単独女王アリと女王アリがいないコロニーの合併(1年目の同世代のクロオオアリ)

これまでも、オオアリの同種間共存については、いくつかの事例を見てきました。その中で、ムネアカオオアリの事例で、単独女王アリと女王アリがいないコロニーの合併があります。この事例では、共存が成立していて、次のように結論づけています。

「既に女王アリを失っている創巣から2年目のムネアカオオアリのコロニーの働きアリと、創巣から4年目のムネアカオオアリの単独女王アリは、共存できることがある。」

今回は「単独女王アリと女王アリがいないコロニーの合併」という点では同じですが、クロオオアリ同士で、「既に女王アリを失っている創巣から1年目のコロニーの働きアリと、同世代の単独女王アリ」という点が異なる共存を試みることにしました。

BH240518-31:7月28日に女王アリの死亡を確認
 今年5月18日に蒜山高原で新女王アリを採集したクロオオアリのコロニー
BH240518-53:単独女王アリ
 今年5月18日に蒜山高原で採集したクロオオアリ新女王アリ、成虫はいないが子育てはできるようだ

左がBH240518-31のコロニー、右が単独女王アリBH240518-53
BH240518-31のコロニーの様子 9月1日16時52分撮影
BH240518-53の様子 幼生虫がいる 9月1日16時53分撮影

9月1日の17時前に合併を開始しました。合併の方法としては、単独女王アリの方をカット綿ごと(女王アリと幼生虫を乗せて)BH240518-31のコロニーの中に入れます。

合併の直後の様子 16時55分59秒撮影
16時58分01秒撮影

戦いが起こりましたが、間もなくすると、女王アリと働きアリ間で栄養交換が見られました。

16時58分45秒撮影
17時01分27秒撮影
攻撃姿勢を取りながら栄養交換をする働きアリ 女王アリに咬みつこうとしている働きアリもいる 17時03分07秒撮影
攻撃を受けながらも栄養交換をする女王アリ 17時07分13秒撮影
攻撃される女王アリ 17時07分52秒撮影
17時08分16秒撮影
17時09分04秒撮影

これまで、攻撃をしかけるのは主に働きアリの方でしたが、女王アリが働きアリを殺す場面がありました。

この直前に女王アリが働きアリ(右下方 頭部が落とされている)を殺した 17時13分37秒撮影
女王アリが幼虫を咥える場面もあった 女王アリが育てていた幼生虫は既に働きアリに受け入れられていた 17時20分16秒撮影
17時20分26秒撮影
まだ羽化して間もない働きアリとも栄養交換をしていた 17時24分20秒撮影

合併が始まってからほぼ30分程度で、両者は落ち着いてきたようです。
それから3日後の9月4日、合併が成功して共存が始まっているようでした。新たに働きアリが殺されることも無かったようです。

9月4日19時12分撮影
ゴミ置き場の様子 9月4日19時15分撮影

この実験結果を見る限りでは、次のように言えそうです。

「既に女王アリを失っている創巣から1年目のクロオオアリのコロニーの働きアリと、同世代のクロオオアリの単独女王アリは、創巣から3ヶ月超の時点で、共存できることがある。」

 

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