昨日引越したばかりの庭のトゲアリ(T140906-03)の様子を見に行くと、引越先の芝地にもトゲアリがいましたが、昨日引越していなくなっていたはずのイチジクの主枝支えにもトゲアリがいて、こちらはたくさんのトゲアリが塊を作っていました。昨日の引越前より少し少ない程度でした。そして、イチジクの主枝を伝って、昨日の引越とは反対の方向へと幼生虫を運ぶ働きアリが多数いました。

その後を追ってみると、トゲアリたちは、主幹側のもう一箇所の主枝支えになっているレンガとコンクリートブロックを伝ってクリの切り株の地際に進んで行きました。



今度も引越です。昨日の引越先の芝地から主枝支えに戻った移動を3度目の引越と数えれば、今回で4度目となります。
ところで昨日の2回目の引越の際には、引越中に女王アリを見かけませんでした。恐らく、私が引越に気づく以前に引越先へ移動していたのでしょう。そこで、今回に期待したいと思ったのですが、その望みがかなえられました。写真とビデオに収めることもできました。


写真をよく見ると分かるのですが、T140906-03(女王アリの固有名)は、2014年の寄生時に右の中脚と後脚の基節以下を失っています。かなりの障害を負っているのですが、引越の1度目も2度目も3度目もロープを伝って渡っているのです。また、引越とは無関係ですが、これほどの障害を持っていても、7年間も生き続け、コロニーを形成していることはある意味驚きです。トゲアリが社会性昆虫故に可能なのでしょう。
この写真の後、女王アリは働きアリに咥えられて新巣まで運ばれます。女王アリが、片側1本の肢でコンクリートブロックの下面を歩くには落下の危険があるでしょう。働きアリはなぜかそのことを知っているかのように行動したのです。
引越の際、女王アリはいつのタイミングで移動するのかも関心事でしたが、このトゲアリのコロニーの今回のケースでは、引越期間のほぼ中央あたりで、移動したようです。

昨日の引越先の芝地には、トゲアリは見られなくなりました。

9時50分前には、引越は終わったようです。


今回の引越先のクリの木の切り株は、2016年の2月に伐採した株で、既に腐朽が進んでいます。庭には、適度な営巣地がないと考え、巣箱を作って設置していたのですが、その必要はなかったようです。今回の引越先が、トゲアリにとって棲みよい環境であればと願います。
ところで、今回の4度に渡る引越からは、トゲアリは巣穴のような閉鎖空間ではない屋外でも塊を作って一時的に生活できること、また、安全に引越ができる能力が備わっていることが分かります。トゲアリには引越を可能にする能力とその能力に裏付けられた習性がありそうです。
参照
「トゲアリの引越先」(2018年5月16日ブログ)