。

クロオオアリの越冬幼虫の様子

新しい変化ではないのですが、クロオオアリの越冬幼虫の様子を記録しておきます。

参照ブログ
クロオオアリの子育て 室温の違い」2019年5月5日
(S/N:B120614と比較できます)
クロオオアリの子育て 着々と」2014年3月8日
(2014年の3月3日撮影の様子と比較できます)

S/N:B15006 2020年3月3日撮影
S/N:B120614 2020年3月3日撮影

まだ、越冬幼虫は大きくなっていないようです。

カラスノエンドウの花外蜜腺とアブラムシ

今年の2月12日のブログ「アブラムシはまだ」で、昨年の3月2日には、自宅の南側の山地に生えていたカラスノエンドウにアブラムシが付いていたことに触れています。そこで、今年の同日の3月2日に、去年と同じ場所のカラスノエンドウを見たのですが、アブラムシは付いていないようでした。

アブラムシは付いていないようだ 3月2日撮影

今日3日も、とても良い天気(最高気温15℃、晴れ)でしたので、同じ場所の様子を見に行きました。
まず目に付いたのは、ナナホシテントウで、野草の中にあちこちいました。

11時30分撮影

これらのナナホシテントウは、活発に動いていました。何か食べているはずです。アブラムシなのでしょうか。でも、アブラムシが野草に付いているようではありませんでした。何かを食べているところも見かけませんでした。(参照「ナナホシテントウは蜜が好き!?」)
野草の多くは、ホトケノザとオオイヌノフグリとカラスノエンドウです。前者の2種は、今花を咲かせています。カラスノエンドウは、一部花が咲いている個体もありますが、開花はこれからのようです。オオイヌノフグリの花には、昆虫が訪れていました。

オオイヌノフグリの花
11時33分撮影
西洋ミツバチ 11時33分撮影
ハナアブの仲間 11時39分撮影

オオイヌノフグリの花は、蜜を出しているようです。
ところで、クロヤマアリもこの草地にやって来ていました。主にカラスノエンドウに登っています。ところどころで立ち止まって、何か舐めています。腹部が膨れているのもいます。

13時11分撮影
腹部が膨れている 13時20分撮影

花外蜜腺の蜜を吸っているのでしょう。
カラスノエンドウの先の方を切り取って、実体顕微鏡で見てみました。

花外蜜腺の様子
花外蜜腺の様子

液体が見えます。これが花外蜜腺から出ている「蜜」なのでしょう。同じ構造の箇所でも、液体がない所もありました。
実体顕微鏡でカラスノエンドウを見ていると、アブラムシを発見しました。一つの枝の先端に僅かに2、3匹のアブラムシがいました。アブラムシがいない枝もありました。中には、まだ開いていない葉の中にアブラムシがいました。

まだ開いていない葉の中から姿を現したアブラムシ

それで、肉眼ではアブラムシの姿が見えなかったのです。
クロヤマアリは、まだアブラムシから甘露は得ていないようです。ところで、ナナホシテントウのことが気になるのですが、まだまだ僅かにしかいないアブラムシを食べていたのでしょうか。これについては、分からないままです。