日別アーカイブ: 2024年6月2日

「追試 B120614-03の産卵」その後(6月2日)

B120614-03は、女王アリの寿命を調べる目的でコロニーを再生したクロオオアリの女王アリです。
4月25日のブログで、その様子に触れています。

卵がある 4月25日撮影

今日6月2日の様子は次のようです。

卵のみがある 6月2日撮影
こちらがメインの巣室になっている 6月2日撮影

4月25日からだけでも5週間以上経っていますが、まだ孵化していません。ただ、卵の数は増えているようにも見えます。
卵はこれから先、孵化するでしょうか。また、これらの卵はやはり無精卵なのでしょうか。

働きアリ産卵を追視

働きアリ産卵と思われる事例は、既に2023年6月14日のブログ〈B120614-86(2012年6月14日に長野県の駒ヶ根市内で採集)〉で取り上げています。
このコロニーの女王アリは、2023年1月8日に死亡を確認しています。このコロニーは、今年の4月9日には越冬幼虫は見当たりませんでした。

B120614-86 越冬幼虫は見当たらない 2024年4月9日撮影

ところが、6月2日には既に卵が多数ありました。

下から2段目の巣室 6月2日撮影
最下段の巣室にも卵があった 6月2日撮影
B120614-86の全体の様子 まだまだたくさんの働きアリ(2023年羽化成虫を含む)がいる 6月2日撮影

働きアリ産卵の2例目としては、B110608-07が挙げられます。このコロニーの女王アリは、2023年4月6日に死亡を確認しています。
今年の4月9日の記録では、幼生虫としては越冬幼虫が2匹いました。ところが、6月2日には既に卵が多数ありました。

卵が多数ある 6月2日撮影
B110608-07の全体の様子 6月2日撮影

以上の2つの事例から、「女王アリを失ったクロオオアリのコロニーでは、働きアリが産卵する」と言えます。ただし、条件を付記するとすれば、「営巣から10年を越えている終端期のコロニーの場合」だということになります。

一時的社会寄生のトゲアリ5例の様子(2024年6月2日)

2022年の9月に寄生を始めた一時的社会寄生のトゲアリ5例の様子は、前回は4月10日に取り上げています。
今回は、4月の様子と比べながら6月2日の様子を記録しておきます。

トゲアリの寄生の試み 1 (BH210523-18にT20220910-53が寄生 )

越冬幼虫が育ちつつある 4月10日撮影
卵が多数 幼虫は2匹 6月2日撮影

4月10日には越冬幼虫がかなりいたのですが、今回は2匹しかいませんでした。この時期、越冬幼虫は蛹だと思われますので、他の越冬幼虫は死んだのではないかと思います。
卵が多数ありました。

トゲアリの寄生の試み 2 (BH210523-19にT20220910-54が寄生 )

越冬幼虫が多数育ちつつある 4月10日撮影
繭が多数見られる 6月2日撮影
女王アリの腹部がよく膨らんでいる 6月2日撮影

越冬幼虫が順調に育ったように見えます。コロニーの本体が、コンクリート巣の上面に移動していました。

トゲアリの寄生の試み 3 (BH210523-21にT20220910-65が寄生 )

クロオオアリはまだ多数いるが、トゲアリの成虫も越冬幼虫もいない 4月10日撮影
トゲアリの成虫はいない 卵が多数ある 6月2日撮影
幼虫は2匹 6月2日撮影

4月10日の記録では、越冬幼虫がいないとされていますが、実際は最低2匹はいたのでしょう。

トゲアリの寄生の試み 4 (BH210523-23にT20220910-44が寄生 )

育ち始めている越冬幼虫が見られる 4月10日撮影
越冬幼虫が順調に育ったように見える 卵もある 6月2日撮影 

トゲアリの寄生の試み 5 (BH210523-29にT20220910-67が寄生 )

クロオオアリの数は少なめだ トゲアリの成虫も越冬幼虫もいない 4月10日撮影
卵が多数ある 6月2日
女王アリの腹部は4月10日よりも更に大きく膨らんでいるように見える 6月2日撮影

以上の5例を比較すると、2例目のT20220910-54が一番よく繁栄していることが分かります。次に繁栄しているのは4例目のT20220910-44です。