月別アーカイブ: 2023年4月

活動室に翅を落とした新女王アリがいた

B15006の羽アリが、多数、活動室のアンテグラウンドⅠ型に出て来ています。

4月20日13時58分撮影

その中に翅を落とした女王アリがいました。僅かに翅の付け根辺りに翅が残っているようです。

翅を落としてはいるが、僅かに翅が残っている 13時58分撮影

翅が落ちていました。

翅が落ちていた 13時59分撮影

新女王アリとは思いましたが、巣の中を調べてみました。

巣の中の女王アリ 14時3分撮影

確かに女王アリがいました。やはり、活動室の中の翅がない女王アリは、新女王アリでした。

「謎の生き物」の正体 ヘリヒラタアブ

直前のブログ「クリオオアブラムシが急に増えた」で取り上げている写真を見ると、クロヤマアリやトゲアリやクリオオアブラムシではない生き物が写っています。この生き物は、かつて「謎の生き物」として取り上げた(2018年12月9日)生き物と良く似ています。

これまでは、冬になってこの「謎の生き物」を見かけていましたが、この度の写真に写っていた生き物は、この「謎の生き物」と同じ生き物のようです。この生き物は、ヘリヒラタアブの幼虫のようです。

ヘリヒラタアブ 岐阜聖徳学園大学教育学部川上研究室より引用
4月14日撮影

体形が細くなっている方が頭部です。体を縦に波立たせて前進します。

ところで、ヘリヒラタアブの幼虫を見つけた同じ日(4月14日)に、アケビの木でもヒラタアブと思われる幼虫を見つけました。ただ、種は違うようです。

種名は不明だが、アケビの木で見つけたヒラタアブの幼虫

別種ですが、ヒラタアブについては、以前庭で成虫を見つけています。

ノヒラマメヒラタアブのオス

ヘリヒラタアブの幼虫は、クリオオアブラムシにとっては害虫なのですが、その害虫をアリは駆除しないようです。良く言われることに、アリがアブラムシを守っているとされていますが、ヘリヒラタアブの幼虫とアリの関係を見る限りでは、例外があると言うことになります。
それなら、樹上のヘリヒラタアブの幼虫を捕らえて、飼育環境にあるトゲアリのコロニーの中に入れると、トゲアリはこの幼虫を襲わないのでしょうか。
ヘリヒラタアブの幼虫を数匹フィルムケースの中に入れて、蓋をしないでトゲアリの飼育ケースの中に入れてみました。結果は、この幼虫は餌になりました。

左上はヘリヒラタアブの幼虫を入れていたフィルムケース 右下は幼虫に群がるトゲアリ 4月15日撮影

庭のクリの木は、アリの蜜源にしたいと考えていますので、クリの木にとっては益虫であるヘリヒラタアブの幼虫を駆除し、クリオオアブラムシを保護することにしました。

クリオオアブラムシが急に増えた

クリの木のクリオオアブラムシの状況については、こまめに見ていたはずだったのですが、今日、クリオオアブラムシがとてもたくさんになっているのに気づきました。
これまでは、トゲアリが切り株に棲息している西側のクリの木でクリオオアブラムシを見つけていましたが、東側のクリの木に多数のクリオオアブラムシの群生がありました。その数を数えると、およそ15箇所でした。

どの群生にもクロヤマアリが来ていました。
葉に落ちた甘露を舐めているのもクロヤマアリでした。

有翅雌成虫も見かけました。

羽化したばかり?なのか翅が透明
有翅雌成虫

西側のクリの木では、4箇所ほどクリオオアブラムシの群生が見られました。そこにもクロヤマアリが来ていましたが、トゲアリの姿もありました。

4月14日9時52分撮影

12歳で死んだクロオオアリの女王アリ

B110608-07の女王アリが死んでいるのに気づきました。
B110608-07は、2011年の6月8日に長野県駒ヶ根市内の家族旅行村で結婚飛行直後に採集したクロオオアリの女王アリです。

B110608-07の飼育容器

異変に気づくきっかけになったのは、大きめの腹部が目に入ったからでした。

大きめの腹部 頭部も大きめ

ただ、この腹部が女王アリのものかどうかは断定できませんでしたので、人工巣のリトルアンテシェルフの中を見てみました。すると生きた女王アリの姿はなく、死体らしいものが見つかりました。

分離した女王アリの死体のようだ
肢が上を向いている

確かに女王アリは死んでいるようです。
たくさんの幼生虫が残されていました。女王アリがいつ死んだかは特定できないまでも、過去のブログから1月11日以降と言うことになります。

幼生虫
幼生虫
幼生虫

2011年に採集したクロオオアリのコロニーとしては、3コロニーを飼育していたのですが、B110608-07については、寿命が確定したことになります。新女王アリの誕生時期(羽化)が6月の末から7月にかけてだとすれば、B110608-07は12年間以上生きていたことになります。

白い物体

T巣の近くで何やら白いものを運んでいるクロオオアリを見つけました。

4月4日8時46分撮影

暫くすると、近くで別のクロオオアリが同じような白いものを運んでいるのに気づきました。

8時52分撮影

この白いものを実体顕微鏡で見ようと思い、2匹目のクロオオアリから白いものを取り上げました。その際、この白いものが2つに割れてしまいましたが、小さな破片がその場に落ちました。その破片をこの2匹目のクロオオアリが見つけ、L巣へと運んで行きました。

小さな破片を運ぶクロオオアリ 8時56分撮影

この白いものは、これまでも類似のものをよく見かけていました。
参照:
アリ日記 2012/06/06〜08(4)クロオオアリ・ムネアカオオアリの食性」(2012年6月12日)
クロオオアリの食性 白い物体」(2019年10月28日)
実体顕微鏡で見ると、割れた箇所の切り口は黄色をしています。白い物体の中は黄色のもののようです。

2つに割れた白い物体 中は黄色をしている
更に砕いてみても中は黄色だった

ちなみに「クロオオアリの食性 白い物体」では、中まで白でした。
その「クロオオアリの食性 白い物体」では、白い物体をB15006に与えて反応を見ているのですが、その結果を「白い物体の1つが、ごみ捨て場になっている場所に置かれていたことから、B15006のコロニーには、この白い物体は利用価値がなかったと考える方が自然でしょう」とまとめています。
そこで、その追試を行うことにしました。同じくB15006に白い物体を与えてみました。

白い物体に関心を示しているようだ 盛んに触角で白い物体に触れている 4月5日17時34分撮影
暫くすると無関心になった 17時34分撮影
咥えて運ぶこともあったが、白い物体を下ろすと去って行った 17時47分撮影

そこで、クロオオアリのコロニーBH18024にも白い物体を与えてみたのですが、B15006に与えた時と同様に、最初は白い物体に触角で触れて関心を示したのですが、やがて無関心になりました。

最初だけ白い物体に関心を示したが、やがて去って行った 19時24分撮影

白い物体は、屋外のクロオオアリには何らかの有意義な物体だったはずですが、飼育下のクロオオアリは、今回の追試でも、関心がなかったことになります。この違いの要因が何であるかは不明です。
では、この白い物体をトゲアリに与えるとどんな反応があるのでしょうか。飼育下のクロオオアリとトゲアリでは、トゲアリの方が、春のより早い時期から盛んに活動しています。

白い物体に寄ってきたトゲアリ 4月5日17時38分撮影

暫くすると、巣へと運び始めました。

白い物体を巣へと通じる入り口へと運んで行った 17時42分撮影
白い物体が巣の中に運び込まれた時の様子 17時46分撮影

トゲアリはこの白い物体を有意義なもの、恐らく食べられるもの、と認識したようです。更にもう一つ白い物体を与えてみると、同じく巣へと運んで行きました。

白い物体を巣へと運んで行くトゲアリ 17時53分撮影

更に3つ目を与えた時の様子が下の写真です。2箇所にトゲアリが集まっていますが、左が昆虫を分解しているところ、右が白い物体に集まっているところです。昆虫と白い物体で同様の様子が見られることからも、この白い物体を有意義なもの、恐らく食べられるものと認識していると思われます。

集まりの左が昆虫、右が白い物体 17時59分撮影

一体この白い物体は何なのでしょうか。不明です。

B16013(L巣)の生存を確認(2023年)

2019年の6月8日に庭に移植し、6月18日に引越先が分かったクロオオアリのコロニーのB16013(L巣)の生存が確認できました。これで今年になって生存が確認できた庭のクロオオアリのコロニーは7コロニーになります。その内A巣・C巣が自然巣、L巣・N巣・O巣・T巣・U巣が移植巣です。

砂糖水を飲んで巣へと戻るクロオオアリ 4月2日9時9分撮影
砂糖水を飲んで巣へと戻る2匹目のクロオオアリ 9時10分撮影

上の2匹共にL巣がある場所の芝生の中に潜って行きました。

2匹共にL巣がある場所の芝生の中に潜って行った

B16013は、2016年6月11日に蒜山高原で採集した新女王アリのコロニーですので、今年で7年目のコロニーです。