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トゲアリの女王アリ 姿を見せる

10月31日に庭で採集し、11月6日に庭のクロオオアリに寄生を試みたトゲアリの女王アリが、11月19日、コンクリートブロックの穴の中から出て来ていました。

トゲアリの女王アリ 11月19日9時26分撮影

見つけた時には身繕いをしていたようですが、すぐに、まるで人間に見つかって慌てるかのように、11月6日の時と同じコンクリートブロックの穴の中に入って行きました。

以前と同じ穴の中に入る直前 9時26分撮影

この時期としては温かい陽気の日でした。日かげの気温を測ってみると、まだ9時台というのに、20℃を越えていました。

9時31分撮影

トゲアリの女王アリが入って行ったコンクリートブロックのすぐ下にはN巣B16015の巣口があるのですが、階段として使っているそのコンクリートブロックの踏み面にクロオオアリがいました。そこで、蜜を与えました。

 

蜜を飲むクロオオアリ 9時51分撮影

やがて、N巣の巣口近くまで戻って来たのですが、巣口が見つからないようです。しばらく巣口を探し回っているようでしたが、トゲアリの女王アリが入って行ったコンクリートブロックの穴の中に入って行きました。

クロオオアリは、トゲアリの女王アリが入って行った同じコンクリートブロックの穴の中に入って行た 9時53分撮影

そのクロオオアリは、2分後の9時55分にコンクリートブロックの穴から出て来て、その3分後の9時58分になって、また同じコンクリートブロックの穴に入って行きました。そして同じことを3回・4回と繰り返しました。3回目はその1分後の9時59分に出て、2分後の10時1分に入り、4回目はその2分後の10時3分に出て、その1分後の10時4分に入って行きました。ところが、それからは長らくコンクリートブロックの穴から出てこなくなりました。10時30分までは観察を続けましたが、やはり出て来ませんでした。いったいどうなったのでしょうか。
いくつかの可能性を考えてみました。
1.コンクリートブロックの穴の中にも巣口があったので、巣に戻った。
2.何者かに、例えばクモなどに襲われた。
3.トゲアリの女王アリに捕まった。
4.それでも穴の中で休み続けていた。
もし、「1」ならば、蜜を仲間に渡して、再び蜜を求めて出て来ると思われますが、26分経っても出て来ませんでした。この26分という時間がどの程度意味があるのかを確かめるため、次の日に同様の条件(同じN巣)で蜜を吸って戻ったクロオオアリが、巣口から出てくるまでの時間を計りました。その結果は6分でした。この時間は、これまでの幾多の観察による知見の範囲内です。つまり、「1」の可能性は極めて低いことになります。
ですから、「2」か「3」だとは思いますが、「4」の可能性がないとは言い切れません。

この時期 タンパク源を摂るだろうか?

この時期、クロオオアリはタンパク源を摂るのでしょうか。ツチバッタを庭で見かけましたので、凍殺スプレーで動けなくして、A巣の巣口の近くに置きました。

ツチバッタのすぐ上方にクロオオアリの巣口がある 11月18日12時00分撮影

そして、夕刻見ると、たくさんのクロオオアリがツチバッタを取り囲んでいました。

16時3分撮影

よく見ると、既に2箇所、胸部と腹部の間と頭部の付け根辺り、に穴が空けられていました。

2箇所に穴が空けられていた 16時4分撮影

翌日の朝見ると、ツチバッタは跡形無く消えていました。

11月19日8時29分撮影

クリオオアブラムシを再発見

何日か前から、散水ホースを歩くクロオオアリの腹部が膨れているのを見ていました。この散水ホースは、クリの木に繋がっており、クリの木からの帰路のようでしたので、クリの木に蜜があるようでした。たぶんその蜜は、クリオオアブラムシから得たのでしょう。
11月18日、この日も散水ホースをかなりの早足で歩くクロオオアリを見つけました。腹部が膨れているようです。

クリの木とは反対側へと進むクロオオアリ 腹部が膨れている 11月18日10時33分撮影

後を追ってみると、A巣にたどり着きました。しばらくして、A巣からクロオオアリが出てきましたので、散水ホースを歩くその後を追ってみると、やがてクリの木横のフェンスにつり下げている箇所を上り、クリの木へと繋がる橋状の箇所を渡り、クリの木にたどり着きました。そこには、もう1匹のクロオオアリがいました。

クリの木横のフェンスにつり下げている箇所
クリの木へと繋がる橋状の箇所
クリの木にたどりつく

ただ、この後、後を追っていたクロオオアリを見失ってしまいました。
そこで、再度A巣から出て来たクロオオアリの後を追ってみると、今度はクリの木に着いても見失うことなく、ついにクロオオアリの目的地の箇所にたどり着きました。

クロオオアリが訪れた場所 11時15分撮影

ここにクリオオアブラムシがいるのでしょう。ただ、葉や枝などでよく見えませんでしたので、周りの葉や小枝を切り落としました。

案の定、そこにはクリオオアブラムシがいました。今年の5月23日以来の発見です。5月23日の時には、クリの木に数匹のクロオオアリが来てはいましたが、クリオオアブラムシから蜜を得ていないようでした。

A巣とクリの木との位置関係 ①測量杭の上方にA巣の巣口がある ②巣口から散水ホースが下方へと延びていて、フェンス下に繋がっている ③別の散水ホースがフェンスの下沿いに延びていて、ホースリールへと繋がる ④ホースリールへと繋がる直前にホースがクリの木の枝に掛けられいてる (ホースリールが置かれているところがクリの木の生きている太い切り株)

クロオオアリの大量死

アンテグラウンドⅢを活動室にして飼育しているクロオオアリのB120614-86に異変が起きていました。働きアリが活動室で大量に死に始めたのです。

活動室の中 10月24日撮影

人工巣の17段アンテシェルフの中は、何匹か死んでいる働きアリはいますが、正常なようです。

人工巣の中 10月24日撮影

11月12日の様子を見ると、更にたくさんの働きアリが死んでいました。10月24日には、まだ生きていて苦しんでいるように見える働きアリがいましたが、もうすべて死んでしまったようです。

死んだクロオオアリの数が増えている 11月12日撮影
死体は分解されていないようだ 11月12日撮影

このコロニーでは、10月になっても、多くの働きアリが活動室で暮らしていました。それには経緯があります。アンテグラウンドⅢを活動室としてB120614-86に繋ぐ前(9月4日以前)は、B120614-86は3つの人工巣で繋がれていました。

B120614-86の昨年の10月19日の様子 3つの人工巣が1つに繋がれていた

この内、写真右の人工巣(百金のトレーを加工して重ねたもの)は、アンテグラウンドⅢの中に入れ、重ねていたトレーを分解して、大量の働きアリをアントグラウンドⅢに移し入れました。それらの働きアリは、時間が経てば人工巣の中に移動すると思っていたのですが、実際にはアンテグラウンドの中にずっと止まり続けました。
この現象は、今年の冬、アンテグラウンドⅠ型に繋げているクロオオアリB15006のコロニーでも起こっていました。元々B15006は、虫籠のプラスチックケースにコンクリートを流し込んで作った人工巣で飼っていましたが、アンテグラウンドに繋げた後、少し経って、コンクリート人工巣とアンテグラウンドの間に17段アンテシェルフを入れて繋げていました。

手前から元々からの飼育容器のコンクリート人工巣 その後ろが後から追加した17段アンテシェルフ 一番奥が活動室のアンテグラウンドⅠ型 2018年8月21日の様子

それを今年の冬に、コンクリート人工巣を連結から取り外し、アンテグラウンドⅠ型の中に入れ、プラスチックケースを外してコンクリートの部分のみにしました。当然、多数の働きアリがアンテグラウンドの中に這い出たのですが、コンクリート人工巣の中にいた女王アリのみは17段アンテシェルフに移しました。働きアリはやがて17段アンテシェルフに入って行くだろうと思っていたのですが、大多数がそのままアンテグラウンドの中に止まっていました。そして、冬の間にかなりの数の個体が、アンテグラウンドの中で死んでしまいました。

この大量死については、昨年の10月19日のブログ「遺骸の捨て場 クロオオアリ」でも取り上げています。
ちなみに、次の2枚の写真は、今年のB15006の遺骸の様子です。昨年と比べるとアンテグラウンドに捨てられている遺骸の数は少し多いようです。反対に水槽の中(メダカはいません)に捨てられている遺骸の数は少し少ないようです。なお、17段アンテシェルフの中には遺骸は見当たりませんでした。

アンテグラウンドの中 11月12日撮影
水槽の水の中

今年も季節外れのトゲアリの新女王アリを採集

10月31日、庭で芝刈りをしている時、偶然にもトゲアリの女王アリを見つけました。

13時34分撮影

昨年も11月30日に、同じく自宅でトゲアリの女王アリを採集しています。
簡易なケースに湿らせたカット綿を入れ、女王アリを入れました。

13時58分撮影

もしや、近くの公園のトゲアリも結婚飛行を行ったかもしれないと思い、確かめに出かけました。

樹の麓で出入りするトゲアリ 14時36分撮影

以前から巣のある場所で働きアリの姿はありましたが、その近辺にも、公園内の他の場所にもトゲアリの女王アリはいませんでした。
昨年庭で採集した女王アリは、飼育しているクロオオアリのコロニーに寄生を試みましたが、今回は、庭のクロオオアリの巣に寄生させることにしました。庭にはいくつかクロオオアリの巣がありますが、比較的小規模で、大木の朽ち木に近いところにあるN巣B16015にしました。
11月1日、このコロニーの巣口は、芝生で覆われていましたので、巣口を分かり易くするために、芝を刈って真砂土を薄く敷きました。

巣口の周りの芝を刈り、真砂土を敷いた 巣口は写真中央辺りにあると思われる 11月1日撮影

2日は終日雨となり、3日に様子を見に行くと、巣口から少し離れた場所でクロオオアリを見つけました。合せて3匹ほどで、それぞれの近辺に蜜を垂らしました。やがて蜜を吸って帰路につき、巣口があると思われる箇所にたどり着いたのですが、巣口が分からないようです。

腹部に蜜を貯めて巣口の近くには帰ってきたが、巣口が分からないようだ 16時10分撮影

30分ほどは観察を続けましたが、ついに巣の中に入って行くところを見ることはできませんでした。この数匹の働きアリは、少し前に巣口から出て来たはずなのですが、何故かその巣口の場所が判別できなかったようです。巣口の環境が変わったことが原因なのでしょう。

4日・5日はいずれも晴天でしたが、別用に時間を割いてしまい、観察ができませんでした。6日になって巣の近くを見るとクロオオアリを見つけましたので、蜜を与えて帰路を追いました。案の定、B16015の巣のある場所にたどり着き、地中へと入って行きました。
ついに巣口が特定できました。

巣口から巣の中に入って行くところ 9時18分撮影

そこで、トゲアリの女王アリを寄生させる試みを始めることにしました。次の動画は、9時26分から14分33秒間撮影した動画を3分13秒に編集したものです。

3分13秒の動画

人為的にですが、トゲアリの女王アリをクロオオアリの巣口に放ちましたが、寄生を始める際の行動、例えばクロオオアリの働きアリを捕らえて化粧をする行動や巣に入り込む行動、はありませんでした。ちなみに昨年の11月30日に採集したトゲアリの女王アリも、寄生行動をしませんでした。
この動画の後、女王アリは巣口の上方にあるコンクリートブロックの中央の穴の中に入ったまま出てこなくなりました。

女王アリは写真中央左寄りにある穴の中に入り、出てこなくなった 9時49分撮影

そのままにして、観察を終了しました。

R巣の近くに巣口

今年の5月19日に花壇横でR巣を見つけ、更に4日後の23日に少し離れた場所で別の巣口を見つけていました。それからほぼ半年後の今日、その2つの巣口のちょうど中間辺りにまた別の巣口があることが分かりました。
C巣の近くに散水ホースを置いていますが、その散水ホースを「高速道路」として使っている1匹のクロオオアリがいました。よく見ると何かを咥えています。そこで、何を咥えているのだろうと気になって追って行くと、C巣がある辺りを通り過ぎて、散水ホースの上端まで行き、更に芝地を通り過ぎ、花壇に近づきました。半年前に見つけた巣口をもう一度確認できると期待して更に追って行くと、上記の2つの巣口のちょうど中間辺りで芝の中に姿を消しました。

竹串の先端辺りに巣口がありそうだ 11月1日16時1分撮影

巣口を特定するために、芝を刈っておきました。

巣口があると思われる周辺の芝を刈った 16時11分撮影