7月31日に移植したコンクリートブロックを使った「移植」のその後と結果について、8月6日の時点でまとめてみます。
移植翌日の8月1日、クロオオアリのコロニーでは、20コロニーの内1コロニーを除いて、クリーンカップから出て、真砂土に穴を掘って移動していました。1コロニーは、女王アリがクリーンカップの中で死んでいました。
ムネアカオオアリのコロニーでは、10コロニー全てが、真砂土に穴を掘っていませんでした。
8月2日、異変が起こっていました。コンクリートブロックのクロオオアリの箇所では、前日、アクリル板の蓋を外していたのですが、その多くで、庭のA巣と思われるクロオオアリがクロオオアリのコロニーを襲っていました。巣の出入り口を拡張して、巣の中に押し入っているようです。
新巣から逃げ出した女王アリもいました。
侵入者に食い付いた働きアリもいました。また、幼虫を咥えて逃げ出した働きアリもいました。
この2日の冒頭の写真のB20200603-179では、ついに侵入者が女王アリがいる箇所まで到達したのでしょう、女王アリが大型の働きアリに捕らえられていました。
その後、女王アリが死んでいるのを見ましたが、12時過ぎに見ると、その死体はなくなっていました。襲った複数のクロオオアリもいませんでした。
移植したクロオオアリの20コロニーのほとんどが、この日、A巣から来たと思われるクロオオアリに襲われ、滅んだようでした。ムネアカオオアリの10コロニーは、アクリル板で蓋をしていたため、襲われずにすみました。
移植後の捕食者として、小型のアリが来ないように警戒していたのですが、同種のクロオオアリも捕食者となることが分かりました。A巣のクロオオアリにしてみれば、コンクリートブロックの移植場所は、A巣に近い所(最短で3m強)にあり、「なわばり」の中のような場所だったのでしょう。(クロオオアリに「なわばり」のようなものがあるのかについては知見がありませんが、複数のクロオオアリ同士が戦っているところは時々目にします。これが「なわばり」のようなものなのかも知れません。)
8月6日、ムネアカオオアリの10コロニーを見たところ、全てのコロニーが死滅していました。岡山での梅雨明けは7月30日で、30日と31日には雷雨がありましたが、その後はとても暑い日が続いていました。ムネアカオオアリは10コロニーとも、この間も地中へは穴を掘らずにいましたので、アクリル板の蓋は被せたままにしていました。そのため、コンクリートブロックには、直接日光が長時間直接当たる環境でしたので、熱死したのだと考えられます。すでに、蓋とコンクリートとのとてもわずかな隙間を通って、小型のアリがコンクリートブロックの穴のスペースに入り込んでいました。
ほんのしばらく経つと、ムネアカオオアリの幼虫や遺体が運び出されていました。
ムネアカオオアリの移植に失敗したのはとても残念なのですが、このことで、分かったことがあります。7月25日に行った移植でも、ムネアカオオアリの場合は、例えば、31日にはR20200603-037は、W拡張蓋の底面の下へ移動していましたが、土を掘って地中へ移動したわけではありませんでした。
今回は10コロニーの全てが、地中へ穴を掘りませんでした。このことから、これら2つの移植の際の条件下では、ムネアカオオアリは地中に巣を作らないようです。ただ、実際の自然観察では、コンクリート等の隙間も含めて、地中に巣があるのを見かけています。