一時的社会寄生の2例目を試みました。寄主をクロオオアリのコロニーS/N:BH210523-19(新女王アリを昨年の5月23日に採集)とし、トゲアリの新女王アリT20220910-54(9月10日採集)を寄生させます。
T20220910-54は、前日(9月12日)にBH210523-18に寄生させようとして、クロオオアリと一緒にしても化粧行為をしなかった新女王アリです。ですが、本当に化粧行為をしないのかを確かめるため、再度機会を持つことにしました。

9月13日、T20220910-54がいるクリアカップの中へ、クロオオアリの働きアリを1匹から3匹まで順次増やしてみたのですが、やはり化粧行為をしませんでした。
そこで、この新女王アリの場合、事前の化粧行為なしでも寄生行動をするのか、とにかく試してみることにしました。クリアカップの蓋を外してから逆さにし、コンクリート人工巣の蓋の上に置き、人工巣の蓋のアクセス穴からBH210523-19の中へ自然に入って行けるようにしました。

ところが意外にも、クロオオアリの働きアリから攻撃を受ける間もなく、僅かの間にクロオオアリの女王アリの頸に腹面から食い付きました。

この咬みつきの体勢は、寄生の最初の段階を成し遂げたことを意味しています。順調に寄生が始まったと言うことです。
以下はその後の経過です。




9月13日から3日間、トゲアリの女王アリは、クロオオアリの女王アリの頸を咬み続けています。寄生は順調なようです。