ダンゴムシがクロオオアリの餌になれば、とても豊富な食源になると思うのですが、クロオオアリがダンゴムシを狩っているところはこれまで見たことがありません。ただ、たまに死んで白っぽく変色したダンゴムシを咥えて運んでいるところを見たことはありました。
ところが、B200603-034の引越を観察している時、B200603-034の働きアリの1匹が、ダンゴムシに咬みつこうとしているところをたまたま目にしました。
月別アーカイブ: 2024年4月
B200603-034の引越が始まっていた(4月30日)
4月29日は、「雨時々曇」であったため、移植後の様子を観察していなかったのですが、30日に見ると、既に引越が始まっていました。
3箇所で巣作りが行われていました。
巣作り中の3巣目は、巣箱の東方にありました。
実はこの場所は、N巣がある場所です。争いが起こるのではないかと思ったものの、そのような場面はありませんでした。
移植時の引越では、複数の箇所で巣作りが始まることについては、既に「BM19003を移植 引越先が分裂?」や「B15099を移植 4日目 ほぼ引越完了」「B14034+133の引越先」などで観察しています。
クロオオアリは、自然界では営巣途中で巣を引っ越すことはないと考えられますので、人為的な「移植」では、新たに巣を作り始める前に引越先を統一する能力は備わっていないのでしょう。
まだ、引越はこれからのようでした。
10時ごろからは、幼虫を運ぶ働きアリを多数見るようになりました。
引越先が「西方巣」に統一されたのでしょうか。
夕刻、人工巣の中を見て確かめることにしました。人工巣の中は、働きアリも幼生虫も少なくなってはいましたが、そこにはまだ女王アリが残っていました。
B200603-034を移植(4月28日)
T20220910-67が今年も産卵 昨年は孵化せず
トゲアリの寄生の試み 5のT20220910-67が産卵していました。
ほぼ2週間前の4月10日の観察の際には、トゲアリの越冬幼虫はいませんでした。ただ、女王アリの腹部がかなり膨らんでいました。
T20220910-67は、昨年も産卵をしていましたが、その卵が9月になっても孵化していませんでした。
今年は孵化して成虫になるでしょうか。
追試 B120614-03の産卵
4月9日のブログで、B120614-03の様子を取り上げています。
その時には、越冬幼虫はいませんでした。
4月25日、卵を産んでいました。
このコロニーについては、今年の1月21日に、(以上のことから「B120614-03は産卵能力は残っているものの、有精卵を産む能力はなくなっている」と結論づけてもよいのではないかと思います)と結んでいます。今回は、その追試となります。
C巣の巣口発見
4月25日の朝方、自宅で飼っている西洋ミツバチが分蜂して、庭のプラム大石早生に蜂球を作っていました。
その蜂球を見ている時に、偶然にも小さな塊が落下するところを見ました。その時は、ただの蜂球の一部が落下したと思っていたのですが、10時半過ぎに、落下したと思われる場所に女王バチがいるのを見つけました。その女王バチは、働きバチに取り囲まれていました。この時、既に蜂球はなくなっていました。
しばらくして見に行くと、女王バチは死んでいました。女王バチは殺されたのでしょう。ミツバチは、分蜂直後に蜂球を作ってから営巣する場所を探すため、ミツバチの群れが飛び立つにはそれなりの時間が必要です。今回は蜂球がとても早くなくなったのは、女王バチに何らかの欠陥があったため、働きバチたちが蜂球の中から女王バチを排除したからなのでしょう。
女王バチが殺されていた場所には、既に複数のクロオオアリが来ていました。そして、そのすぐ近くに巣口があるのが分かりました。このコロニーはC巣(自然巣)のようです。今年になって、初めてC巣の巣口を発見することができました。
人工巣から出てこない
今になっても、ほとんど人工巣から出てこないコロニーがあります。クロオオアリのコロニーBH210523-60(結婚飛行を終えた新女王アリを2021年5月23日採集)です。
越冬幼虫が全く育っていません。干からびて死んでいるように見えます。
人工巣アンテシェルフの最下段両側のアクリルパイプの穴は開いてはいますが、砂で詰めた痕が見られます。
女王アリは健在のようですが、女王アリがいる同じ最下段の部屋には、かなりの数の働きアリの死骸があります。
活動室の中で活発に動いていた有翅女王アリ
4月13日、この日は、岡山市で今年初めて最高気温が18℃を越えました(18.1℃)。アリの飼育部屋は、西日の影響を受けやすく、午後5時半過ぎには室温が27.9℃に達していました。
B15006(クロオオアリのコロニー)の活動室(アンテグラウンドⅠ型)の中を見ると、昨年生まれの有翅女王アリが2匹、活発に動き回っていました。今にも、結婚飛行に飛び立つかのようでした。
こんなことは、今年になって初めてのことでした。
一時的社会寄生のトゲアリ5例の様子(2024年4月10日)
この寄生トゲアリの5例の様子は、前回は今年の1月15日に取り上げています。この5例は、何れも2022年の9月に寄生を始めたコロニーです。
トゲアリの寄生の試み 1 (BH210523-18にT20220910-53が寄生 )
トゲアリの寄生の試み 2 (BH210523-19にT20220910-54が寄生 )
トゲアリの寄生の試み 3 (BH210523-21にT20220910-65が寄生 )
トゲアリの寄生の試み 4 (BH210523-23にT20220910-44が寄生 )
トゲアリの寄生の試み 5 (BH210523-29にT20220910-67が寄生 )
宿主のクロオオアリはまだ生存しています。何れも2022年の9月に寄生されたクロオオアリのコロニーですから、今生存しているクロオオアリは遅生まれで2022年生まれか(寄生の試みの全て)、越冬して2023年生まれか(寄生の試みの3と4)になります。
トゲアリの3コロニーの越冬明けの越冬幼虫の様子
現在飼育しているトゲアリのコロニーは8コロニーありますが、その内の3コロニーの越冬幼虫の様子を記録しておきます。
この3コロニーの今年1月末の様子については、こちらをご覧ください。
1)T140906-40(2014年9月11日 B-NESTCON01024(2012/06/14採集)に進入)
昨年参照
2)T180919(2018年9月22日 B15002(2015/05/15採集)に進入)
3)T210912-02(2021年9月16日 BK170530-040(2017年5月30日採集)に進入)
毎年の春先のことですが、飼育下では、トゲアリの方がクロオオアリよりも早くから活動を始めています。同時期のクロオオアリの越冬幼虫と比べると、トゲアリの越冬幼虫の方が早くから成長を始めていたことがわかりますが、これは、トゲアリの方が活動を始める時期が早いことによるのでしょう。
クロオオアリ8コロニーの越冬幼虫の様子(4月9日)
現在飼育しているクロオオアリのコロニーの中から、8コロニーを取り上げて、越冬幼虫の様子を記録しておきます。
1)B15006(2015年採集)
現在飼育しているクロオオアリのコロニーの中では、一番大きなコロニーです。
2)BH18024(2018年採集)
3)2020年採集の3コロニー
⑴ B200603-034
⑵ B200603-067
⑶ B200603-075
4)2021年採集の3コロニー
⑴ BH210523-30
⑵ BH210523-32
⑶ BH210523-37
2011年・12年採集の4コロニーの様子
2011年と2012年に新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーがそれぞれ2コロニーずつ生存しています。これら、4コロニーについての現状を記録しておきます。
1)B110608-06(2011年6月8日に長野県の駒ヶ根市内で採集)
過去のブログより
2)B110608-07(2011年6月8日に長野県の駒ヶ根市内で採集)
過去のブログより
3)B120614-03(2012年6月14日に長野県の駒ヶ根市内で採集)
この再生コロニーについては「11歳女王アリのコロニーを再生」を参照
過去の様子は、直近のブログ(「10年目の再生コロニー」で無精卵産卵)を参照
4)B120614-86(2012年6月14日に長野県の駒ヶ根市内で採集)
この女王アリは、2023年1月8日に死亡を確認しています。2022年に死亡したと考えられます。
過去のブログ(「採集から11年目のコロニー2つ」を参照)
新たにN巣・J巣・T巣の生存を確認
昨年の秋、庭のクロオオアリのコロニーの内、生存が確認できていたのは、6巣でした。
10月15日:L 巣 B16013(2019 年 6 月 8 日移植 18 日定住発見)
同上:新たに発見したネクタリンの木の近くの巣(C巣自然巣かも知れない:2016 年 4 月 11 日発見)
10月25日:A巣自然巣(2016 年 4 月 13 日発見)
11月02日:N巣B16015(2019年6月19日移植 29日引越定住)
同上:J巣自然巣(2018年5月21日発見)
同上:T巣BK170530-133+BH170521-023(2020年9月27日移植 10月26日引越定住)
今年になって生存が確認できたのは、A巣・C巣・O巣B15099(2019 年 8 月 23 日移植)です。
4月7日、新たにN巣・J巣・T巣の生存を確認しました。
N巣
J巣
測量杭の上端に大型のクロオオアリが1匹登ってきていました。そこで蜜を与えました。帰路を追うと、禅寺丸(柿)に近い芝地の中で姿を消しました。
測量杭の上部に蜜器を被せ、蜜を入れておきました。
それから50分程すると、仲間がやって来ていました。蜜器に2匹、帰路中が1匹、少なくとも3匹が来ていたことになります。
T巣
コンクリート階段の下の踊り場で、複数のクロオオアリが歩いているのに気づきました。そこで、蜜を垂らし帰路を追いました。
蛇足になりますが、T巣のクロオオアリは、踊り場横の2本のブルーベリーに行っていたようです。
C巣が同一のコロニーであるかどうかは確かめられてはいませんが、仮にどちらもC巣だとすれば、今年になってまだ生存が確認できていないコロニーはL巣だけになります。
ミツバチの死骸が越冬明けのタンパク源に
3月30日に本格的に活動を始めた庭のクロオオアリの内、A巣の辺りを見に行くと、何やら昆虫らしいものを運んでいる大型のクロオオアリがいました。よく見るとミツバチの死骸でした。
他にもミツバチの死骸を運んでいるクロオオアリがいて、そのクロオオアリは途中で死骸を置いてその横で休憩を取っていました。
更に死骸を運ぶ3匹目のクロオオアリを見つけました。この死骸もミツバチなのでしょう。
この3匹目のクロオオアリの後を追ってみると、3月30日に見つけた巣口とは違って、そのすぐ西にある穴から地中へと入って行きました。
間もなくして、最初に見つけたクロオオアリも同じ巣口へと入って行きました。
これらのミツバチの死骸は、ミツバチの巣箱の下に落ちている死骸のようです。これらは、ミツバチヘギイタダニというダニによって死んだミツバチや、越冬を終えて寿命で死んだミツバチです。
この時期、餌になる昆虫などのタンパク源は少ないと思いますが、図らずもミツバチの死骸が、クロオオアリにとっての越冬明けの貴重なタンパク源になっているようです。
早くもサンタローザと露茜にアブラムシがいた
庭のプラムサンタローザの木にクロオオアリが来ていたことについては、3月30日のブログに書きましたが、昨年もサンタローザの木にクロオオアリが来ているのを3月20日に観察していました。
今日4月2日、サンタローザの木を見ていると、一箇所だけでしたがアブラムシの群生を見つけました。
また、別の場所で、1匹だけで葉に付いているアブラムシを見つけました。
今日もクロオオアリが来ていました。
それから1時間ほど経って、再びサンタローザの木を見ると、先程のアブラムシがいた場所にクロオオアリが来ていました。
ちなみに、梅露茜は、既に開花を終え、葉が出てきていますが、ここにもアブラムシが1箇所付いていました。
B110608-11の13年間弱の歩み
4月1日、B110608-11が働きアリを1匹残して死滅していました。
B110608-11は、新女王アリを2011年6月8日に駒ケ根市で採集したクロオオアリのコロニーです。コロニーの創巣から12年9ヶ月もの間、存続し続けたことになります。
ここで、このコロニーについて分かっていることを振り返ってみます。
2011年6月8日 「オオアリを採集」からの引用
昨年の6月8日に、長野県駒ヶ根市の菅の台辺りで、クロオオアリの女王アリを採集しました。そこで、今年も同じ日に出かけました。
ほぼ同じ場所を探しましたが、ムネアカオオアリの女王アリを2匹見かけただけで、目当てのクロオオアリの女王アリは見つけることができませんでした。
そこで、家族旅行村アルプスの丘に出かけました。幸運にも道沿いにこれから結婚飛行(交尾)に出かけようとしているたくさんのクロオオアリの巣を見つけることができました。
やがて、コンクリートを敷き詰めているかなり広い場所のあちこちに、翅を落とした女王アリが歩いているのを見つけました。午後4時ごろのことでした。
2016年6月22日の記録
既に5年経過していますが、この時、働きアリは35匹で、繭・幼虫・卵がありました。
2017年7月 それまではカップ型コンクリート人工巣で飼育していましたが、グッピー水槽に移しました。
2021年6月8日 「おめでとう! 結婚10年記念日」からの引用
このコロニーも小規模ですが、子育てをしています。
2022年6月8日 「おめでとう! 結婚11年記念日」からの引用
小規模なコロニーです。ここには写っていませんが、幼生虫が僅かにいます。
2023年1月11日 「生き続ける2011年採集の女王アリ」からの引用
2023年6月8日 「12回目の結婚記念日」からの引用
1月11日にも越冬幼虫はいませんでしたが、今回も幼生虫はいませんでした。この女王アリは昨年から産卵能力を失っているようです。
2023年9月7日 「2010年生まれのクロオオアリの女王アリの死 13才」からの引用
9月7日、クロオオアリの女王アリB110608-11が死亡していました。死亡して何日か経っているようでした。
B110608-11は、2011年に結婚飛行を了えた女王アリです。6月8日に長野県の駒ヶ根市内で採集しています。この女王アリは昨年から産卵能力を失っていました。
2010年の7月頃に羽化したと考えられますので、13年以上生きていたことになります。私の飼育下で、最も長生きをしたクロオオアリの女王アリになります。
まとめは以上となります。13年間の長きに渡って、貴重なデータを提供し続けたB110608-11に、昆虫とは言え、感謝しなければと思います。