8月28日のブログ「脱翅女王アリが別のコロニーの中へ そして本巣の中へ」のその後ですが、トゲアリの女王アリが3匹死んでいました。この3匹が、28日に観察した3匹なのかはわかりません。



クロオオアリのコロニーBK170530-081は、アンテグラウンドⅢ型の活動室を使っていますが、この活動室は開放蓋にしています。
8月24日、この活動室の中で、トゲアリの脱翅女王アリを見かけました。8月21日から飛翔を観察しているT140906-40から飛んできた女王アリと思われます。
そのままにしておきました。
8月31日に見ると、トゲアリの女王アリの死体が、このコロニーのゴミ置き場で2体見つかりました。
念のために、このクロオオアリのコロニーの女王アリの様子を確かめました。普段と変わらない様子でした。
8月24日、トゲアリのT210912-02の活動室(アンテグラウンドⅢ型)で、トゲアリの脱翅女王アリを3匹見つけました。このコロニーは創設3年目で、羽アリはまだ誕生していません。ですから、この3匹は、8月21日から飛翔を観察しているT140906-40の女王アリです。
これらのトゲアリの脱翅女王アリは、T210912-02の活動室は開放蓋になっているので、活動室の中にたまたま飛び込んだのだと思います。だとすると、活動室に入った時には、有翅のままだったことになります。そこで、活動室の中で脱翅したことになりますが、活動室の中はかなり生活ごみが散乱しているためなのかも知れませんが、落とした翅は見つかりませんでした。しかも、3匹が3匹共に翅を落としていたのですから、交尾を了えていたのかも含めて、本当はどのような経緯だったのか疑問が残ります。
8月28日、トゲアリの働きアリが、活動室内でトゲアリの脱翅女王アリを咥えて運んでいました。
活動室の中には24日の時点で、脱翅女王アリが3匹いたわけですが、このトゲアリの働きアリに運ばれていた女王アリを含めて、2匹しか見当たりませんでした。脱翅女王アリの死体も見当たりませんでした。
その運ばれていた女王アリは、やがて放たれて活動室の中を歩いていましたが、しばらくして本巣へと通じるアクリルパイプの中に入って行きました。そして、その先のシリコンホースの中を本巣へと進んで行きましたが、様子を見ているとトゲアリの働きアリが進路を防ごうとしているかに見える場面もありました。ですが、間もなく脱翅女王アリは本巣の中に入って行きました。本巣の中は、トゲアリの働きアリで充満していましたので、その後の動きは観察できませんでした。
8月20日、トゲアリのコロニーT140906-40の活動室に簡易的な飛翔台を設置して以来、開放蓋の上などにトゲアリの生活ごみが載るようになりました。
これはとても不思議なことです。生活ごみを飛翔台に上って落とすだけなら、真下に落ちるでしょうから、開放蓋には載らないはずです。
トゲアリが、どんなふうに生活ごみを落としたのかを知りたいのですが、まだ観察ができてはいません。
岡山市の日の出時刻は、8月21日が5時29分、8月25日が5時33分です。
夜の21時頃は、結婚飛行の兆しは見られませんでしたので、トゲアリは夕刻日が暮れて結婚飛行をするのではないことが分かります。
深夜は観察していませんが、3時頃には羽アリたちは既に結婚飛行に向けて動き始めているようです。日の出の1時間半前頃(4時頃)になると、結婚飛行に向けての動きが活発になっています。そして、日の出時刻の1時間半後(7時頃)には、結婚飛行に向けての動きがほぼ見られなくなっています。
今から10年前の2014年に、「トゲアリの結婚飛行に出会いたくて」という題のブログを7回に渡って書いています。その中の第(3)稿では、23時台に羽アリが巣から出てきているところを観察しています。
また、第(4)稿では、1箇所のコロニーで20時台で羽アリを観察しています。
第(5)稿では、4時からの観察で、4時台に多数の羽アリを観察していて、7後頃まで羽アリが巣からで出ています。そして、7時を過ぎると羽アリが少なくなり、8時を過ぎると羽アリが見られなくなっています。
10年の時を経て、トゲアリの結婚飛行に際して、飼育下での羽アリの様子と自然界での羽アリの様子を見比べることができたことは、とても有意義なことのように思います。
飼育下の1コロニーから飛び立った脱翅女王アリ(交尾の有無は確認できていない)を元の巣に戻すとどうなるのでしょうか。8月22日に採集した3匹の脱翅女王アリで試してみました。
この3例を見る限り、飛び立った元の巣の働きアリたちに受け入れられたようです。
下の2つの写真は、2022年にトゲアリの採集地で撮影しました。トゲアリの巣がある樹の上方から幹伝いに下りてきたトゲアリの脱翅女王アリをトゲアリの働きアリが攻撃しているところです。
ちなみに、上掲の3例との違いは、下写真の脱翅女王アリは結婚飛行(受精)を済ませていますが、3例では受精を済ませているのかどうかが不明です。また、3例での脱翅女王アリは、元の巣に戻ったのですが、下写真の脱翅女王アリは、働きアリと同じコロニーなのかどうかが不明です。
飼育下の1コロニーから飛び立った脱翅女王アリは、寄生行動をするのでしょうか。8月21日の早朝に採集した4匹の脱翅女王アリの内、3匹で試してみました。
寄主は何れも今年新女王アリを採集したクロオオアリのコロニーです。
① 寄主:BH240518-07の場合
脱翅女王アリをフィルムケースに入れ、フィルムケースを逆さにして、クロオオアリの飼育ケースのアクセス孔の上に置きました。孔からクロオオアリがフィルムケースの中に入ってきましたが、化粧行為は見られませんでした。
② 寄主:BH240518-08の場合
③ 寄主:BH240518-09の場合
少し前からでしたが、トゲアリのコロニーT140906-40の羽アリが活動室アンテグラウンドⅡ型のガラスの側面などに上がって来るようになっていました。
そこで、8月20日、簡易的な飛翔台を作って、アンテグラウンドの中に設置しました。
観察はその翌日の21日の早朝から始めました。
案の定、羽アリが飛翔台に上ってきていました。4時前の室温は29.5℃でした。
それから1時間ほど経った5時過ぎ、複数の有翅女王アリを部屋の中で見かけるようになりました。
活動室の中では、複数個所で見られた羽アリの群れが、ほぼ解けていました。
人工巣の中は、まだ、少数ですが羽アリがいました。
それから間もなくして、部屋の中で脱翅女王アリを見かけるようになりました。
やがて夜が明けると、南向きのガラス戸に羽アリが集っていました。
8時ごろまでに、部屋の中で、脱翅女王アリは4匹、有翅女王アリは7匹、雄アリは5匹を採集しました。ちなみに、脱翅女王アリですが、交尾を済ませたのかは不明です。
T210912-02は、2021年9月16日にクロオオアリのコロニーのBK170530-040に寄生したトゲアリのコロニーです。直近では6月5日のブログで取り上げています。
今では、トゲアリの働きアリがかなりの数になっています。
そんな中で、寄主であったクロオオアリの働きアリは、活動室アンテグラウンドⅢ型の中にいました。
しかし、クロオオアリの個体数は明らかに少なくなっています。
ところで、これらの働きアリの中で最も若い働きアリは、幼虫で越年し、寄生の翌年(2022年)の7月ごろまでに羽化したと考えられます。そこで、このコロニーのクロオオアリの働きアリの寿命は、短く見積もっても、8月時点で2年強になります。
関連ブログ
①「働きアリの寿命」(2012年8月31日)
「1年以上(生存中)」
②「1匹だけ育った働きアリ」(2021年8月31日)
「成虫になって1年(生存中)」
③「働きアリの寿命」(2013年3月25日)
「今年で2回目の春を迎えようとしている(生存中)」
「約20ヵ月生きている(生存中)」
④「働きアリの寿命(その2)」(2013年6月10日)
「23ヵ月間(確定)」「3年目を越えるのはもう目前(生存中)」
⑤「働きアリの寿命(その3)」(2014年6月19日)
「最長で2年と11ヶ月近く生きていた(確定)」
⑥「外勤が少ないトゲアリ」(2020年5月29日)
「最短でも11ヶ月ほど(生存中)」
⑦「トゲアリの様子 2020年10月」(2020年10月15日)
「1年と4ヶ月以上に渡って生きている(生存中)」
⑧「ほぼ2年間生きているクロオオアリの働きアリ」(2021年5月31日)
「ほぼ2年間生きている(生存中、例外的)」