ケース2:
BH170521-023は、昨年の5月21日にヒルゼン高原センター周辺で採集した女王アリのコロニーです。昨年の7月31日には働きアリが13匹になり、順調にコロニーが大きくなっていましたが、今年の3月19日には、働きアリ15匹を残して女王アリが死んでいました。幼生虫はいませんでした。
3月19日、このコロニーの中へ、BK170530-133の単独女王アリを入れました。BK170530-133は、昨年の5月30日に長野県で採集した女王アリのコロニーで、今年の3月8日には、働きアリ11匹が死んでいて、女王アリのみになっていました。
BH170521-023のコンクリート製人工巣の中に入れられた単独女王アリは、働きアリがいる巣穴の中には入らず、地上部に当たる場所にとどまっていました。ですから、単独女王アリを入れた当日、ケース1で見られたような女王アリが体を働きアリから舐められるという行動は観察できませんでした。
上の2つの写真は、その翌日の20日の撮影です。地上部に留まっている女王アリの周りには、働きアリが8匹いました。写真撮影した時点では、女王アリは体を舐められてはいません。また、元々全ての働きアリがいた巣穴の中は、働きアリが7匹になっていました。
そして、3月28日現在、働きアリ・女王アリ共に生き続けています。
以上から、現時点で言えることは次のようになります。
既に女王アリを失っているクロオオアリのコロニーの働きアリと、同年代のクロオオアリの単独女王アリは、創巣の翌年の3月時点では共存できることがある。