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ほぼ2年間生きているクロオオアリの働きアリ

2020年10月15日のブログ「トゲアリの様子 2020年10月」を引用します

「④T180919(2018年9月22日クロオオアリのコロニーに寄生開始)
……ところで、このコロニーは、2018年9月19日に採集したトゲアリの新女王アリを、同年の9月22日にクロオオアリのコロニー(S/N:B15002 女王アリを2015年5月15日採集)に寄生させたコロニーです。今年の5月29日の時点では、クロオオアリがまだたくさんいましたが、今は2匹しか見当たりませんでした。
巣の中に1匹と、巣の外に1匹いました。この5ヶ月弱の間に多くのクロオオアリの働きアリが死んでいったことになります。このクロオオアリたちは、遅くても2019年の6月生まれ(羽化)と考えられますので、この2匹は、1年と4ヶ月以上に渡って生きていることになります。
……」

ところが今日(5月31日)、このトゲアリのコロニーの中で、クロオオアリがまだ生きているのがわかりました。見つけたのは1匹です。

1匹だがクロオオアリがいた 5月31日21時36分

このクロオオアリは、ほぼ2年間生きていることになります。

「寿命」関連ブログ
働きアリの寿命」(2012年8月31日)
働きアリの寿命」(2013年3月25日)
働きアリの寿命(その2)」(2013年6月10日)
働きアリの寿命(その3)」(2014年6月19日)

タンパク源を探していた

クリの切り株の中に移植(5月6日)したムネアカオオアリの働きアリが、5月30日、移植した切り株の上に出て来ていました。そこで、シリンジで蜜を垂らすように与えたのですが、蜜を吸おうとはしませんでした。庭のクロオオアリに同じようにして蜜を与えた場合、常に蜜を飲み始めるのですが、そのことを思うととても意外でした。

蜜を与えても、なぜか蜜を吸おうとはしなかった 5月30日16時42分撮影

翌日も、移植した切り株の上にムネアカオオアリの働きアリが出て来ていましたので、前日同様、蜜を与えたのですが、やはり蜜を吸おうとはしませんでした。
そこで、今度は半死状態にしたバッタの幼虫を与えてみました。すると、躊躇なく、バッタに取りつきました。

バッタ類の幼虫を与えた すぐさま飛びついた 5月31日16時46分撮影

どうやら、この働きアリは、蜜を求めていたのではなく、タンパク源をさがしていたらしいのです。バッタを運び始めましたが、働きアリ1匹では、バッタは大き過ぎたようです。

このままではムネアカオオアリもバッタと一緒に落ちてしまいそうなので、バッタを元の場所に戻した 16時50分撮影

まもなくして、もう1匹のムネアカオオアリの働きアリが通りかかり、バッタを見つけました。

2匹になった 16時57分撮影

盛んに咬みついていましたが、分解にはかなり時間がかかりそうでしたので、私がバッタの後ろ脚の一部を切り離しました。すると、その後ろ脚を咥えて、巣穴へと運び込みました。

棒のように見えるのがバッタの後ろ脚の一部 17時5分撮影

更に、小さな昆虫(ユスリカや蛾等)を多数与えました。

小さな昆虫を咥えたところ 17時10分撮影

2匹の働きアリの内、1匹はずっとバッタに取りついていましたが、もう1匹は、後から与えた小さな昆虫を何度も巣へと運んでいました。

新女王アリ採集後の産卵数の変化

5月23日に採集したクロオオアリの新女王アリの産卵数を8日間に渡って調べてみました。(調べた時間帯は任意)

5月23日 0日目 0.00個(サンプル数43の平均)
5月24日 1日目 0.07個(サンプル数43の平均)
5月25日 2日目 0.44個(サンプル数43の平均)
5月26日 3日目 1.23個(サンプル数43の平均)
5月27日 4日目 1.83個(サンプル数41の平均)
5月28日 5日目 3.15個(サンプル数41の平均)
5月29日 6日目 4.39個(サンプル数38の平均)
5月30日 7日目 5.79個(サンプル数38の平均)

産卵数の平均値(1に最も近い日)で考えると、結婚飛行後3日弱経った頃に産卵が始まったことになります。
実際、2日目に既に産卵があった個体数は、43個体中8個体に過ぎませんが、3日目には43個体中24個体になり、過半数を超えています。
3日目以降の平均値を更に四捨五入すると、
 3日目 1個
 4日目 2個(3日目との平均値の差は 0.6個)
 5日目 3個(4日目との平均値の差は 1.32個)
 6日目 4個(5日目との平均値の差は 1.24個)
 7日目 6個(6日目との平均値の差は 1.4個)
となり、ほぼ1日1個ずつ産卵したと言えそうです。

移植トゲアリの活動範囲が広がっていた

今年の2月5日に庭のクリの木に移植したトゲアリですが、これまでは、移植したクリの木で見かけていましたが、今日(5月30日)は、木から下りて歩いているところや、隣りに植えているイチジク(品種名ドーフィン)の木にやって来ているところを見ました。活動範囲が広がっていたようです。

クリの木の近くのホースづたいに歩いていた 5月30日16時31分撮影

 イチジクの木にやって来ていた複数のトゲアリには、蜜を与えてみました。

イチジクの木で蜜を吸うトゲアリ 16時39分撮影

イチジクは、トゲアリの巣があるクリの木の隣りの木とは言え、どうやってここまでたどり着いたのでしょうか。そんな疑問がありましたので、注意深く観察すると、クリの木の葉が、僅かに杭に触れていました。そこをトゲアリが渡って行きます。

杭からクリの木の葉に移り渡ろうとしているところ 16時52分撮影

この杭は、イチジクの枝を誘引するためのもので、ロープを張っていて、イチジクの木に繋がっています。そのロープをトゲアリ達は渡っていたのです。

ロープで杭とイチジクとは繋がっている
ロープで綱渡りをするトゲアリ 右方向に巣があり、蜜を吸って戻って行く写真左側のトゲアリの腹部は膨れている 16時56分撮影

「ぽろたん」の花にクロオオアリが来ていた

2018年6月7日のブログ「栗の花にもクロオオアリが」で、クリの花にクロオオアリがやって来ていたことを書きましたが、今日(5月28日)は、別のクリの木の花にクロオオアリが来ているのを見ました。この別のクリの木は、2019年2月21日に植えた品種名「ぽろたん」というクリの木です。

5月28日9時18分撮影
9時18分撮影

クロオオアリの新女王アリを移植

5月23日に蒜山高原で採集したクロオオアリの新女王アリを17匹、その翌日の24日に、庭のコンクリートブロックの穴の中に移植しました。
移植したのは、BH210523-01からBH210523-17までの17匹です。
このコンクリートブロックは、昨年移植に使ったもので、その中で、既に死滅したと思われるコロニーの穴の内、17箇所の穴に移植しました。移植方法は極く簡単で、真砂土が入っている穴の中に新女王アリを入れ、透明のアクリル板で蓋をして、他の生き物が侵入し難くしました。25日には、そのアクリル板の上に少しずらすようにベニヤ板を載せました。遮光しつつ穴の中を暗くしないためです。

透明なアクリル板で蓋をし、ベニヤ板を載せている 25日17時53分撮影
穴の中の様子 既に女王アリは地中に潜っている たくさんの土が掘り出され積み重なっているのが分かる 5月25日18時7分撮影

25日の時点では、S/N:BH20210523-04とBH20210523-06とBH20210523-07以外の14匹の女王アリは地中に潜っていました。26日にはBH20210523-04の女王アリが死亡していて、BH20210523-06とBH20210523-07は、この日もまだ地中に潜ってはいませんでした。

庭のクロオオアリの結婚飛行は?

5月11日、庭のクロオオアリの様子を見に行くと、A巣の巣口に羽アリが出て来ていました。雄アリばかりのようです。

A巣の巣口 雄アリばかりのようだ 5月11日12時56分撮影

もう1つ巣口があり、こちらは羽アリはいないようでした。

A巣のもう1つの巣口 こちらには羽アリはいないようだ 12時56分撮影

C巣を見ると、ぽっかり土がはげ落ちたような巣口になっていました。ただ、羽アリの姿はないようです。

C巣の巣口 なぜかとても広い 13時10分撮影

2日後も、A巣の巣口に雄アリが出ていました。

5月13日のA巣の巣口の様子 5月13日15時9分撮影

5月14日、A巣では3箇所の巣口に、有翅女王アリと雄アリが出て来ていました。

左下のホースの下側からも羽アリが出て来た 5月14日
上記写真のホースの少し上の巣口の様子 雄アリがいる 17時23分撮影
コンクリートブロック下の巣口の様子 有翅女王アリがいる 17時24分撮影
ホース下の巣口の様子 雄アリがいる 17時25分撮影

コンクリートブロック下の巣口では、有翅女王アリが巣口から外へ出て来ました。

巣口から外に出て来た有翅女王アリ 17時26分撮影

その中には、コンクリートブロックの下方70cm程のところまで出かけて、元の巣口に戻る女王アリもいました。女王アリは、初めて地上を歩いたと思われますが、巣口への帰路、迷う様子もなく、ほぼ真っすぐに巣口へと戻って行きました。

出て来た巣口へ迷う様子もなく戻って行く有翅女王アリ 18時0分撮影
直線距離にしてほぼ70cmあった

C巣の方でも、主に2箇所の巣口に雄アリがいました。

雄アリが出て来た2箇所の巣口は、写真の右側 その他にも何箇所か巣口らしい所がある
上記写真の右側の様子 右側の大きめの穴と左側の黒っぽい所に雄アリなどがいる
上記写真の右側の巣口の様子 5月14日17時34分撮影
上記写真の左側の巣口の様子 17時38分撮影

この日、結婚飛行はありませんでした。気温の方は、最高気温が28.3℃で、今年の最高気温でした。
5月15日(最高気温26.2℃)の夜から16日(最高気温22.7℃)の朝にかけては雨が降りました。A巣の巣口の様子を見ると、巣穴が土粒で埋まっていました。

5月16日11時14分撮影
5月16日11時14分撮影

17日(最高気温26.7℃)は朝方雨が降り、18日(最高気温24.8℃)は雨は降りませんでした。19日(最高気温27.0℃)にA巣を見ると、それまでの3箇所の巣口が使われなくなり、上方の1箇所に巣口が移動していました。

新たな巣口 これまでの3箇所の巣口より上に移動していた 5月19日13時16分撮影

20日(最高気温20.5℃)は日中から21日の朝にかけて雨が降り、21日(最高気温26.6℃)も22日(最高気温23.8℃)も巣口には羽アリは現れませんでした。

穴掘りをする働きアリ A巣 5月22日16時36分撮影

そして、23日を迎えたのですが、この日は蒜山高原へ採集に出かけましたので、庭のクロオオアリの様子は分かりませんでした。岡山市では気温が28.7℃まで上がりましたので、今年の最高気温になりました。
24日(最高気温21.5℃)は昼前から夕方過ぎにかけて雨が降りました。
そして今日25日は、降雨がなく、最高気温が26.3℃になりましたが、巣口に羽アリの姿はありませんでした。
庭のクロオオアリは、23日にメインの結婚飛行を終えたのかもしれません。

2021 蒜山高原

今年は、蒜山高原でクロオオアリとムネアカオオアリの新女王アリを採集することにしていました。少し前から日ごとの最高気温に留意していましたが、5月23日の予報では、蒜山高原がある真庭市で最高気温が30℃になるとのことでした。恐らく今年の最高気温になると予想されましたので、採集に出かけました。
先ず初めに、以前(2017年)かなりたくさんのクロオオアリとムネアカオオアリの新女王アリが採集できたヒルゼン高原センター北の遊歩道に行きました。

ヒルゼン高原センター北の遊歩道 5月23日10時44分撮影

意外にもクロオオアリの働きアリの姿をほとんど見ることができず、また巣も1箇所だけ見つけたに過ぎませんでした。しかも、結婚飛行の前には巣口が大きく開かれるのですが、見つけた巣の巣口は拡張されていませんでした。

やっと見つけたクロオオアリの巣 巣口が狭い 10時47分撮影

そこで、2018年に多数採集できた第1休憩所へ行きました。

第1休憩所は蒜山高原自転車道に隣接している 写真では左側の施設 11時18分撮影

ところが、こちらはクロオオアリやムネアカオオアリの働きアリさえ見つけることができませんでした。
この後、道の駅蒜山高原に立ち寄り、その道向かいの八束自然牧場公園を訪れると、ムネアカオオアリが活動していました。

蜜を分け合っていた 11時39分撮影
帰路につくムネアカオオアリ 後を長らく追って巣を見つけようとしたが、こちらが根負けしてしまった 11時46分撮影

午後になり、再び第1休憩所を訪れましたが、やはりクロオオアリやムネアカオオアリの姿はありませんでした。そこで、第1休憩所から自転車道を東方面へと歩いて行くと、かなり歩いた時、まだ翅のあるムネアカオオアリの女王アリが地面を歩いているのを見つけました。脇道に入って行くと、複数のムネアカオオアリの有翅女王アリが地上に出てきていました。

ムネアカオオアリの有翅女王アリ 撮影の後逃がした 14時38分撮影
何者かに襲われたムネアカオオアリの女王アリ 14時52分撮影

第1休憩所への帰路では、2匹でしたが初めてクロオオアリの翅を落とした女王アリを採集することができました。
車をムネアカオオアリの有翅女王アリを見つけた場所へと移動させ、今度は逆向きの西方面へと歩いて行くと、自転車道の脇の草むらで多数のクロオオアリの翅を落とした女王アリを見つけました。

多数のクロオオアリの脱翅女王アリを見つけた自転車道脇の草むら 16時8分撮影
クロオオアリの脱翅女王アリ 16時10分撮影

来た道を引き返すと、更に多数のクロオオアリの脱翅女王アリを採集することができました。

柵と自転車道の路肩との間の草むらの中で多数のクロオオアリの脱翅女王アリを採集した 16時46分撮影

この間、僅かですが、有翅のムネアカオオアリの女王アリを見つけました。ただ、翅を落としたムネアカオオアリの女王アリはいませんでした。

ムネアカオオアリの有翅女王アリ 16時39分撮影

クロオオアリの女王アリは十分な数採集できましたので、ムネアカオオアリの女王アリを採集したいと思い、僅かな望みでしたが、午前にムネアカオオアリの働きアリを見つけた八束自然牧場公園へ向かいました。すると、2匹ですが初めてムネアカオオアリの脱翅女王アリを採集することができました。
この後、最初に有翅のムネアカオオアリを見つけた脇道と第1休憩所とヒルゼン高原センター北の遊歩道に立ち寄りましたが、ムネアカオオアリの脱翅女王アリを見つけることはできませんでした。
今回の蒜山高原行きでは、クロオオアリの女王アリを60匹、ムネアカオオアリの女王アリを2匹採集することができました。

ちなみに、この日、ミカドオオアリも結婚飛行をしたようでした。

ミカドオオアリの女王アリも結婚飛行をしたようだ 15時17分撮影

サクラの切り株の中への移植のその後

1例目のムネアカオオアリのコロニーは、4月30日時点では生存しています。

巣から出ていた働きアリに蜜を与えた 4月30日10時39分撮影
小型のアリと戦ったのだろうか 4月30日11時47分撮影

2例目は、5月18日に気付いた時には、小型のアリに滅ぼされた可能性が高いようでした。切り株の上面の朽ちた穴に多数の小型のアリがいました。

5月18日15時18分撮影
5月18日15時18分撮影

西方花壇でコロニー特定不可の巣が見つかる

今年の4月14日に、西方花壇に7コロニーを移植していましたが、B200603-062とB200603-068を移植した辺りの花壇内で、巣口を発見しました。移植した箇所とは少し離れていましたので、この7コロニーの内のどれかのコロニーだとは思うのですが、特定はできません。近くで蜜を与えたので、何回も巣口を出入りしていました。

5月11日9時54分撮影
9時58分撮影
10時1分撮影
10時3分撮影

クリの切り株の中にムネアカオオアリを移植 3例目

4月14日4月16日に、サクラの切り株の中にムネアカオオアリを移植しましたが、今日(5月6日)は、クリの切り株の中にムネアカオオアリを移植しました。この切り株は、ブログ「ムネアカオオアリを切り株に移植 +R10」の中の「栗3」(既に枯れている)です。今回は、2例目と同様に飼育器を木の中の空洞に入れない方法にしました。
木株の上面からほぼ垂直に径12mmの穴を空け、2面でカットして木片を取り出し、カット面から奥へ空洞を掘ります。木片を元に戻し、上部の穴と飼育ケースの穴を重ねて、ムネアカオオアリが木の中の空洞に移動できるようにします。

枯れたクリの切り株
径12mmの穴を切り株の上面から空けた後、鋸で縦に切る
鋸で横に切る
切断し終わったところ
側面に径12mmの観察穴と径6mmのアリの出入り口を作る
切り口からドリルで深めに穴を空ける
接着剤で切り口を塞いで完了 5月6日9時35分撮影

移植するのは、S/N:R200603-006で、昨年の6月3日から4日にかけて新女王アリを採集したムネアカオオアリのコロニーです。

S/N:R200603-006 14時1分撮影
幼虫が育ちつつある

木片が完全に接着しましたので、午後から移植を始めました。飼育ケースのシリコン栓を外して逆さにし、切り株の上に、ちょうど木の穴と飼育ケースの穴が重なるように置きました。

写真右の飼育ケースの穴と切り株に空けた径12mmの穴を重ねている 14時19分移植開始・撮影

1分後には、働きアリが切り株の穴の中に入りました。

切り株の穴の中から出てくる働きアリ 14時20分撮影

まもなくすると、引越が始まったようです。

仲間を切り株の中へ運んでいる 14時33分撮影
幼虫を切り株の中へ運んでいる 14時37分撮影

ところで、穴の中に入る際に働きアリがある行動をしていることに気づきました。腹部の先を飼育ケースに付けながら穴の中に入って行くのです。

14時35分撮影
14時35分撮影
14時38分撮影
14時40分撮影

穴の中への道しるべになっているのでしょう。移植を開始して17分後に、女王アリも穴の中に入って行きました。

先導していると思われる働きアリも、道しるべを付けている 14時36分撮影

14時51分には、全て引越が完了しました。3箇所の穴に栓をして塞ぎました。径6mmのシリコン栓は明日外す予定です。

引越が完了した 14時51分撮影