アリを飼育している部屋で、時々はオオアリが這っているのを見かけます。世話をしている時に気づかない内に逃げ出しているようなのですが、今日7月7日は、まとまった数のムネアカオオアリが部屋の中を歩いていました。後で数えてみると少なくても9匹だったのですが、歩いている箇所から考えて、同じ巣から出てきたようです。いったいどこの巣から出てきたのでしょうか。
人工巣をよくよく注意深く見ても、シリコン栓などが外れたりしているわけでもなく、巣を特定することができません。たまたま1匹がある人工巣のアンテシェルフの側面を歩いていましたので、その巣の中に入れましたが、この巣ではなかったらしく、攻撃を受けてしまいました。
そこで、逃げ出した巣を特定するために、ペットボトルの蓋に蜜を入れて、歩いているアリの近くに置いてみました。しばらくすると、その蜜を見つけ、吸い始めました。
3匹も集まりましたが、初めに蜜を見つけたアリが呼んできたわけではなく、他の2匹も歩いていて偶然に見つけました。
そうこうしている内に、別のところで、1匹のムネアカオオアリが、死んだ仲間を銜えて歩き始めました。自分の巣に戻るつもりでしょうか。後を追えば、巣が特定できるはずです。
ところが、人工巣を置いていない収納棚の前まで来ると、死体を置いて立ち去りました。このムネアカオオアリの巣は特定できませんでした。
蜜に集まったムネアカオオアリですが、その内に腹部がいっぱいになり、歩き始めました。ところが、慌てているわけではないのですが、右往左往しているようで、行き先が定まらないのです。自然界では、帰路は、往路とは少し違っていても、また途中迷うことがあっても、巣のある方向へと進みます。下の写真は、かなり時間が経った頃撮影したものですが、蜜の近くで、蜜を吸った者同士で栄養交換をしています。本来なら、巣に戻って栄養交換をするところです。結局、自分の巣へは戻っていないのです。
なぜ、部屋の中では自分の巣に戻れないのでしょうか。このことは、今回の観察が初めてではなく、これまでも気づいてはいましたが、今回更にはっきりしてきました。
よく言われていることは、アリは腹部から道しるべになる液を出して歩き、そのしるべを頼りに巣に戻ると言われていますが、こうした室内での行動を見ると、そうではないように思えます。
アリの道について、探求する価値がありそうです。