トゲアリの合併については、次のことが分かりつつあります。
1.オオアリのコロニーへの侵入時に、複数匹のトゲアリの女王アリを入れると、互いに組み合って化粧行為を行うことがあり、寄生できる可能性が高くなるわけではない。
2.トゲアリのコロニー(オオアリの働きアリを含む)に他の巣のオオアリの幼生虫を入れると受け入れる。
3.トゲアリのコロニー(オオアリの働きアリを含む)にトゲアリの女王アリを単独で入れると受け入れられる。
4.単独のトゲアリの女王アリと女王アリをなくしたトゲアリの家族(オオアリの働きアリを含む)とは共存できる。
そこで、6月22日、トゲアリのコロニー(オオアリの働きアリを含む)と女王アリを失ったトゲアリのコロニーを合併させるとどうなるかの実験をしてみました。
T130924-15(2013年10月3日寄生)のコロニーには女王アリがいて、トゲアリの働きアリが2匹、クロオオアリの働きアリが15匹で、繭と幼虫が無く、卵がいくつかあります。2013年に寄生したにも関わらず、トゲアリの働きアリが2匹なのと、この時期に繭や幼虫がないことから、このコロニーは繁栄していないといえます。
T140902-01(2014年9月3日寄生)のコロニーは、既に昨年の9月20日には女王アリを失っていて、トゲアリの働きアリのみ27匹います。繭は多数あり幼虫もありますが、女王アリが既に死んでいるので卵はありません。このコロニーは、昨年の夏ごろまでとても繁栄していました。2014年の秋の終わり頃には元々の宿主のクロオオアリの働きアリが100匹ほどいましたが、今はいなくなっています。
上記2つのコロニーともにカップ型のコンクリート人工巣で飼育していて、前者のT130924-15は主に下部のコンクリート部分に、後者のT140902-01は主に上部のW拡張蓋にいましたので、それぞれを組み合わせて一つの飼育容器にしました。
合併した直後は、コロニー同士の一部で咬み合う場面もありましたが、まもなく友好的な関係が見られるようになりました。
T140902-01の方にはクロオオアリがいなくて、T130924-15の方にはトゲアリの働きアリが2匹しかいないのですから、2つのコロニーの構成員が互いに栄養交換を行っていることがよく分かります。
下の写真は、下部の人工巣の中にいたクロオオアリが、上部のW拡張蓋にある繭を下部へと運んでいるところです。
また、下の写真は、T130924-15の女王アリがいる巣室に運び込まれた繭です。
20時20分頃になると、2つのコロニーは完全に1体となっていました。下の写真では、4ヶ所で栄養交換が行われています。また、女王アリが、W拡張蓋に移動していました。
参考:トゲアリの合併に関する過去ブログ
「トゲアリの女王アリを2匹入れると」(2013/09/27)
「トゲアリの家族は他家の子どもを受け入れるか」(2014/09/02)
「2匹のトゲアリが寄生」(2015/10/17)
「トゲアリのコロニーの遺族同士の合併・共存は可能か」(2016/05/11)
「トゲアリの女王アリの共存 その後」(2016/05/11)
ピンバック: 既存のトゲアリのコロニーへのトゲアリの新女王アリの寄生は? | anttech.jp