月別アーカイブ: 2023年9月

直短寄生のT20220910-18 卵がなくなる

直近のトゲアリT20220910-18のブログ(9月18日)では、「6月12日や7月25日の時と比べると(卵が)少なくなっています」と書きましたが、今日9月29日、働きアリは2匹のままいるものの、卵が見当たりませんでした。

9月29日14時56分撮影
14時56分撮影

参照:T20220910-18関連
2022年9月25日のブログ「2022年トゲアリの直短寄生の試み 3・4・5」
2022年10月6日のブログ「直短寄生5例のその後(10月6日)」
2022年10月25日のブログ「直短寄生4例のその後(10月25日)」
2022年11月22日のブログ「直短寄生が2例のみ残る」
2023年1月9日のブログ「直短寄生2例のその後(1月9日)」
2023年5月30日のブログ「直短寄生2例のその後(5月30日)」
2023年6月12日のブログ「直短寄生2例のその後 子育て開始? 成員増は不可」
2023年7月25日のブログ「孵化がまだのT20220910-18」
2023年8月1日のブログ「直短寄生のT20220910-18 巣から出る」
2023年9月18日のブログ「直短寄生のT20220910-18 働きアリが2匹に」

トゲアリの女王アリを採集(2023年2回目)

9月9日に引き続き、9月23日にトゲアリの女王アリを採集しに滋賀県に行きました。早朝に降雨はなく、晴れてきていましたので、採集できることを期待して、例年の採集地点まで出かけました。
9月10日に6匹を採集した箇所で、トゲアリの女王アリが2匹、地上を歩いていました。

中央右側にも1匹写っている 9月23日8時33分撮影
2匹の採集場所

10日に5匹を採集したD巣まで行くと、巣の様子に明らかに変化がありました。樹の空洞の外周りを歩く働きアリの数が少なくなっていました。

樹の空洞の外周りにいる働きアリが少ない

空洞の中の様子を覗いてみると、羽アリがいないようでした。

空洞の上方の様子 8時41分撮影
羽アリが見当たらない 8時42分撮影
羽アリが見当たらない 8時42分撮影

10日の時には、樹の幹上で脱翅女王アリがトゲアリの働きアリに取り囲まれて攻撃されていたのですが、この日は見かけませんでした。
過去何年かにも渡って数多く採集できていたA巣の近くの箇所でも、10日の時と同様に1匹も採集できませんでした。

A巣のすぐ近く

結局、この日を通して2匹しか採集できませんでした。
その2匹ですが、2匹とも傷ついていました。1匹は右後脚を基節から引きずって歩いていて、もう1匹は右前脚の転節以下を失っていました。

右後脚が不自由に
右前脚を失っている

2匹しか採集できなかったことを考えると、今日は結婚飛行はなかったようです。この2匹については、傷ついていたことから考えて、今日以前に結婚飛行を了えていて、何日か地上を歩いていた〈(1)(2)(3)〉のでしょう。そもそも、D巣の様子から考えると、今年の結婚飛行は既に終わっていたようです。

ちなみに2013年以後の記録で、9月下旬に採集した女王アリの数は次のようです。
2013年
  9月21日 20匹(29.2/18.2℃)
  9月24日 26匹(29.6/19.6℃)
  9月25日   6匹(30.1/20.5℃)
2015年
  9月28日 10匹(採集目標10匹に達したため)

トゲアリの大コロニーの大量の寿命死

T140906-40は、2014年の9月6日にクロオオアリのコロニーに寄生したトゲアリの大コロニーです。今年の9月で9年目を迎えます。

巣本体 2023年9月19日撮影
9月8日撮影

活動室アンテグラウンドⅡには、大量の働きアリの死体が積み上げられています。恐らく寿命で死んだのでしょう。

大量の働きアリの死体 9月19日撮影

直短寄生のT20220910-18 働きアリが2匹に

9月18日、直短寄生のT20220910-18では、働きアリが2匹になっていました。

働きアリ1匹目
働きアリ2匹目 女王アリは9月13日頃から再び人工巣に入るようになった

卵があるようです。6月12日や7月25日の時と比べると少なくなっています。

最初に産卵を確認したのは、5月30日でしたが、これまで1度も孵化した幼虫を見ていません。
卵が孵化しないという事例は、昨年一時的社会寄生をした「トゲアリの寄生の試み 5 (BH210523-29にT20220910-67が寄生 )」でも見られました。なぜ孵化しないのか分からないままになっていますが、このことから「孵化の条件」のようなもの(鳥の有精卵は適温と転卵が孵化の条件)がやがて分かるようになればと思います。

参照:T20220910-18関連
2022年9月25日のブログ「2022年トゲアリの直短寄生の試み 3・4・5」
2022年10月6日のブログ「直短寄生5例のその後(10月6日)」
2022年10月25日のブログ「直短寄生4例のその後(10月25日)」
2022年11月22日のブログ「直短寄生が2例のみ残る」
2023年1月9日のブログ「直短寄生2例のその後(1月9日)」
2023年5月30日のブログ「直短寄生2例のその後(5月30日)」
2023年6月12日のブログ「直短寄生2例のその後 子育て開始? 成員増は不可」
2023年7月25日のブログ「孵化がまだのT20220910-18」
2023年8月1日のブログ「直短寄生のT20220910-18 巣から出る」

「10年目の再生コロニー」(B120614-03)のその後

B120614-03は、2012年の6月14日に長野県の駒ヶ根市で採集したクロオオアリの女王アリのコロニーです。このコロニーの成員は、2022年になって短期間に大量に死亡して、2022年7月9日の時点で、女王アリの他は働きアリが1匹のみとなり、幼生虫は極く僅かになっていました。
そこで、コロニーの消滅を防いで、この女王アリの寿命を調べようと、7月9日、他のコロニーから繭を30個与えました(11歳女王アリのコロニーを再生)。

参照:直近の記録:2023年6月14日ブログ

以下は、9月18日の様子です。働きアリが25匹、雄アリが16匹いました。

昨年の7月9日に与えた繭は、全て羽化しているはずですし、越冬幼虫の1匹も羽化しているはずですから、現有の幼生虫は全てB120614-03が産んだことになります。ところで、働きアリが25匹いましたので、働きアリの寿命を考慮すれば、この25匹は30個の繭から羽化した働きアリの可能性が高いと考えられます。また、雄アリ16匹は、30個の繭から羽化したのではないのですから、B120614-03が産んだことになります。
現有の幼生虫が羽化してみなければ、断定はできないのですが、もし働きアリが増えずに、雄アリが増えるようでしたら、B120614-03は産卵能力は残っているものの、有精卵を産む能力はなくなっていることになるでしょう。

トゲアリの女王アリを採集(2023年1回目)

9月9日、トゲアリの女王アリを採集するため、滋賀県彦根市内の2012年以来観察・採集している地点に行きました。

2021年から観察しているD巣 9月9日16時40分撮影
2012年から観察しているB巣 16時45分撮影
2012年から観察しているC巣 16時46分撮影
2012年から観察しているA巣 撮影は翌日10日の9時45分

この日は、夕刻からの観察であったのですが、トゲアリの女王アリは、地上や樹上で見つけることはできませんでした。
翌日の9月10日、9時過ぎに採集地に行くと、しばらくして地上を歩いているトゲアリの脱翅女王アリを見つけました。

最初に採集した脱翅女王アリ 9時11分撮影

そして同じ箇所で更に4匹を採集しました。

この写真には3匹の脱翅女王アリが写っている 上方中央に2匹、下方右寄りに1匹 9時12分撮影

D巣に行くと、過去2年に渡って繰り返し見てきたことですが、3箇所で脱翅女王アリがトゲアリの働きアリに取り囲まれて攻撃されていました。

脱翅女王アリがトゲアリの働きアリに取り囲まれて攻撃されている 9時17分撮影
別の脱翅女王アリがトゲアリの働きアリに取り囲まれて攻撃されている 9時18分撮影

樹の空洞の中を覗いてみると、昨年同様に空洞の上方に塊が見られ、羽アリもいました。

樹の空洞の中のトゲアリの塊 9時20分撮影
羽アリが写っている 9時24分撮影
羽アリが写っている 9時29分撮影

D巣の樹の麓で、トゲアリの脱翅女王アリがフタフシアリ亜科のアリに攻撃されていました。

D巣の樹の麓で 9時29分撮影

また、最初に採集した箇所で更に1匹を採集しました。この1匹は、草の葉の上で休んでいました。

9時50分撮影

この日、合わせて12匹を採集しました。
翌日9月11日は、早朝降雨がありました。8時過ぎに同じ採集地に出かけましたが、結婚飛行は行われなかったようでした。間もなく雨が降りだし、採集できずに帰りました。

気象データ:

9月9日(終日値) 晴または曇
 最高/最低気温(℃):30.8/23.0  降水量(mm):0.0

9月10日(午前10時までの値) 晴または曇
 最高/最低気温(℃):30.0/24.1  降水量(mm):無

9月11日(午前8時までの値) 晴・雷・曇・雨
 最高/最低気温(℃):25.9/24.7  降水量(mm):0.5未満

働きアリが産んだ幼生虫

クロオオアリの女王アリB110608-07は、今年の1月11日以降4月6日までの間に死亡しています。
その残されたコロニーですが、9月7日の時点で、卵と小さな幼虫がいます。

9月7日撮影
9月7日撮影

この卵と幼虫は、働きアリが産卵したものと推定できます。

一時的社会寄生のトゲアリ5例の様子(9月7日)

トゲアリの寄生の試み 1 (BH210523-18にT20220910-53が寄生 )

8月2日には、トゲアリの働きアリが1匹でしたが、16匹ほどになっています。また、蛹と幼虫が見られ、恐らくトゲアリの幼生虫だと思われます。

トゲアリの寄生の試み 2 (BH210523-19にT20220910-54が寄生 )

元々女王アリがいた巣部屋
別の巣部屋 女王アリがこちらにいた

大きなトゲアリの寄生コロニーになってきています。卵はないようですが、幼虫と蛹があります。

トゲアリの寄生の試み 3 (BH210523-21にT20220910-65が寄生 )

8月2日の時点でもトゲアリの働きアリはいませんでしたが、今回もトゲアリの働きアリはいませんでした。この時、トゲアリの女王アリが卵を咥えていました。

トゲアリの寄生の試み 4 (BH210523-23にT20220910-44が寄生 )

8月2日には、トゲアリの働きアリは4匹でしたので、トゲアリのコロニーが大きくなってきています。

トゲアリの寄生の試み 5 (BH210523-29にT20220910-67が寄生 )

8月2日の時点でも卵でしたが、今回も卵のままでした。ところで、5月27日の時点でも卵でしたので、少なく見積もっても2ヶ月以上卵のままと言うことになります。

2010年生まれのクロオオアリの女王アリの死 13才

9月7日、クロオオアリの女王アリB110608-11が死亡していました。死亡して何日か経っているようでした。

左が胸部、右が腹部 9月7日撮影

B110608-11は、2011年に結婚飛行を了えた女王アリです。6月8日に長野県の駒ヶ根市内で採集しています。この女王アリは昨年から産卵能力を失っていました。
2010年の7月頃に羽化したと考えられますので、13年以上生きていたことになります。私の飼育下で、最も長生きをしたクロオオアリの女王アリになります。