昨年の9月16日に寄主のBK170530-040(2017年5月30日に採集したクロオオアリの新女王アリ)のコロニーに寄生を始めたトゲアリの新女王アリ(S/N:T210912-02)の初期コロニーのその後ですが、順調にトゲアリの働きアリが増えています。トゲアリの働きアリは、一箇所に塊を作っています。

活動室(アンテグラウンドⅢ)には、クロオオアリの働きアリがいます。トゲアリの働きアリが羽化後(最初の羽化を今年8月9日に確認)活動室に出て来ているところは、一度も見ていません。

2020年5月29日のブログ「外勤が少ないトゲアリ」でも触れていますが、クロオオアリの働きアリがまだ多数いる環境では、トゲアリの働きアリはほぼ外勤はしないようです。
かつて私は1966年に、トゲアリとクロオオアリの共存巣を発見し、そのことを『昆虫と自然』(1966年10月号)に投稿しています。その中で、「このトゲアリの生態に関する想像や観察したことを述べておく」として、「4.野外でのえさ捜しには、トゲアリの働きアリは参加せず、巣の中でじっとうずくまっているだけである」と述べています。
この56年前に野外で観察したトゲアリの働きアリの生態と、飼育下で観察した上述の2つの例が示す生態(クロオオアリの働きアリがまだ多数いる環境では、トゲアリの働きアリはほぼ外勤はしない)が一致していることが分かります。