2015年10月17日のブログ「2匹のトゲアリが寄生」で、既存のトゲアリのコロニーへトゲアリの新女王アリが寄生した事例を挙げています。2016年6月22日のブログ「トゲアリの2つのコロニーを合併」では、その事例を踏まえて、「トゲアリの合併については、次のことが分かりつつあります。」と書き、次のようにまとめています。
「3.トゲアリのコロニー(オオアリの働きアリを含む)にトゲアリの女王アリを単独で入れると受け入れられる。」
そこで、この所見を再度検証することにしました。
2014年に寄生したシリアルナンバーT140906-40のトゲアリのコロニーへ、今年採集の単独のトゲアリの新女王アリT160907-06を入れます。T140906-40のコロニーは、トゲアリの働きアリが多数いて、8月末日の時点で宿主のクロオオアリの働きアリが15匹いました。
9月8日、T160907-06が侵入すると、まもなくT140906-40と組んだ状態になりました。確言はできませんが、T160907-06の方がT140906-40に食いついたのでしょう。
この行動は、通常オオアリの巣に侵入した時に、トゲアリの女王アリが取る行動と同じです。しばらく組んだ状態が続いていましたが、私の不注意で、飼育容器に手が触れてしまい、半ば倒れてその衝撃で組んだ状態が解かれてしまいました。これを機に、これまではカップ型コンクリート人工巣の上部の拡張蓋に女王アリを含む本体がいましたが、下部のコンクリートの巣穴に移動を始めました。140906-40も移動し、T160907-06は拡張蓋に残った状態になり、しばらくは拡張蓋の中を走り回っていました。
3日後の9月11日、1匹のトゲアリの女王アリの死体が、水入れのペットボトルのキャップの中に捨てられていました。侵入した方のT160907-06でしょう。死体を見ると、左右前脚を基節から失っていました。他には傷はないようでした。
今回の事例を考慮すると、上述の所見「3.トゲアリのコロニー(オオアリの働きアリを含む)にトゲアリの女王アリを単独で入れると受け入れられる。」は必ずしも正しいとは言えません。ただ、気になることは、私の不注意が元で、女王アリ同士が組んだ状態が解かれたことです。もしも、組んだ状態が続いていれば、その場合はどうなったことでしょう。
参考:トゲアリの合併に関する過去ブログ
「トゲアリの女王アリを2匹入れると」(2013/09/27)
「トゲアリの家族は他家の子どもを受け入れるか」(2014/09/02)
「2匹のトゲアリが寄生」(2015/10/17)
「トゲアリのコロニーの遺族同士の合併・共存は可能か」(2016/05/11)
「トゲアリの女王アリの共存 その後」(2016/05/11)
「トゲアリの2つのコロニーを合併」(2016/06/22)