単独女王アリと女王アリがいないコロニーの合併

これまでに、ムネアカオオアリの同種間共存については、5例観察してきています。その内の1例では、女王アリがいない働きアリ8匹のコロニーの中に単独女王アリを入れる実験をしています。その結果は、まとめて次のように記しています。

「既に女王アリを失っているムネアカオオアリのコロニーの働きアリと、異年代(2年若い)のムネアカオオアリの単独女王アリは、単独女王アリから見て創巣の翌年の3月時点では共存できることがある。」

今回は、その類似の追試になります。違いは、単独女王アリの方が2年古い世代になることを含みます。

◎単独女王アリ RH18004
  2018年5月15日に、岡山県蒜山高原で新女王アリを採集 卵が多数
◎女王アリがいないコロニー R200603-020
  2020年6月3日か4日に、長野県駒ヶ根市で新女王アリを採集 働きアリのみ30数匹
  女王アリの遺体がある

上の飼育器(RH18004)を逆さにして下の飼育器(R200603-020)に重ねた 上下の飼育器は3箇所の穴で通じている 5月4日8時58分撮影
働きアリが上の飼育器へ上がってきた その働きアリは女王アリを攻撃しようとしている 8時59分撮影
女王アリが下の飼育器へ入った 9時00分撮影

この後、女王アリは一旦上の飼育器に戻り、再び下の飼育器へ入っていきました。下の飼育器の中で、女王アリは働きアリから攻撃されますが、女王アリの方から攻撃する場面は見ませんでした。

女王アリは、働きアリからの攻撃をかわしながら逃げていた 9時2分撮影
働きアリの方は攻撃的だ 9時2分撮影

午後6時頃になって様子を見ると、上下の飼育器の女王アリと働きアリがほとんど入れ替わっていました。

上の飼育器に大多数の働きアリがいた 女王アリの遺体(頭部なし)まで運び上げている 17時59分撮影
下の飼育器には僅かな働きアリと女王アリがいた 栄養交換をしている 18時00分撮影
働きアリの死体が2匹あった この度死んだようだ 18時03分撮影

それから3日後の5月7日に、小型の水槽の中に上下の飼育器を蓋を開けて入れ、1×4材とアクリル板で作った巣も入れました。翌日見ると、その巣の中にRH18004の女王アリとR200603-020の働きアリが入っていました。R200603-020の女王アリの遺体は、飼育ケースの中に残されていました。

1×4材とアクリル板で作った巣には側面に出入り口の穴がある 5月8日10時51分撮影
巣の中の様子 10時53分撮影

この実験結果を見る限りでは、次のように言えそうです。

「既に女王アリを失っている創巣から2年目のムネアカオオアリのコロニーの働きアリと、創巣から4年目のムネアカオオアリの単独女王アリは、共存できることがある。」

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