26日に引き続き、10月28日の14時からタイムラプス撮影を始めました。2時間後の16時少し前に蜜器の様子を見に行くと、脱翅女王アリが蜜器の中にいました。

22日に観察を初めて以来、初めて蜜器にいる女王アリを直接見ることになりました。この後、女王アリがA巣の巣口に入るまでを直に観察できました。

観察終了後、タイムラプス動画を見たのですが、新たな発見がありました。脱翅女王アリが、私が直接見た以前にも、蜜を飲みに現れていたのです。
タイムラプス動画を実際の時刻になるように計算すると、最初に画面に現れるのが14時33分ごろ、画面から消えるのが14時49分ごろになり、この脱翅女王アリの地上での活動時間が16分間強であったことが分かります。
再び脱翅女王アリが画面に現れるのは、それからおよそ22分後の15時11分ごろで、画面から消えるのが15時59分ごろになります。その少し前に、私が蜜器を見に行っているのです。
実はこの脱翅女王アリが、2度、蜜を吸いに蜜器にやってきたことこそが、重要なのです。その間が22分間程ですから、22分後に再び蜜が吸えるわけはないのです。そこで考えられることは、巣の中で仲間に蜜を分け与えたということになります。
これまで観察してきた4日間では、女王アリが1日に2度出てくることはありませんでしたが、それでも連日、女王アリは蜜を吸いにやってきていました。おそらく、この場合も仲間に蜜を分け与えていたのでしょう。
ところで以上の話は、同じ個体の女王アリと仮定しての話です。22日・23日・25日までは、僅かに翅の一部がついている女王アリで、26日・28日は脱翅女王アリでした。確言はできませんが、複数の女王アリを同時に見ることがなかったこともあり、今では、同一の女王アリだと考えています。ちなにみ、26日に観察した脱翅女王アリが、一時身体が自由に動かなくなっていましたが、完全に回復したことになります。
蜜を集めに地上に出て行き、巣に戻って仲間に蜜を分け与えた、この推察が正しいとすれば、「(クロオオアリの場合)結婚飛行を逃した女王は、巣内で翅を取り去りワーカーとして働く」と言うことなのでしょう。

