月別アーカイブ: 2022年9月

BH210523-23へ再度寄生の試み T20220910-44 のその後

9月20日、T20220910-44がクロオオアリの女王アリの頸を腹面から咬みついていました。それから9月27日までは、そのまま頸を腹面から咬みついたままでした。

9月21日20時0分撮影
9月22日8時43分撮影
トゲアリの女王アリの右触角にクロオオアリの働きアリの頭部が付いたままになっている 9月24日8時59分撮影
9月26日7時34分撮影
9月27日9時35分撮影

9月28日になると、トゲアリの女王アリはクロオオアリの女王アリから離れて歩くことがありました。既にクロオオアリの女王アリは頭部が落とされ、死んでいるようです。

9月28日20時18分撮影

それぞれBH210523-19とBH210523-29に寄生したT20220910-54とT20220910-67の場合は、頭部が落とされるまでに4日かかりました。また、BH210523-18に寄生したT20220910-53の場合は、頭部が落とされるまでに6日、BH210523-21に寄生したT20220910-65の場合は、頭部が落とされるまでに9日かかりました。BH210523-23の場合は、8日間かかったことになります。
実際に頭部が落とされているのが確認できたのは、その翌日の29日になってからでした。

頭部が無くなっている 9月29日9時54分撮影

9月30日には、クロオオアリの女王アリの腹部と胸部と頭部が切り離されているのが確認できました。

巣部屋の中に腹部のみがあった 後方にトゲアリの女王アリが写っている 9月30日7時17分撮影
胸部と頭部は巣穴の外に運び出されていた 9月30日7時19分撮影

トゲアリの寄生の試み 1・2・5 のその後(9月29日)

以下は9月29日までの様子です。

トゲアリの寄生の試み 1 (BH210523-18にT20220910-53が寄生 )

9月26日7時30分撮影
9月27日9時30分撮影

トゲアリの寄生の試み 2 (BH210523-19にT20220910-54が寄生 )

9月26日7時31分撮影
9月29日9時59分撮影

トゲアリの寄生の試み 5 (BH210523-29にT20220910-67が寄生 )

9月27日9時36分撮影
9月29日10時0分撮影

何れも寄生が順調なようです。

頭部が落とされる BH210523-21

9月19日の時点では、トゲアリの女王アリT20220910-65は、クロオオアリの女王アリBH210523-21の頸に咬みついてはいますが、クロオオアリの女王アリはまだ生きていました。

トゲアリの女王アリの頭部がクロオオアリの女王アリの頸の近くにあるが、咬んでいないように見える 9月20日6時31分撮影
クロオオアリの女王アリの頭部が180度回転しているようだ 9月21日19時56分撮影
頭部が無くなっている 9月22日8時43分撮影
頭部は別の巣部屋にあった 9月22日8時43分撮影
トゲアリの女王アリの腹部が膨らんでいる 9月25日8時4分撮影
クロオオアリの女王アリの頭部が巣穴の外に運び出されていた 9月26日7時33分撮影
クロオオアリの頭部が取れた死体の周りに働きアリがいた 9月27日9時33分撮影

T20220910-65も、T20220910-54、T20220910-67、T20220910-53に引き続き、初期段階の寄生に成功したようです。

2022年トゲアリの直短寄生の試み 3・4・5 

直短的社会寄生をこれまでの2例(T20220910-68T20220910-15)に加えて、3例試みました。寄主を飼育中のトゲアリのコロニーS/N:T140906-40(新女王アリを2014年の9月6日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-16とT20220910-18とT20220910-19(いずれも9月10日採集)を寄生(合同)させます。

3例目:T20220910-16(9月21日寄生開始)

9月21日20時9分撮影
化粧行為を行っている 9月21日20時46分撮影
同じく化粧行為を行っている 9月21日20時52分撮影
栄養交換をしていた 9月21日21時40分撮影
翌日の様子 9月22日8時32分撮影

4例目:T20220910-18(9月21日寄生開始)

化粧行為を行っている 9月21日21時35分撮影
翌日の様子 9月22日8時35分撮影

5例目:T20220910-19(9月22日寄生開始)

9月22日20時55分撮影
右後脚を咬まれている 9月22日21時5分撮影
女王アリが働きアリから攻撃を受けている 9月22日21時10分撮影
女王アリが直接蜜を飲む これはあまり見られないことだ 9月22日21時29分撮影
化粧行為を行っている 9月22日21時33分撮影
蜜を飲む女王アリ この個体は直接蜜を飲むようだ 9月25日8時23分

庭に有翅女王アリと脱翅女王アリ

8月31日にも庭でクロオオアリの新女王アリを見かけていますが、今日(9月22日)もクロオオアリの新女王アリを庭で見つけました。リンゴの木(品種名ハニーアップル)に上っていました。まだ翅のある女王アリです。

9月22日10時56分撮影

ところが、午後になって、今度はクロオオアリの脱翅女王アリを見つけました。西洋ミツバチのスズメバチ捕獲器を巣箱から取り外して掃除をしていて、偶然にも見つけました。

13時50分撮影

こちらの脱翅女王アリの方は、採集してクリアカップに入れました。

20時43分撮影

翅を落とした痕がはっきりと見えていました。この脱翅女王リをBJ20220922と名付けます。
今日もまた季節外れの結婚飛行があったようです。ただ、BJ20220922が、午前中に見つけた有翅女王アリと同じ女王アリなのかは分かりません。

追記(2023年1月10日):BJ20220922は、その後、2023年1月9日にかなり弱った状態になり、翌日の10日には死んでいました。死因は不明です。

BH210523-23へ再度寄生の試み T20220910-44

9月13日、クロオオアリのコロニーBH210523-23の中へ、トゲアリの女王アリT20220910-66を寄生させるために入れたのですが、T20220910-66は、9月16日に死亡しました。
そこで、9月19日、同じクロオオアリのコロニーBH210523-23の中へ、トゲアリの女王アリT20220910-44(9月10日採集)を入れることにしました。
トゲアリの女王アリを飼育しているクリアカップの中にクロオオアリの働きアリを1匹入れると、化粧行為を始めました。その後、T20220910-44はBH210523-23の中へ入って行きました。クロオオアリの働きアリから攻撃を受けながらも、T20220910-44はクロオオアリの女王アリに接近し、互いに攻撃し合いながらも、T20220910-44が腹面からクロオオアリの女王アリに取り付くようになりました。ただ、クロオオアリの女王アリの頸を咬んではいませんでした。

T20220910-44はクリアカップの中で化粧行為を始めた 9月19日20時21分撮影
クロオオアリの働きアリから攻撃を受ける 20時53分撮影
2匹の女王アリ同士が攻撃し合う 21時13分撮影
クロオオアリの腹面に咬みついたトゲアリの女王アリ 21時13分撮影

翌日9月20日、T20220910-44がクロオオアリの女王アリの頸を腹面から咬みついていました。

T20220910-44がクロオオアリの女王アリの頸を腹面から咬みついている 9月20日6時24分撮影

2022年トゲアリの直短寄生の試み 2 T20220910-15

直短的社会寄生の2例目を試みました。寄主を飼育中のトゲアリのコロニーS/N:T140906-40(新女王アリを2014年の9月6日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-15(9月10日採集)を寄生(合同)させます。
カップ型コンクリート人工巣にトゲアリの女王アリを入れ、次にトゲアリの働きアリを1匹入れました。直ぐに戦いが始まりました。直短的社会寄生の1例目では、働きアリの方から攻撃を始めたように見えましたが、今回は女王アリの方から働きアリに取りついたようです。

9月19日20時38分撮影
20時38分撮影

この後、両者が離れると、2匹とも体をコンクリート面に擦り付けるような行動が見られ、争いが起こらなくなりました。

体をコンクリート面に擦り付けながら歩く働きアリ 20時39分撮影
体をコンクリート面に擦り付けながら歩く女王アリ 20時39分撮影
「和解」したかのように「くつろぐ」女王アリと働きアリ 20時42分撮影

T140906-40の働きアリを更に9匹加えました。時々化粧行為が見られました。また、僅かな回数栄養交換が見られました。

働きアリを新たに9匹加え、蜜と水を与えた 21時54分撮影
化粧行為 22時8分撮影
僅かな回数栄養交換も見られた 22時11分撮影

一時的社会寄生のその後 9月19日

BH210523-19の様子9月17日にクロオオアリの頭部が落とされていた)

クロオオアリの女王アリの遺体のそばにいる 9月18日8時48分撮影
クロオオアリの女王アリの遺体のそばにいる 9月19日10時36分撮影

BH210523-29の様子9月17日にクロオオアリの頭部が落とされていた)

クロオオアリの女王アリの遺体のそばにいる 9月18日8時54分撮影
クロオオアリの女王アリの遺体から離れて歩いている 9月19日10時44分撮影 

BH210523-21の様子
BH210523-21では、トゲアリの女王アリT20220910-65は、クロオオアリの女王アリの頸に咬みついてはいますが、クロオオアリの女王アリはまだ生きています。

9月17日8時27分撮影
9月18日8時52分撮影
9月19日10時38分撮影

BH210523-23の様子
9月16日から変化はありません。トゲアリの女王アリの遺体はそのままにされていて、クロオオアリの女王アリを含む本体は、人工巣の上部に移動したままです。

トゲアリの女王アリの遺体 9月19日10時43分撮影
クロオオアリの女王アリを含む本体は、人工巣の上部に移動したまま 9月19日10時43分撮影

頭部が落とされる BH210523-18

9月12日にT20220910-53が寄生を開始したBH210523-18では、9月17日、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの頸を咬むのを止めていました。確かめることはできませんでしたが、クロオオアリの女王アリは既に死んでいるのかも知れません。

トゲアリの女王アリはクロオオアリの女王アリの頸を咬んではいなかった 9月17日8時21分撮影

次の日の9月18日、クロオオアリの女王アリの頭部が落とされていました。頭部は、別の部屋で見つかりました。

クロオオアリの女王アリの頭部が無くなっている 9月18日8時46分撮影
クロオオアリの女王アリがいた部屋とは別の部屋で見つかったクロオオアリの女王アリの頭部 8時47分撮影

9月19日、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリから離れて歩いていました。栄養交換をする場面もありました。腹部が膨れているようです。

トゲアリの女王アリがクロオオアリの女王アリから離れて歩いている 9月19日10時33分撮影
栄養交換をしている 10時50分撮影

頭部が落とされる BH210523-19と-29

9月13日から寄生が始まっていた寄主のBH210523-19とBH210523-29の女王アリの頭部が落とされていました。

BH210523-19 クロオオアリの女王アリの頭部が欠けている 9月17日8時24分撮影
BH210523-19 中央が落とされたクロオオアリの女王アリの頭部 9月17日8時25分撮影
BH210523-29 クロオオアリの女王アリの頭部が欠けている 9月17日8時29分撮影
BH210523-29 中央が落とされたクロオオアリの女王アリの頭部 9月17日8時29分撮影

これでトゲアリの女王アリのT20220910-54とT20220910-67が、クロオオアリのコロニーから排除されることが無くなりました。一時的社会寄生が更に一歩進展したことになります。

2022年トゲアリの直短寄生の試み 1 T20220910-68

直短的社会寄生の1例目を試みました。寄主を飼育中のトゲアリのコロニーS/N:T140906-40(新女王アリを2014年の9月6日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-68(9月10日採集)を寄生(合同)させます。
カップ型コンクリート人工巣にトゲアリの女王アリを入れ、次にトゲアリの働きアリを1匹入れました。直ぐに戦いが始まりました。働きアリの方から攻撃を始めたように見えましたが、一瞬で勝負がついたようです。女王アリが働きアリの右の前肢に咬みついていました。そのまま1時間弱じっとして動かなくなっていました。

戦いの直後 女王アリが働きアリの右前肢に咬みついていた 9月13日16時16分撮影
この姿勢のまま2匹とも1時間弱じっとしていた 16時21分撮影

女王アリが働きアリの肢を放してから、働きアリを9匹加えました。新たに加わった9匹は共に女王アリを攻撃することはありませんでした。時々、女王アリが働きアリを捕らえて化粧行為をする場面がありました。

化粧行為をしている 17時14分撮影

以下はその後の経過です。

9月14日8時19分撮影
9月15日8時29分撮影
9月16日8時43分撮影

9月13日から3日間、戦う様子はありません。ただ、働きアリが女王アリを女王として受け入れているのかどうかは分かりません。

2022年トゲアリの寄生の試み 5 T20220910-67

一時的社会寄生の5例目を試みました。寄主をクロオオアリのコロニーS/N:BH210523-29(新女王アリを昨年の5月23日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-67(9月10日採集)を寄生させます。
9月13日、BH210523-29の働きアリを1匹、T20220910-67が入っているクリアカップの中に入れました。トゲアリの女王アリはその1匹を捕らえようとはしていましたが、女王アリの動きが鈍く、クロオオアリに逃げられていました。そこで、2匹目を入れ、間もなく化粧行為が始まりました。

9月13日14時6分撮影

人工巣の中に入ってからは、しばしばクロオオアリの働きアリから攻撃を受けていましたが、それでも15時半頃には、クロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付いていました。

14時32分撮影
14時34分撮影
右後脚に食い付いているクロオオアリは殺されたようだ 14時45分撮影
クロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付いている 15時30分撮影

ところが、17時過ぎに見ると、トゲアリの女王アリが人工巣の中を歩き回っていました。そして、その後再びクロオオアリの女王アリに食い付きました。

17時20分撮影
クロオオアリの女王アリの頸に背面から食い付いている 17時24分撮影

以下はその後の経過です。

クロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付いている 9月14日8時31分撮影
9月15日8時26分撮影
9月16日8時41分撮影

9月13日から3日間、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの頸を咬み続けています。寄生は順調なようです。

2022年トゲアリの寄生の試み 4 T20220910-66

一時的社会寄生の4例目を試みました。寄主をクロオオアリのコロニーS/N:BH210523-23(新女王アリを昨年の5月23日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-66(9月10日採集)を寄生させます。
9月13日、BH210523-23の働きアリを1匹、T20220910-66が入っているクリアカップの中に入れると、化粧行為が始まりました。その後、T20220910-66が、BH210523-23のコンクリート人工巣の中へ自然に入れるようにしました。

化粧行為をするトゲアリの女王アリ 9月13日10時41分撮影
コンクリート人工巣の上部 クリアカップを逆さにしている 10時49分撮影

人工巣の中に入ると、トゲアリの女王アリは丸まってクロオオアリの働きアリに運ばれる格好になりました。そのまま、クロオオアリに運ばれて巣の部屋の中に入り、やがて元のように化粧行為の格好に戻りました。

クロオオアリの働きアリがトゲアリの女王アリを運んでいる 10時50分撮影
クロオオアリの働きアリに巣の中まで運ばれて来た 10時50分撮影
化粧行為の格好に戻った 10時51分撮影

この後、トゲアリの女王アリが化粧行為に使ったクロオオアリを放すと、クロオオアリの働きアリから攻撃を受けるようになりました。特にトゲアリの女王アリの左後脚に咬みついたクロオオアリは咬みついたまま離れなくなりました。このため、幾度かトゲアリの女王アリがクロオオアリの女王アリに向かって行きましたが、動く自由が利きませんでした。

トゲアリの女王アリの左後脚に咬みついて離さないクロオオアリの働きアリ 11時11分撮影

その後、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの肢に咬みつき、そのまま膠着状態になりました。

トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの肢に咬みついている 13時48分撮影

翌日の9月14日の朝、トゲアリの女王アリは、巣の外に出ていました。ほとんど攻撃されていないように見えました。夜見た時には、巣の中で1匹のクロオオアリに肢を咬みつかれていました。

9月14日8時25分撮影
9月14日22時40分撮影

9月15日になると、トゲアリの女王アリは生きていましたが、巣の中で動けなくなっていました。

まだ生きていたが動けなくなっていた 9月15日17時3分撮影

そして、9月16日、遂に死んでしまいました。クロオオアリの女王アリを含む本体は、人工巣の上部に移動していました。

死んだトゲアリの女王アリ 9月16日8時38分撮影
人工巣の上部に女王アリを含む本体が移動してきていた 9月16日8時38分撮影

2022年トゲアリの寄生の試み 3 T20220910-65

一時的社会寄生の3例目を試みました。寄主をクロオオアリのコロニーS/N:BH210523-21(新女王アリを昨年の5月23日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-65(9月10日採集)を寄生させます。
9月13日、BH210523-21の働きアリを1匹、T20220910-65が入っているクリアカップの中に入れると、化粧行為が始まりました。

9月13日10時3分撮影

その後、T20220910-65が、BH210523-21のコンクリート人工巣の中へ自然に入るようにしました。10時14分には人工巣の中に入り、クロオオアリの働きアリに拘束・攻撃されることがありましたが、人工巣進入から10分程でクロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付きました。

クロオオアリの働きアリから拘束・攻撃される 10時21分撮影
クロオオアリの女王アリの頸に腹面から咬みついている 10時26分撮影

この咬みつきの体勢は、寄生の最初の段階を成し遂げたことを意味しています。順調に寄生が始まったと言うことです。
以下はその後の経過です。

9月14日8時24分撮影
9月15日8時24分撮影
9月16日8時41分撮影

9月13日から3日間、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの頸を咬み続けています。寄生は順調なようです。

2022年トゲアリの寄生の試み 2 T20220910-54

一時的社会寄生の2例目を試みました。寄主をクロオオアリのコロニーS/N:BH210523-19(新女王アリを昨年の5月23日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-54(9月10日採集)を寄生させます。
T20220910-54は、前日(9月12日)にBH210523-18に寄生させようとして、クロオオアリと一緒にしても化粧行為をしなかった新女王アリです。ですが、本当に化粧行為をしないのかを確かめるため、再度機会を持つことにしました。

9月13日9時48分撮影

9月13日、T20220910-54がいるクリアカップの中へ、クロオオアリの働きアリを1匹から3匹まで順次増やしてみたのですが、やはり化粧行為をしませんでした。
そこで、この新女王アリの場合、事前の化粧行為なしでも寄生行動をするのか、とにかく試してみることにしました。クリアカップの蓋を外してから逆さにし、コンクリート人工巣の蓋の上に置き、人工巣の蓋のアクセス穴からBH210523-19の中へ自然に入って行けるようにしました。

BH210523-19のコンクリート人工巣の中に入って行った 9時52分撮影

ところが意外にも、クロオオアリの働きアリから攻撃を受ける間もなく、僅かの間にクロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付きました。

僅かの間にクロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付いた 9時56分撮影

この咬みつきの体勢は、寄生の最初の段階を成し遂げたことを意味しています。順調に寄生が始まったと言うことです。
以下はその後の経過です。

9月14日8時23分撮影
9月15日8時22分撮影
9月16日8時40分撮影
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 220916_084007-1024x681.jpg

9月13日から3日間、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの頸を咬み続けています。寄生は順調なようです。

2022年トゲアリの寄生の試み 1 T20220910-53

2通りの方法でトゲアリの寄生を試みようと思います。
① 一時的社会寄生
昨年新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーを寄主とする 5例
② 直短的社会寄生
飼育中のトゲアリのコロニーから働きアリを取り出し、女王アリと合併する 5例

9月12日、トゲアリの新女王アリ(S/N:T20220910-54 9月10日採集)を入れているクリアカップの中に、クロオオアリのコロニーS/N:BH210523-18(新女王アリを昨年の5月23日に採集)の働きアリを1匹入れました。

9月12日10時18分撮影

ところが、T20220910-54は化粧行為はしませんでした。そこで、別のトゲアリの新女王アリ(S/N:T20220910-53 9月10日採集)を寄生させることにしました。この女王アリは化粧行為を直ぐに始めました。

10時26分撮影

クリアカップの蓋を開けると、クロオオアリを捕捉したままカップの外に出て来ましたので、フィルムケースで捕らえて、BH210523-18の飼育ケース(カップ型コンクリート人工巣)の上に持って行き、自然に人工巣の中に入るようにしました。T20220910-53は、クロオオアリを咥えたまま、人工巣の中に入って行きました。

クロオオアリを咥えたままで巣に侵入 11時10分撮影
巣の部屋に入ってたもまだクロオオアリを咥えていた 11時11分撮影

そして、クロオオアリの働きアリから時々攻撃を受けながらも、クロオオアリの女王アリの左頸に咬みつきました。

働きアリから攻撃されるトゲアリの女王アリ 11時35分撮影
クロオオアリの頸に左から咬みついている 11時52分撮影

この咬みつきの体勢は、寄生の最初の段階を成し遂げたことを意味しています。順調に寄生が始まったと言うことです。
以下はその後の経過です。

9月13日9時17分撮影
9月14日8時21分撮影
9月15日8時21分撮影
9月16日8時39分撮影

9月12日から4日間、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの頸を咬み続けています。寄生は順調なようです。

トゲアリの女王アリを採集(2022年)

トゲアリの新女王アリを採集するため、9月8日に滋賀県彦根市に行きました。翌日9日は午前10時過ぎまで雨が降っていましたので、15時を過ぎて採集地へ向かいました。
トゲアリの女王アリが地面を歩いていないか見ながら、舗装されている林道を上へと進みましたが、女王アリはいません。間もなく、昨年トゲアリを観察したD巣のところまで行くと、今年もトゲアリが営巣していました。

昨年も観察したD巣 空洞の中に営巣している

空洞の中には羽アリがいました。まだ、結婚飛行が終わってはいないようです。ただし、結婚飛行は、2週間(2013年 2014年)から1ヶ月程度(2015年)の期間に分散的に行われることが分かっていますから、もう既に結婚飛行が始まっているのかも知れません。

空洞の中の中間辺り 羽アリが見られる 9月9日15時42分撮影
空洞の中の上部 塊になっていた 15時43分撮影

この日は女王アリは採集できませんでした。
翌日の9月10日は、曇や晴の天気でした。8時過ぎから採集を始め、昼一旦休み、15時まで採集を続けました。結果64匹採集できました。その内、D巣からは19匹採集していて、13匹がトゲアリの働きアリに襲われていました。
このトゲアリの脱翅女王アリがトゲアリの働きアリに襲われることについては、昨年もD巣のある樹の幹上で観察しています。

D巣のある樹の幹上で働きアリに捕らえられた脱翅女王アリ 9月10日8時28分撮影
同上の別の脱翅女王アリ 8時31分撮影

推察として、この日の早朝からD巣の有翅女王アリが結婚飛行をしにこの樹に上り、交尾を了えて樹上で脱翅し、この樹を歩いて下りてきたということでしょう。
ところで、15時近くになっても、脱翅女王アリが働きアリに捕捉されていました。採集中、D巣についても、断続的に見に行っていましたので、これらの脱翅女王アリも、新たに樹から下りて来た女王アリです。

14時48分撮影
別の脱翅女王アリ 14時48分撮影

トゲアリの羽アリは早朝に結婚飛行をすると思っているのですが、こんなにも時間が経ってからも、樹から下りてきていたのは、新たな発見でした。
D巣で採集した19匹以外は、2箇所で採集しています。A巣とD巣のほぼ中間点の場所と、A巣の場所です。ただ、今年は、確言はできないのですが、A巣があった場所でトゲアリが営巣しているようではありませんでした。B巣とC巣は営巣していました。

B巣 9月10日13時35分撮影
C巣 9月9日15時48分撮影

今年は9月10日に新女王アリが採集できたわけですが、例年になく1日の採集時間が長かったとは言え、64匹も採集できたのはこれまでの経験から言ってもとても多い方です(2013年の9月19日に65匹を採集しています)。
では、この日の気象はどうだったのでしょうか。昨年、女王アリが採集できる気象条件について次のようにまとめています。

採集期間は     9月8日から20日
最低 / 最高気温は  19.9℃以下 / 29.5℃以下
天気概況は     曇か晴
上記の採集できる気象条件は確実性の範囲を表したもの

今年の気象は次のようです。
  日  (最低気温 / 最高気温) 昼(06:00-18:00)の天気概況
 9月7日   (23.4 / 29.4)     曇のち晴
 9月8日   (22.9 / 27.4)     曇後一時雨
 9月9日   (22.6 / 27.5)     雨時々曇
 9月10日   (23.6 / 30.5)     曇時々晴

今年の9月10日は、最低・最高気温が確実性の範囲外でした。

その他の関連写真参照

D巣の空洞から出て来た有翅女王アリ 9月10日8時47分撮影
D巣の空洞から出て来た別の有翅女王アリ 9月10日8時48分撮影
D巣のある樹の幹を下る脱翅女王アリ 9月10日8時51分撮影
A巣近くの地上を歩く脱翅女王アリ 9月10日9時22分撮影
A巣近くの草の葉で身繕いをする脱翅女王アリ 9月10日10時50分撮影

飼育ケース間で引越 B110608-07

直近の記事では「おめでとう! 結婚11年記念日」で紹介しているクロオオアリのコロニーB110608-07は、大変繁栄していたのですが、夏前から働きアリの数が急激に少なくなってきていました。その原因が分からないまま、女王アリが生きているのかが気になっていました。と言うのも、雄アリは増えていたからです。ところが、飼育ケースの汚れが大変酷く、女王アリの生存が確認できない状態でした。そこで、8月31日、引越をさせることにしました。

たくさんの雄アリがいる
引越専用にしている衣裳ケースに巣の本体を入れたところ 衣裳ケースには脱出防止のためベビーパウダーを塗っている 8月31日17時9分撮影
巣の本体を取り出した後の元の飼育ケースの中 取り残された働きアリは衣裳ケースに移した

巣の本体(リトルアンテシェルフ)を解体して、コロニーを衣裳ケースの中に落とし入れると、女王アリが出て来ました。女王アリは健在だったのです。これでこの女王アリが確かに11年以上生きていることが明らかになりました(「11年以上」と表記したのは、結婚飛行に飛び立つ前年に成虫になっていると考えられるからです)。

女王アリは生きていた 8月31日17時28分撮影

別のアンテシェルフにアルミホイルを被せて、衣裳ケースの中に入れました。

アルミホイルの中は新たに用意したリトルアンテシェルフ飼育器 8月31日17時52分撮影
既に女王アリはリトルアンテシェルフの中に入っているようだ 繭が運び込まれている 8月31日20時5分撮影
幼虫も運び込まれて行く 21時53分撮影

翌朝には、引越はほぼ完了していました。予め用意していた餌器(開放蓋式アンテフィーダー)とリトルアンテシェルフを繋げ、1体にするための台に両者を載せました。餌器の上面にはベビーパウダーを塗っています。

木製の台に載せることで持ち運び易くなる 9月2日9時9分撮影
9月2日9時10分撮影
ベビーパウダーで脱出できない構造にしているので、通常は金網の蓋はしない 9月2日9時14分撮影
餌器の側面図
餌器の上面図

幼虫がかなりの数いるようです。

9月2日9時11分撮影