創巣13年目の無女王コロニーと単独女王は共存可か(2)

6月16日から始めた同種間共存の試みでは、その後も女王アリはクリアカップの中に留まっていました。右後脚に咬みつかれたまま取れていなかった働きアリの頭部は、いつのまにか外れていました。

女王アリの右後脚についたままになっていた働きアリの頭部が外れていた 6月22日14時15分撮影

6月22日、女王アリと働きアリが馴染んでいる様子でしたので、女王アリをクリアカップから出すことにしました。

女王アリをクリアカップからカット綿ごと出した直後 6月22日14時18分撮影

やはり、両者の間で戦いは起こりませんでした。

栄養交換をする場面もあった 6月22日14時31分撮影

6月28日になっても、女王アリはまだ活動室に留まっていました。ところが人工巣セットを移動した際の振動のせいか、女王アリが活動室と人工巣を繋ぐパイプの中へ入ろうとしました。ですが、その入り口は1段高いところにあったので、女王アリは這い上がれませんでした。

パイプの中へ這い上がろうとする女王アリ 6月28日9時55分撮影

そこで、板で踏み台を作りました。

板で踏み台を作った 6月28日9時59分撮影

7月2日、それでも女王アリは、まだ活動室の中にいました。そこで、僅かに振動を与えました。するとパイプの中に入って行きました。そして、人工巣の中に入って行ったのですが、そこでも争いは起こりませんでした。

人工巣の中の女王アリ 身繕いをしている 16時48分撮影

クロオオアリの同種間共存は成り立ったようです。

これまでに、クロオオアリの同種間共存について分かっていることの中で、「女王アリがいないコロニーと単独女王アリの共存」については、次のことが分かっています。

1)既に女王アリを失っているクロオオアリの合同コロニーと、そのコロニーと同年代のクロオオアリの単独女王アリは、創巣の翌年の3月時点では共存できることがある。
2)既に女王アリを失っている単一のクロオオアリのコロニーと、そのコロニーと同年代のクロオオアリの単独女王アリは、創巣の翌年の3月時点では共存できることがある。

今回の同種間共存については、単独女王アリの方が創巣の翌年である点は同じですが、女王アリを失っているコロニー(死亡後14ヶ月強経過)の方が創巣から13年目だと言う点が異なっています。
まとめると次のようになります。

3)1年以上前に女王アリを失っている創巣から13年目のクロオオアリのコロニーと、創巣から2年目のクロオオアリの単独女王アリは、共存できることがある。

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