日別アーカイブ: 2022年9月16日

2022年トゲアリの直短寄生の試み 1 T20220910-68

直短的社会寄生の1例目を試みました。寄主を飼育中のトゲアリのコロニーS/N:T140906-40(新女王アリを2014年の9月6日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-68(9月10日採集)を寄生(合同)させます。
カップ型コンクリート人工巣にトゲアリの女王アリを入れ、次にトゲアリの働きアリを1匹入れました。直ぐに戦いが始まりました。働きアリの方から攻撃を始めたように見えましたが、一瞬で勝負がついたようです。女王アリが働きアリの右の前肢に咬みついていました。そのまま1時間弱じっとして動かなくなっていました。

戦いの直後 女王アリが働きアリの右前肢に咬みついていた 9月13日16時16分撮影
この姿勢のまま2匹とも1時間弱じっとしていた 16時21分撮影

女王アリが働きアリの肢を放してから、働きアリを9匹加えました。新たに加わった9匹は共に女王アリを攻撃することはありませんでした。時々、女王アリが働きアリを捕らえて化粧行為をする場面がありました。

化粧行為をしている 17時14分撮影

以下はその後の経過です。

9月14日8時19分撮影
9月15日8時29分撮影
9月16日8時43分撮影

9月13日から3日間、戦う様子はありません。ただ、働きアリが女王アリを女王として受け入れているのかどうかは分かりません。

2022年トゲアリの寄生の試み 5 T20220910-67

一時的社会寄生の5例目を試みました。寄主をクロオオアリのコロニーS/N:BH210523-29(新女王アリを昨年の5月23日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-67(9月10日採集)を寄生させます。
9月13日、BH210523-29の働きアリを1匹、T20220910-67が入っているクリアカップの中に入れました。トゲアリの女王アリはその1匹を捕らえようとはしていましたが、女王アリの動きが鈍く、クロオオアリに逃げられていました。そこで、2匹目を入れ、間もなく化粧行為が始まりました。

9月13日14時6分撮影

人工巣の中に入ってからは、しばしばクロオオアリの働きアリから攻撃を受けていましたが、それでも15時半頃には、クロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付いていました。

14時32分撮影
14時34分撮影
右後脚に食い付いているクロオオアリは殺されたようだ 14時45分撮影
クロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付いている 15時30分撮影

ところが、17時過ぎに見ると、トゲアリの女王アリが人工巣の中を歩き回っていました。そして、その後再びクロオオアリの女王アリに食い付きました。

17時20分撮影
クロオオアリの女王アリの頸に背面から食い付いている 17時24分撮影

以下はその後の経過です。

クロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付いている 9月14日8時31分撮影
9月15日8時26分撮影
9月16日8時41分撮影

9月13日から3日間、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの頸を咬み続けています。寄生は順調なようです。

2022年トゲアリの寄生の試み 4 T20220910-66

一時的社会寄生の4例目を試みました。寄主をクロオオアリのコロニーS/N:BH210523-23(新女王アリを昨年の5月23日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-66(9月10日採集)を寄生させます。
9月13日、BH210523-23の働きアリを1匹、T20220910-66が入っているクリアカップの中に入れると、化粧行為が始まりました。その後、T20220910-66が、BH210523-23のコンクリート人工巣の中へ自然に入れるようにしました。

化粧行為をするトゲアリの女王アリ 9月13日10時41分撮影
コンクリート人工巣の上部 クリアカップを逆さにしている 10時49分撮影

人工巣の中に入ると、トゲアリの女王アリは丸まってクロオオアリの働きアリに運ばれる格好になりました。そのまま、クロオオアリに運ばれて巣の部屋の中に入り、やがて元のように化粧行為の格好に戻りました。

クロオオアリの働きアリがトゲアリの女王アリを運んでいる 10時50分撮影
クロオオアリの働きアリに巣の中まで運ばれて来た 10時50分撮影
化粧行為の格好に戻った 10時51分撮影

この後、トゲアリの女王アリが化粧行為に使ったクロオオアリを放すと、クロオオアリの働きアリから攻撃を受けるようになりました。特にトゲアリの女王アリの左後脚に咬みついたクロオオアリは咬みついたまま離れなくなりました。このため、幾度かトゲアリの女王アリがクロオオアリの女王アリに向かって行きましたが、動く自由が利きませんでした。

トゲアリの女王アリの左後脚に咬みついて離さないクロオオアリの働きアリ 11時11分撮影

その後、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの肢に咬みつき、そのまま膠着状態になりました。

トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの肢に咬みついている 13時48分撮影

翌日の9月14日の朝、トゲアリの女王アリは、巣の外に出ていました。ほとんど攻撃されていないように見えました。夜見た時には、巣の中で1匹のクロオオアリに肢を咬みつかれていました。

9月14日8時25分撮影
9月14日22時40分撮影

9月15日になると、トゲアリの女王アリは生きていましたが、巣の中で動けなくなっていました。

まだ生きていたが動けなくなっていた 9月15日17時3分撮影

そして、9月16日、遂に死んでしまいました。クロオオアリの女王アリを含む本体は、人工巣の上部に移動していました。

死んだトゲアリの女王アリ 9月16日8時38分撮影
人工巣の上部に女王アリを含む本体が移動してきていた 9月16日8時38分撮影

2022年トゲアリの寄生の試み 3 T20220910-65

一時的社会寄生の3例目を試みました。寄主をクロオオアリのコロニーS/N:BH210523-21(新女王アリを昨年の5月23日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-65(9月10日採集)を寄生させます。
9月13日、BH210523-21の働きアリを1匹、T20220910-65が入っているクリアカップの中に入れると、化粧行為が始まりました。

9月13日10時3分撮影

その後、T20220910-65が、BH210523-21のコンクリート人工巣の中へ自然に入るようにしました。10時14分には人工巣の中に入り、クロオオアリの働きアリに拘束・攻撃されることがありましたが、人工巣進入から10分程でクロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付きました。

クロオオアリの働きアリから拘束・攻撃される 10時21分撮影
クロオオアリの女王アリの頸に腹面から咬みついている 10時26分撮影

この咬みつきの体勢は、寄生の最初の段階を成し遂げたことを意味しています。順調に寄生が始まったと言うことです。
以下はその後の経過です。

9月14日8時24分撮影
9月15日8時24分撮影
9月16日8時41分撮影

9月13日から3日間、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの頸を咬み続けています。寄生は順調なようです。

2022年トゲアリの寄生の試み 2 T20220910-54

一時的社会寄生の2例目を試みました。寄主をクロオオアリのコロニーS/N:BH210523-19(新女王アリを昨年の5月23日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-54(9月10日採集)を寄生させます。
T20220910-54は、前日(9月12日)にBH210523-18に寄生させようとして、クロオオアリと一緒にしても化粧行為をしなかった新女王アリです。ですが、本当に化粧行為をしないのかを確かめるため、再度機会を持つことにしました。

9月13日9時48分撮影

9月13日、T20220910-54がいるクリアカップの中へ、クロオオアリの働きアリを1匹から3匹まで順次増やしてみたのですが、やはり化粧行為をしませんでした。
そこで、この新女王アリの場合、事前の化粧行為なしでも寄生行動をするのか、とにかく試してみることにしました。クリアカップの蓋を外してから逆さにし、コンクリート人工巣の蓋の上に置き、人工巣の蓋のアクセス穴からBH210523-19の中へ自然に入って行けるようにしました。

BH210523-19のコンクリート人工巣の中に入って行った 9時52分撮影

ところが意外にも、クロオオアリの働きアリから攻撃を受ける間もなく、僅かの間にクロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付きました。

僅かの間にクロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付いた 9時56分撮影

この咬みつきの体勢は、寄生の最初の段階を成し遂げたことを意味しています。順調に寄生が始まったと言うことです。
以下はその後の経過です。

9月14日8時23分撮影
9月15日8時22分撮影
9月16日8時40分撮影
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9月13日から3日間、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの頸を咬み続けています。寄生は順調なようです。

2022年トゲアリの寄生の試み 1 T20220910-53

2通りの方法でトゲアリの寄生を試みようと思います。
① 一時的社会寄生
昨年新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーを寄主とする 5例
② 直短的社会寄生
飼育中のトゲアリのコロニーから働きアリを取り出し、女王アリと合併する 5例

9月12日、トゲアリの新女王アリ(S/N:T20220910-54 9月10日採集)を入れているクリアカップの中に、クロオオアリのコロニーS/N:BH210523-18(新女王アリを昨年の5月23日に採集)の働きアリを1匹入れました。

9月12日10時18分撮影

ところが、T20220910-54は化粧行為はしませんでした。そこで、別のトゲアリの新女王アリ(S/N:T20220910-53 9月10日採集)を寄生させることにしました。この女王アリは化粧行為を直ぐに始めました。

10時26分撮影

クリアカップの蓋を開けると、クロオオアリを捕捉したままカップの外に出て来ましたので、フィルムケースで捕らえて、BH210523-18の飼育ケース(カップ型コンクリート人工巣)の上に持って行き、自然に人工巣の中に入るようにしました。T20220910-53は、クロオオアリを咥えたまま、人工巣の中に入って行きました。

クロオオアリを咥えたままで巣に侵入 11時10分撮影
巣の部屋に入ってたもまだクロオオアリを咥えていた 11時11分撮影

そして、クロオオアリの働きアリから時々攻撃を受けながらも、クロオオアリの女王アリの左頸に咬みつきました。

働きアリから攻撃されるトゲアリの女王アリ 11時35分撮影
クロオオアリの頸に左から咬みついている 11時52分撮影

この咬みつきの体勢は、寄生の最初の段階を成し遂げたことを意味しています。順調に寄生が始まったと言うことです。
以下はその後の経過です。

9月13日9時17分撮影
9月14日8時21分撮影
9月15日8時21分撮影
9月16日8時39分撮影

9月12日から4日間、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの頸を咬み続けています。寄生は順調なようです。