昨年の9月27日投稿の「トゲアリの女王アリは単独でいつまで生きられるか?」の実験の結果についてまとめてみます。
この実験は、9月19日採集の体に怪我のないトゲアリの女王アリ40体を20体ずつに分け、一方には水だけを、他方には水と糖分を与えて、いつまで生きていられるかを調べたものです。
結果は、水と糖分を与えた1体だけが冬を越すことができました。下の写真の「1926」になります。
「1926」は9月27日に蜜を飲むのが観察され、10月15日と24日には砂糖水を飲むのが観察されました。10月3日には蜜を、15日には(砂糖水の他に)蜜も、31日には蜜と砂糖水を与えましたが、飲むところは見ていません。
「1965」は、採集時にクロヤマアリに襲われていて、私が助け出した個体なので、実験の対象に入れていませんでしたが、冬を越した希少なもう1匹です。10月3日には蜜を、10月15日には砂糖水を飲むのが観察されました。9月27日には蜜を、10月15日には(砂糖水の他に)蜜も、24日には砂糖水を、31日には蜜と砂糖水を与えましたが、飲むところは見ていません。
トゲアリの女王アリは、水・トレハロース・メープルシロップ・蜂蜜・黒蜜・ローヤルゼリーをブレンドして作った蜜は好まないようで、砂糖水の方をよく飲んでいましたが、蜜や砂糖水を飲んだ個体も死んでしまいましたから、死因は他にあると考えられます。ただ、水分だけの個体が全て死んだのに対して、生き延びた2匹は糖分を摂っているので、糖分は年を越して生き延びる上では必要だったと考えられます。
実験の結果をデータで示すと次のようになります。
水と糖分を与えた場合の平均生存日数 31.8日
水だけの場合の平均生存日数 28.1日
※水と糖分を与えた場合は18体の平均日数(1体は44日以上生きていましたが、死亡日が特定できていません。また、もう1体は冬を越した「1926」です。この2体を平均から外しています)
水だけの場合は20体の平均日数
このことから、両者の差はほとんどないと言えます。
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