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今年も季節外れの半有翅女王アリを見つける

これまでも自宅の庭で季節外れのクロオオアリの有翅半無翅 その後)女王アリを見てきましたが、8月31日、今年も季節外れの有翅女王アリを見ました。この女王アリは左翅を失っていました。

左翅がないクロオオアリの女王アリ 8月31日12時0分撮影

しばらく後を追っていると、キウイの木に上って行きました。

キウイの木に上って行った 12時4分撮影

結婚飛行を済ませているのなら、木には上らないでしょうから、この有翅女王アリはこれから飛び立とうとしているのでしょう。ただ、それは叶わないはずです。
芝刈りをしていて偶然にもこの女王アリを見つけたのですが、芝刈りを続けましたので、その後、この女王アリがどうなったかは観察していません。

引越してから出戻った庭のトゲアリ

8月11日の朝方、庭のトゲアリ(T130921-09)を見に行くと、多数の働きアリがクリの木の下方の切り株に近いところにいました。そこで、クモを与えてみました。

クモを与えた 8月11日8時42分撮影

空中に吊るした人工巣箱を見ると、小型のアリが来ていました。巣箱を吊るしているロープを伝って歩いている同種の小型のアリもいました。

人工巣箱に来ていた小型のアリ 8時44分撮影
巣箱を吊るしているロープを伝って巣箱へと向かう小型のアリ 8時45分撮影

クロヤマアリもロープを伝って人工巣箱にやって来ていました。

人工巣箱にやって来たクロヤマアリ 8時46分撮影

何か異変が起きているのでしょうか。8月1日のこと(敵わなかった引越?)を思い起こしました。
コロニーの本体が何処にあるのかを知るために、人工巣箱の上に蛾を置きました。

人工巣箱の上に蛾を置いた 8時50分撮影

先程与えたクモを探すと、別の場所へ運ばれていました。そこは、切り株の上部のベニヤ板の下に近いところでした。そして、そのベニヤ板の下の空洞にたくさんのトゲアリが集まっていました。また、その空洞の下方にもトゲアリがいました。

クモが運ばれていたのは、切り株の上部のベニヤ板の下に近いところ 8時50分撮影
切り株の上部のベニヤ板の下の空洞に多数のトゲアリがいた 8時51分撮影
空洞の下方にもトゲアリがいた 9時0分撮影

既にこの空洞にコロニーの本体が引越しているのでしょうか。
先程人工巣箱の上に置いた蛾の一部を運んでいる働きアリがいました。人工巣箱の巣穴へ運び込まずに、ロープを伝って人工巣から離れて行きます。

ロープを伝って人工巣箱から離れて行く 9時5分撮影

これでコロニーの本体が、人工巣箱から出て行ったことがはっきりしました。
更に切り株の上部のベニヤ板の下の空洞を見ると、幼生虫が運ばれて来ていることが分かりました。

繭が見える 9時10分撮影
幼虫が見える 9時11分撮影

再び、蛾の一部を運ぶ働きアリを見ました。この働きアリも、ロープを伝って人工巣箱から離れて行きました。そして、ベニヤ板の下の空洞へ入って行きました。

夕刻、観察に行くと、ベニヤ板の下の空洞に、ほとんどトゲアリがいなくなっていました。

17時2分撮影

人工巣箱を見ると、幼虫がちょうど巣穴へと運び込まれているところでした。

人工巣箱の巣穴に幼虫が運び込まれていた 17時3分撮影

実はその直前に働きアリが仲間を咥えて運んでいるところを見ていましたが、その運ばれている方のアリはトゲアリの女王アリでした。

女王アリが働きアリに運ばれて行く 17時3分撮影
ロープを伝って人工巣箱へと向かう 17時6分撮影

巣箱に到着した後、女王アリは咥えられたまま巣口近くまで運ばれて行きましたが、巣穴の大きさが比較的小さかったためか、巣の中に運び込まれませんでした。女王アリは巣箱の上面で一旦放たれ、その後再び咥えられて巣穴の中に運び込まれていきました。

巣箱の上面で一旦放たれた女王アリ 17時10分撮影
巣の中に運び込まれる直前の女王アリ 17時11分撮影
女王アリを迎えるかのように働きアリが多数集まっていた 17時13分撮影

この後も、幼生虫や仲間が人工巣箱へと運ばれていました。

人工巣箱へと幼虫が運ばれて行く 17時14分撮影
仲間が運ばれて行く 17時15分撮影
仲間が運ばれて行く 17時18分撮影

それまでは気づいていなかったのですが、切り株の地際や地際近くの落ち葉に多数のトゲアリがいました。そして、そこにも、仲間を運ぶ働きアリがいました。

切り株の地際近くの落ち葉 17時19分撮影
切り株の地際 17時19分撮影
切り株の地際近くで仲間を運ぶ働きアリ 17時22分撮影

地際深くには、小型のアリが多数いました。

地際深くに小型のアリが多数いた 17時27分撮影

切り株の地際も巣の引越先候補だったのかも知れません。
8月1日も引越が敵わなかったようでしたが、今回も引越ができなかったようです。

翌日の8月12日、人工巣箱にトゲアリが留まっていることが分かりました。

これまでとは違って側面のロープも利用していた 8月12日8時57分撮影

ところが、クリの木の切り株から少し離れたところに落ちている枯れ葉やその近くの芝地にトゲアリがいました。しかも、幼生虫を運んできていました。

9時11分撮影
9時11分撮影
9時12分撮影

けれども、やはりコロニーの本体は人工巣箱の中にいるようです。与えたクモを巣箱の中に運び込んでいました。

クモを巣箱の中に運び込んだ 13時47分撮影

夕刻、観察しに行くと、クリの木の切り株から少し離れたところに落ちていた枯れ葉やその近くの芝地からトゲアリがいなくなっていました。人工巣箱の中に戻って行ったのかも知れません。

T210912-02でトゲアリの羽化が始まる

昨年の9月16日に寄生を始めたトゲアリT210912-02が、今年になって産卵していたことについては、5月9日のブログで記しましたが、今日8月9日、トゲアリの働きアリが複数匹羽化していました。ほぼ毎日、この寄生コロニーを観察していましたから、昨日から今日にかけて羽化が始まったと思われます。

トゲアリは羽化したばかりだが、幼生虫の世話をしていた 8月9日20時10分撮影
20時13分撮影
トゲアリの羽化済の繭の断片を運ぶクロオオアリ 20時14分撮影
トゲアリの女王アリT210912-02 20時12分撮影

2018年の9月22日に寄生を始めた「たった1例のトゲアリの寄生」では、翌年の7月28日にトゲアリの働きアリが羽化しているのに気づいています。また、2013年にトゲアリの女王アリがオオアリの巣に寄生した7コロニーの内の3コロニーで、その翌年の7月4日、働きアリが羽化しています。
以上の5例を見る限りでは、トゲアリの働きアリが初めて羽化するのは、寄生を始めた年の翌年の7月上旬から8月上旬のほぼ1ヶ月間のようです。

敵わなかった引越?

人工巣箱に自然入居したトゲアリT130921-09のコロニーのその後ですが、完全に通常の生活に戻れたようでした。引き続きアブラムシから甘露を集めたりしていました。

クリオオアブラムシから甘露を受け取る 7月23日17時5分撮影
小型のアブラムシ(未同定)から甘露を受け取る 7月23日17時7分撮影
小型のアブラムシの拡大写真

ところが今日8月1日、たくさんのトゲアリの働きアリが、先の引越以前によく見かけたクリの木の切り株まで下りてきていました。

クリの木の切り株の上 8月1日13時34分撮影
切り株の側面の覆いがある場所 小型のアリと戦っている働きアリがいた 13時36分撮影
切り株の側面の木の中に入る出入り口がある辺り 13時36分撮影
切り株の上部のベニヤ板の下 13時39分撮影

上の4枚の写真の一番上の写真を撮る際、働きアリが幼虫を咥えていることに気づきました。幼虫を咥えた複数の働きアリたちは、一定の方向へ歩いて行くのではなく、右往左往しているようでした。なぜこんなところに幼虫を運んできているのでしょう。そもそもどこから幼虫を運んできたのでしょう。
しばらく観察していると、幼虫を咥えて人工巣箱へと向かう働きアリを複数見かけるようになりました。

直下に人工巣箱がある 13時45分撮影
幼虫を咥えて人工巣箱に到着した上の写真とは別のトゲアリ 13時46分撮影
また別のトゲアリ 13時49分撮影
別のトゲアリ 13時51分撮影

と言うことは、この幼虫はクリの木の切り株の中から運ばれてきたのでしょうか。しかし、先の引越・避難の際に、一部の群れが切り株の中に留まっていたとは考えられないのです。
しばらくすると、仲間を咥えて人工巣箱へと運ぶ働きアリも見かけるようになりました。

仲間を人工巣箱へと運ぶ働きアリ 13時53分撮影
巣穴に到着した 13時53分撮影

憶測に過ぎませんが、以前に巣にしていた切り株の中へ、人工巣箱から引越しようとしていたのかも知れません。ところが、切り株の中に小型のアリがいて(途中から入ってきた?)、引越を諦めたとも考えられます。
蜜を与えてみましょう。そうすれば、巣から出て来ている働きアリたちが、切り株の中へ帰って行くか、人工巣箱へ帰って行くかで、どちらを巣にしているかが分かります。

蜜を与えた 14時22分撮影

案の定、蜜を吸ったトゲアリたちは、迷うことなく人工巣箱へと帰って行きました。

蜜を吸って人工巣箱へと帰ってきたトゲアリ(上) 14時27分撮影

更にバッタを与えてみました。

14時28分撮影

はやり、分解したバッタの躯体の一部を人工巣箱へと運んで行きました。

バッタの肢を人工巣箱へと運ぶ働きアリ 14時33分撮影
バッタの腹部を人工巣箱へと運ぶ働きアリ 14時52分撮影

人工巣箱の中を巣にしているようです。

昨年交尾直後に移植したBH210523-03がコロニーを作っていた

昨年の5月24日、前日に蒜山高原で採集したクロオオアリの新女王アリを17匹、庭のコンクリートブロックの穴の中に移植しました。移植したのは、BH210523-01からBH210523-17までの17匹でした。ですが、今ではその全てが死んでしまったと思っていました。
8月1日、ブドウ園で芝刈りをしている時、もう不要となったと思い、コンクリードブロックを撤収していると、コンクリートブロックの穴の下方から、クロオオアリが出て来ました。中には、幼虫を咥えている働きアリもいました。直ぐにコンクリートブロックを元の場所に戻しました。それから、コンクリートブロックの穴から飛び出していた働きアリを捕らえて、コンクリートブロックの上で放ちました。

巣は上部のコンクリートブロックの穴の中にある 8月1日9時48分撮影

コンクリートブロックを元の位置に設置後、コンクリートブロックの周りに真砂土を敷き、小型のアリなどが、コンクリートブロックの中に進入し難くなるようにしました。

巣があるのは、手前1つ目の穴の中 10時11分撮影

このコンクリートブロックの穴に移植していたのは、BH210523-03でした。このコロニーが、どの程度の大きさになっているのかは分かりませんでしたが、このコロニーと同世代で、採集場所も同じコロニーを複数飼育していますので、その中の1つのコロニーを挙げておきます。

自然環境はかなり厳しいので、野外のコロニーはこの飼育コロニーの規模よりも小さいかも知れません。