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働く新女王アリ

2019年に庭で「働く」クロオオアリの新女王アリを観察しています。
参照:
働く?脱翅新女王アリ!」(2019年10月28日)
季節外れの半無翅女王アリ その後」(2019年10月26日)
季節外れの半無翅女王アリ」(2019年10月22日)

今年の4月20日に、クロオオアリB15006のコロニーの活動室で、翅を落とした新女王アリを見つけていましたが、それ以後もこの新女王アリは、観察の限りでは、ずっと活動室の中にいました。また、有翅女王アリもまだ何匹かコロニーに残っていて、活動室の中にいました。
今日も昆虫餌を与えたのですが、その餌に脱翅女王アリや有翅女王アリが、働きアリと一緒に食い付いていました。

昆虫餌に食い付く脱翅女王アリ 6月22日11時57分撮影
昆虫餌に食い付く有翅女王アリ 6月22日11時57分撮影
画像をクリック 2分30秒の動画

採集から11年目のコロニー2つ

現在2012年に新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーが2つあります。何れも同年の6月14日に長野県の駒ヶ根市で採集しました。
1つはB120614-86で、既に女王アリを無くしています。

B120614-86の飼育器 2023年6月14日撮影
越冬幼虫と思われるが成長していない ただ越冬幼虫は「極く僅か」であったはず

ところが、卵も見つかりました。

上の写真の一つ上の段 卵もある

越冬幼虫の数が「極く僅か」なはずですが、幼虫が一定数いて、しかも卵があります。ですから、働きアリ産卵とも考えられますが、いないはずの女王アリがいるようにも思えます。最下段の部屋を見ると、常にびっしりと詰まった塊があります。このことも、女王アリがいるかのように見えます。

最下段はいつ見ても、働きアリがぎっしりと塊を作っている

現時点では人工巣のアンテシェルフ内の巣を開けて見ることはしませんので、この疑問は保留とします。

もう1つの2012年採集のコロニーは、B120614-03です。このコロニーの成員は、昨年短期間に大量に死亡して、同年の7月9日の時点で、女王アリの他は働きアリが1匹のみとなり、幼生虫は極く僅かになっていました。そこで、この女王アリの寿命を調べる目的で、クロオオアリの他のコロニーの繭をこのコロニーに与えました。

カップ型のコンクリート人工巣で飼育している 2023年6月14日撮影
コロニーの全体の様子
卵が見られる 産卵能力はまだあるようだ
越冬幼虫だったのだろうか育った幼虫が1匹いた

B120614-03は11回目の結婚記念日を迎えたことになります。寿命としてはほぼ12年になります。

飼育ムネアカオオアリの様子

ムネアカオオアリは、現在、6コロニーと1単独女王アリを飼育しています。1コロニー以外は、何れも2020年の6月3日に駒ケ根市内で採集した新女王アリのコロニーです。
既に3年を経過していますが、大きなコロニーにはなっていません。その中で比較的順調に子育てが進んでいるのは、2つのコロニーです。

R200603-003

R200603-003の飼育器 6月12日撮影
コロニーの全体の様子 越冬幼虫が繭になっている
女王アリ 右

RH18004+R200603-020

単独女王RH18004+無女王R200603-020の飼育器
コロニーの全体の様子
卵と越冬幼虫
越冬幼虫が繭になっている

このRH18004+R200603-020は、働きアリを失った女王アリ(卵多数)と女王アリを失った働きアリ(幼生虫無)を合同したコロニーです。

越冬幼虫が無く、今年になって産卵しているコロニーは4コロニーです。

R200603-005

コロニーの全体の様子
卵がある
女王アリの腹部が膨らんでいる

R200603-021

Seriaのケースの簡易飼育器(開放蓋付き)で飼育
卵がある 女王アリの腹部が膨らんでいる

R200603-023

コロニーの全体の様子 女王アリの腹部が異状に大きい
孵化したばかりの幼虫がいるようだ
卵がある

R200603-033

コロニーの全体の様子
卵がある 女王アリの腹部が異状に大きい

最後は単独女王アリR200603-72です。採集年の8月22日には働きアリが15匹になっていました。

幼生虫はない

直短寄生2例のその後 子育て開始? 成員増は不可

5月30日に、T20220910-18では卵を2個咥えて歩き回るトゲアリの働きアリを観察していますが、今日見ると、飼育器(小型水槽)の中の人工巣の中に卵が運び込まれていて、女王アリと数匹の働きアリも人工巣の中にいました。

人工巣の中 卵が増えている 6月12日8時11分撮影

これはとても大きな変化です。昨年の10月に、直短寄生のコロニーをカップ型コンクリート人工巣から砂を入れた小型水槽に移し入れて以来、働きアリも女王アリも小型水槽の中の人工巣の中に入ることはまずなかったからです。8ヶ月近くも経って初めて、人工巣(1×4材とアクリル板を使って作った簡易な人工巣)を居住の場にしたことになります。

T20220910-16では、働きアリが1匹しか生き残っていません。

1匹だけ生き残っているトゲアリの働きアリ 6月12日8時15分撮影
トゲアリの女王アリT20220910-16 8時16分撮影

そこで、直短寄生の当初からの寄主であるトゲアリのコロニーS/N:T140906-40(新女王アリを2014年の9月6日に採集)から1匹取り出し、T20220910-16の中に入れました。
しかし、たちまち戦いが始まりました。

女王アリと侵入者が戦い、主のトゲアリの働きアリが侵入者に食い付いている 8時20分撮影
主のトゲアリの働きアリは去って行き、女王アリは肢を侵入者に食い付かれたままになった 8時20分撮影

女王アリの方が劣勢になっていましたので、放置するのは止め、進入側のトゲアリを取り出しました。
この方法での合同は成功しませんでした。

想定通りの「開放蓋」

現在全ての飼育コロニー(単独女王アリを除く)の飼育器に開放蓋を使っています。

最初に使い始めたのは昨年の9月2日です。それから9ヶ月程経ちますが、どの飼育器からもアリが脱出することはありませんでした。この開放蓋は構造に問題がなかったようです。

トゲアリはクロオオアリよりも活発に動き回るが、飼育器から脱出できないでいる。

開放蓋を使うことで、飼育器の中へのアクセスがとても便利になっています。

12回目の結婚記念日

2011年に採集した新女王アリのコロニーについて、今年の1月11日に取り上げています。

「現在飼育しているクロオオアリのコロニーの中で、一番採集年が古い女王アリは、2011年に結婚飛行を了えた女王アリです。B110608-06とB110608-07とB110608-11です。何れも6月8日に長野県の駒ヶ根市内で採集しています。」

今日は12年前の採集日に当たります。
以下はその後の様子です。

B110608-06

6月8日撮影
卵が多数見られる
働きアリの個体数は多くはない

1月11日時点では越冬幼虫が極く僅かにいたのですが、育った幼虫も繭もありませんでしたので、死んだことになります。女王アリにはまだ産卵能力が残っていることが分かります。

B110608-07

6月8日撮影
巣内の全体の様子 かなり幼生虫が育っている

1月11日には越冬幼虫が多数見られていますが、その幼虫が育ったことになります。この女王アリは既に4月6日には死んでいることを確認しています。今も女王アリの死骸と思われる死体の一部が残されていました。

胸部 翅を落とした痕らしい箇所がある

B110608-11

6月8日撮影
女王アリは生きている
巣内の全体の様子

1月11日にも越冬幼虫はいませんでしたが、今回も幼生虫はいませんでした。この女王アリは昨年から産卵能力を失っているようです。

B110608-07の女王アリは死亡していましたが、新女王アリの誕生時期(羽化)が6月の末から7月にかけてだとすれば、12年以上生きたことになります。
B110608-11は既に産卵能力を失っているとは言え、B110608-06と共に、羽化からは13年近く生きていることになります。改めて、クロオオアリの女王アリの寿命の長さには驚かされます。

今年も異様に大きな繭

昨年の6月16日に異様に大きな繭を撮影しています。6月30日になって女王アリが誕生しましたから、その異様に大きな繭は女王アリの繭であったことが分かりました。
今年も、その異様に大きな繭ができていました。

6月7日撮影
大きな幼虫も 6月7日撮影
働きアリの幼生虫もとても多い 6月7日撮影

活動室に出て来た昨年生まれのトゲアリ

昨年の10月25日に「活動室に出て来ない今年生まれのトゲアリ」というブログを書きましたが、今日になってS/N:T210912-02のトゲアリが1匹、活動室に出て来ているところを見ました。

活動室に出て来たトゲアリの働きアリ 6月7日7時59分撮影
6月7日時点の巣の中の様子 8時3分撮影

再び蒜山高原へ

5月28日に蒜山高原へにオオアリを採集しに行きましたが、新女王アリは採集できませんでした。再び蒜山高原へ採集に出かけるかどうか迷ってはいたのですが、1週間後の6月4日に蒜山高原へ出かけました。

道の駅蒜山高原から八束自然牧場公園を望む

八束自然牧場公園内では、以前クロオオアリの巣をいくつか見ていて、また直近では5月28日に1箇所見つけていたのですが、この度は見つけられませんでした。もっと時間をかけて探せば、見つけることができたのかも知れません。けれどもそういうこととは別に、あることが気を引きました。地面の至る所が掘り返されているのです。

これはモグラがしたのでしょう。これでは巣が壊されてしまいます。また、モグラの食性として昆虫を食べますから、アリの成虫や幼生虫も食べられることでしょう。
八束自然牧場公園の環境は、クロオオアリが棲息するには適していると思われますが、クロオオアリの巣がほぼ見つからないことの主因がこのモグラの存在なのかも知れません。
百合原休憩園地に行くと、1週間前は草原になっていましたが、草が刈られていました。

すっきりと公園らしく様変わりしましたが、アリにとっては食源を著しく失ったことになります。
次に、5月28日にも羽アリを観察した脇道と自転車道へ行きました。
今日も巣口に羽アリがいました。雄アリです。

雄アリが巣口から出ていた 14時36分撮影
同じ巣の別の巣口 14時37分撮影

16時近くにも観察に行きましたが、雄アリだけでほとんど変化はなく、結婚飛行が行われそうにありませんでした。

15時52分撮影

その後、ヒルゼン高原センター近くの場所に立ち寄りました。1週間前は1箇所、巣口を開き、巣口周辺にクロオオアリがいた場所があったのですが、今日は巣口がなくなっていて、クロオオアリはいませんでした。

1週間前には巣口があった場所 16時15分撮影

蒜山高原に1週間前に訪れた時には、クロオオアリとムネアカオオアリのメインの結婚飛行がこれからなのか、それとも既に済んでいたのか、判断できずにいました。しかし、今回の採集旅行を通して、5月28日時点で既にメインの結婚飛行が済んでいたと思えるようになりました。
恐らくは、5月17日にメインの結婚飛行があったのでしょう。

庭の羽アリが巣口から出て来た

庭の羽アリの様子については、5月22日に触れています。その時は、羽アリは巣口からはほとんど出て来ていませんでした。
6月1日、午後は曇で気温も23℃前後でしたので、結婚飛行はないだろうと思いながらも、17時40分頃に庭に出てみると、まだ翅のある女王アリが歩いていました。

有翅女王アリが庭を歩いていた 17時41分撮影

そこでその場所から一番近いA巣とU巣を見に行くと、比較的多くの羽アリが巣口から出ていました。その後、C巣を見に行くと、ここでも羽アリが巣口から出ていました。

A巣の様子

雄アリばかりのようだ 17時42分撮影
蜜器にも登っていた 17時50分撮影
雄アリの数が少なくなってきた 18時27分撮影

U巣の様子

雄アリが巣口から出ている 有翅女王アリが頭部をのぞかせている 17時42分撮影
巣口から出て来た有翅女王アリ 17時53分撮影
有翅女王アリが巣口の近くを歩いていた 17時53分撮影
雄アリが巣口からたくさん出て来ていた 18時01分撮影
働きアリも含めて全体的に数が少なくなっていた 18時28分撮影

C巣の様子

雄アリが巣口から出て来ている 17時44分撮影
巣口から少し離れたところに複数の有翅女王アリがいた 17時45分撮影
蜜器に登った有翅女王アリ 17時46分撮影
有翅女王アリが近くのプラムの木に上って行った 18時02分撮影
羽アリがいなくなっていた 18時28分撮影

3箇所のコロニー共に羽アリが巣口から出て来たのですが、飛び立つ羽アリは見ませんでした。17時40分からという限られた時間帯の観察だったので断言はできないのですが、今日は結婚飛行は行われなかったと思われます。
今後の結婚飛行を期待したいと思います。