働きアリが産んだ幼生虫

クロオオアリの女王アリB110608-07は、今年の1月11日以降4月6日までの間に死亡しています。
その残されたコロニーですが、9月7日の時点で、卵と小さな幼虫がいます。

9月7日撮影
9月7日撮影

この卵と幼虫は、働きアリが産卵したものと推定できます。

一時的社会寄生のトゲアリ5例の様子(9月7日)

トゲアリの寄生の試み 1 (BH210523-18にT20220910-53が寄生 )

8月2日には、トゲアリの働きアリが1匹でしたが、16匹ほどになっています。また、蛹と幼虫が見られ、恐らくトゲアリの幼生虫だと思われます。

トゲアリの寄生の試み 2 (BH210523-19にT20220910-54が寄生 )

元々女王アリがいた巣部屋
別の巣部屋 女王アリがこちらにいた

大きなトゲアリの寄生コロニーになってきています。卵はないようですが、幼虫と蛹があります。

トゲアリの寄生の試み 3 (BH210523-21にT20220910-65が寄生 )

8月2日の時点でもトゲアリの働きアリはいませんでしたが、今回もトゲアリの働きアリはいませんでした。この時、トゲアリの女王アリが卵を咥えていました。

トゲアリの寄生の試み 4 (BH210523-23にT20220910-44が寄生 )

8月2日には、トゲアリの働きアリは4匹でしたので、トゲアリのコロニーが大きくなってきています。

トゲアリの寄生の試み 5 (BH210523-29にT20220910-67が寄生 )

8月2日の時点でも卵でしたが、今回も卵のままでした。ところで、5月27日の時点でも卵でしたので、少なく見積もっても2ヶ月以上卵のままと言うことになります。

2010年生まれのクロオオアリの女王アリの死 13才

9月7日、クロオオアリの女王アリB110608-11が死亡していました。死亡して何日か経っているようでした。

左が胸部、右が腹部 9月7日撮影

B110608-11は、2011年に結婚飛行を了えた女王アリです。6月8日に長野県の駒ヶ根市内で採集しています。この女王アリは昨年から産卵能力を失っていました。
2010年の7月頃に羽化したと考えられますので、13年以上生きていたことになります。私の飼育下で、最も長生きをしたクロオオアリの女王アリになります。

結婚飛行後の翌々年になっても単独で子育てが可能

かつて、クロオオアリとムネアカオオアリの単独女王アリが、「年を越して再度の子育てに成功するか?」を記録しています。結果は7例の内2例が「年を越して再度の子育てに成功」しています。
この例では、結婚飛行後、同年中に子育てに失敗し、翌年に子育てに成功しています。では、子育てに失敗していて、結婚飛行の翌々年に、再度の子育てに成功するのでしょうか。この対象となるクロオオアリの単独女王アリがいましたので、観察していました。
2021年の5月23日に蒜山高原で新女王アリを採集したSN:BH210523-28です。
この女王アリの記録を見ると、同年5月30日には産卵数が8個(新女王アリ20匹の平均値5.8個)になっていて、産卵能力があったことが分かります。ただ8月1日時点で働きアリが1匹(同上平均値11匹)しかいませんでした。
その翌々年の今年の2月8日時点でも働きアリが1匹(越冬幼虫なし)いましたが、その後、いつなのかの記録はありませんが、単独女王アリになっていました。
今年の春以降に産卵があり、8月14日、働きアリが1匹羽化しました。

2023年8月14日20時6分撮影

今年の春以降、この単独女王アリに蜜を与えていましたが、蜜を飲んでいるところは見ていませんし、与えた蜜の量が減っているようにも見えませんでしたので、糖分を摂取していなかったのかもしれません。また、タンパク源は与えていませんでした。
この観察から、クロオオアリの女王アリは、結婚飛行後の翌々年になっても単独で子育てができることが分かります。その条件を限定すれば、
① 人工的な飼育環境
② 結婚飛行後の翌々年の春
③ 翌々年の越冬時には働きアリがいる
④ 翌々年越しの越冬幼虫はいない
⑤ タンパク源は不要
となります。

T20220910-16の死

8月2日の時点で、直短寄生のトゲアリのコロニーT20220910-16では、働きアリが12匹になる見込みでしたが、8月6日までに2匹が死に、働きアリが10匹になっていました。

餌器の中に働きアリの死体が2体ある 8月6日撮影

また、7月29日に与えた蛾はそのままになっていました。この間、幼虫にタンパク源を給餌していないようです。
8月14日、T20220910-16が死亡していました。働きアリは10匹共に生きていました。女王アリの死因は不明です。

女王アリが死んでいた 8月14日撮影

昨年から行っている直短的社会寄生の試みは5例でしたが、T20220910-16が死亡したことで、残るは1例(T20220910-18)のみとなりました。

一時的社会寄生のトゲアリ5例の様子(8月2日)

トゲアリの寄生の試み 1 (BH210523-18にT20220910-53が寄生 )

T20220910-53では、既に1匹が羽化していましたが、死んでいます。写真の1匹のトゲアリは、その後に生まれたのでしょう。

トゲアリの寄生の試み 2 (BH210523-19にT20220910-54が寄生 )

一時的社会寄生のトゲアリ5例の中で最初に羽化があったコロニーです。卵の他、小さな幼虫が多数います。トゲアリが幼生虫の世話を始めているようです。

トゲアリの寄生の試み 3 (BH210523-21にT20220910-65が寄生 )

まだ羽化したトゲアリはいない
となりの部屋にも繭があった

トゲアリの寄生の試み 4 (BH210523-23にT20220910-44が寄生 )

7月26日から羽化が始まりました。それから1週間後(8月2日)には働きアリが4匹になっています。

トゲアリの寄生の試み 5 (BH210523-29にT20220910-67が寄生 )

繭がない
トゲアリの卵だが、孵化していない

5月27日の時点でも卵でした。少なく見積もっても、8月2日までには、67日あり、2ヶ月以上になります。直短寄生のT20220910-18では、5月30日に卵を2個観察していて、この場合も卵の期間が2ヶ月以上になっています。

羽化が進んで働きアリが増える(T20220910-16)

7月28日に、新たに幼生虫を投入したトゲアリT20220910-16のその後の様子です。
翌日の29日には、働きアリが1匹増えて6匹になっていました。働きアリが羽化介助をしたようです。この日の夕刻、更に1個の繭の羽化を介助していました。

7月29日16時22分撮影
16時27分撮影

タンパク源として、前日に蛾を1匹入れておきましたが、分解していませんでした。
ですが、更に蛾を2匹入れました。また、砂糖水をほんの僅か与えました。

新たに蛾を2匹と砂糖水(写真下方左寄り)を与えた 16時34分撮影

今度も蛾にはほとんど関心を示しませんでした。砂糖水は1匹が飲み始めましたが、他の働きアリは、砂糖水を触角で触っても立ち去りました。
19時半頃に見ると、働きアリが7匹になっていました。無事に羽化できたようです。

7月31日になると、働きアリは8匹になっていました。

働きアリが8匹になっていた 7月31日19時30分撮影

そして更に8月2日になると働きアリが10匹になっていて、観察した時点では、羽化中の働きアリが1匹いました。7月28日に、繭を7個取り入れましたので、7個の繭が羽化すれば働きアリが12匹になります。まだ羽化していない繭が1個ありましたので、羽化が順調に進んでいることが分かります。

羽化中と羽化がまだの繭で働きアリが12匹になる見込み 8月2日19時48分撮影

クロオオアリの新女王アリの誕生時期は?

B15006では今年も新女王アリが誕生しています。
7月27日の時点では、女王アリの繭が後2個残っていました。

1個目の女王アリの繭 7月27日撮影
2個目の女王アリの繭 7月27日撮影
羽化したばかりの新女王アリ 7月27日22時45分撮影

8月1日、それら2個の繭が無くなっていました。

羽化して暫く経った新女王アリ 8月1日20時4分撮影

昨年は、この同じB15006のコロニーで、7月25日に女王アリの羽化が全て完了しました。

このコロニーのこの2年間に限ってのことですので、現時点の限られた知見ではまだ一般化は難しいものの、飼育下でのクロオオアリの新女王アリの誕生時期は、7月上旬頃から7月下旬頃と言えそうです。

直短寄生のT20220910-18 巣から出る

直短寄生のトゲアリT20220910-18(直前のブログ)は、飼育器の中の人工巣を巣にしていましたが、8月1日、巣から出てきていました。

なぜそのようになったのかは不明です。
ちなみに、今年の5月30日には既に産卵を開始していましたが、卵はまだ孵化していません。

卵はまだ孵化していない

T20220910-16に再び幼生虫を投入

直短寄生のT20220910-16では、7月16日には働きアリが7匹になりましたが、7月28日、その内の2匹が死んでいました。

7月28日撮影

今日も室温が高くなり(エアコンの設定を27℃以上30℃以下にしている)、トゲアリの大規模コロニーのT140906-40では、その活動室(アンテグラウンドⅡ)に、6月30日の時と同様に、幼生虫が巣から運び出されていました。

活動室の中 このような塊が複数できていて、塊の中に幼生虫がいる
T140906-40の巣の中

そこで、再び幼生虫を取り出し、T20220910-16のコロニーに与えることにしました。ベビーパウダーを側面に塗ったケースを用意し、幼生虫を働きアリと一緒に取り出してケースに入れました。そして、かなり時間をかけて、幼生虫を取り分けました。

ベビーパウダーで逃去処理を施したケースに入れた 11時31分撮影
取り出された幼生虫 繭は7個ある 13時21分撮影
T20220910-16に幼生虫を入れた直後の様子 13時32分撮影

T20220910-16のコロニーに幼生虫を入れましたが、働きアリも女王アリも幼生虫に関心がないように見えました。ただ、暫くして、1匹の働きアリが幼虫を咥えて幼生虫の塊まで運んで行きました。

幼虫を運ぶ働きアリ 13時36分撮影

夜になって見ると、働きアリと女王アリが幼生虫に寄り添っていました。

20時20分撮影

幼生虫を受け入れたようです。幼生虫の数がこのコロニーには多過ぎますから、どこまで幼生虫を育てられるか見届けたいものです。
幼虫の食源として蛾を1匹入れておきました。

不可思議な大量死

水を入れていない庭の池の底に、粉のような茶色っぽいものがまとまった量落ちていました。

7月28日11時13分撮影

近づいて見ると、アリの大量の死体でした。

11時14分撮影

トビイロシワアリのようですが、実体顕微鏡で確かめることにしました。

やはり、トビイロシワアリでした。死因は不明です。

一時的社会寄生のT20220910-44でも働きアリが生まれる

7月26日、トゲアリの寄生の試み 4(BH210523-23にT20220910-44が寄生 )で働きアリが1匹羽化していました。T20220910-54T20220910-53に続いて3例目になります。

7月26日21時02分撮影

ちなみにT20220910-54は、羽化した働きアリが11匹になっていました。

トゲアリの働きアリが11匹になっていた 7月26日20時57分撮影

クリの木に3種のアリが来ていた

クリの木にはクリオオアブラムシがいますが、アリの蜜源として駆除していません。7月26日には、3種のアリがクリオオアブラムシの甘露を求めてやって来ていました。

クロオオアリ 17時2分撮影
クロヤマアリ 17時5分撮影

もう1種はアミメアリのようです。

17時4分撮影

ただ、見慣れたアミメアリよりも躯体が小さいように思いました。そこで、実体顕微鏡で確かめることにしました。

やはりアミメアリのようです。

参照:
クリオオアブラムシを発見(2020年5月23日)
移植トゲアリの暮らし(2021年5月13日)
「ぽろたん」にクリオオアブラムシ(2021年6月9日)
「ぽろたん」に小さなアブラムシ(2021年7月6日)
クリオオアブラムシの新たな共生相手(2021年10月30日)

孵化がまだのT20220910-18

今年の5月30日に、直短寄生のT20220910-18では卵を2個咥えて歩き回るトゲアリの働きアリを観察していますが、6月12日には、飼育器(小型水槽)の中の人工巣の中に卵が運び込まれていて、女王アリと数匹の働きアリも人工巣の中にいました。
7月25日、産卵が始まって2ヶ月近く経ちますが、どの卵もまだ孵化していないようです。

卵はまだ孵化していないようだ 働きアリはこの時人工巣から出ているのが2匹いて全部で7匹 7月25日20時54分撮影

羽化したトゲアリがいなくなった

7月20日に、一時的社会寄生のT20220910-53でも働きアリが1匹羽化していたことについて、既に21日のブログで取り上げていますが、24日、そのトゲアリの働きアリが人工巣の中からいなくなっていました。翌日にも再度人工巣の中を見ましたが、やはりトゲアリの働きアリはいませんでした。不思議なことに、死体も見当たりませんでした。

トゲアリの働きアリがいない 7月25日20時57分撮影

振り返ってみると、気になることがありました。
21日のブログの写真では、羽化した翌日、トゲアリの働きアリは、女王アリがいる部屋にはいませんでした。
また、22日にもトゲアリの働きアリの様子を写していますが、クロオオアリがトゲアリの肢を咬んでいました。

7月22日22時05分撮影

恐らくこのトゲアリの働きアリは、クロオオアリに殺されたのでしょう。

一時的社会寄生のT20220910-53でも働きアリが生まれる

一時的社会寄生のT20220910-54では、7月16日には働きアリが2匹生まれていましたが、7月20日、T20220910-53でも働きアリが1匹羽化しました。

羽化して間近のようだ まだ僅かに外皮が残っている クロオオアリは羽化の介助をしているのだろうか 7月20日22時48分撮影
羽化が完了したのだろうか 独り立ちしている 22時50分撮影

翌日見ると、このトゲアリの働きアリは、女王アリがいる飼育室の隣りの部屋にいました。

飼育室の隣りの部屋にいる羽化後のトゲアリの働きアリ 7月21日20時32分撮影

T210912-02が活動室に出てくるようになった

今年の6月7日のブログで、トゲアリのT210912-02が、初めて活動室(アンテグラウンドⅢ)に出て来たことについて触れていますが、7月18日には、複数のトゲアリの働きアリが活動室に出てくるようになっていました。

この時は活動室の中にトゲアリの働きアリが2匹いた 7月18日20時27分撮影

たった1例のトゲアリの寄生」のT180919(2018年9月22日クロオオアリのコロニーに寄生開始)では、2020年の5月末頃になってトゲアリの働きアリが巣から出てきているところを見ています。
T210912-02の場合も、寄生から2年後の6月初めに働きアリが巣から出て来たところを見ていますので、トゲアリが外勤を始めた時期が両者でほぼ一致しています。たったの2例の観察に過ぎませんが、一時的社会寄生の初期の段階では、トゲアリの働きアリは誕生した年には外勤はせず、その翌年になって巣から出て来るようです。

一時的社会寄生のT20220910-54で働きアリが生まれる

昨年行ったトゲアリの寄生の試みについては、前回は5月27日のブログに記載しています。
そのうち、「トゲアリの寄生の試み 2 (BH210523-19にT20220910-54が寄生 )」で、7月16日、トゲアリの働きアリが2匹誕生していました。

1匹目 羽化直後の外皮の除去中なのだろうか クロオオアリがトゲアリに何かをしているようだ 22時38分撮影
2匹目 クロオオアリに触角を咬まれているように見える 22時39分撮影
コロニーの全体の様子 羽化間近の繭が見える トゲアリが産んだ卵も多数ある 22時41分撮影

T20220910-54では、トゲアリの働きアリが誕生したことで、一時的社会寄生が大きく次の段階に入ったと言って良いでしょう。

直短寄生のT20220910-16 働きアリ7匹に

7月10日、前日に人工羽化させた個体は、正常に羽化し成虫になっていましたが、7月2日に人工羽化させた個体が死んでいました。

この度死んだ個体は、以前から躯体を丸めたまま動きが異状だった 7月10日20時38分撮影

羽化直前の繭が1個ありましたので、今回も人工羽化させました。

人工羽化させてフィルムケースに戻した 20時51分撮影

7月12日、1匹自然羽化していました。これで自然羽化(仲間が羽化介助)した個体が2匹になりました。

写真では見難いが、下方の3個の繭の上に成虫が5匹いる 繭殻が2つになっている 7月12日21時49分撮影

7月13日、Seriaの飼育器に戻しました。まだ羽化していない繭は3個です。

働きアリは5匹 2匹の死体は取り出した 7月13日20時37分撮影

7月15日、更に1個体が羽化していましたが、腹部に殻が付いたままになっていました。そこでこの殻をピンセットで取り除きました。

羽化の際に仲間の介助が不完全だったようだ 腹部に殻が付いている 7月15日9時51分撮影
腹部の殻を取り払った後 腹部の先に外皮が少し残った 9時56分撮影
繭が残り2個になった 9時56分撮影

7月16日になると、働きアリが7匹になっていました。更に1匹が自然羽化したことになります。残りの繭は1個になったのですが、その繭は死んでいました。

死んだ繭を咥えている働きアリがいる 7月16日20時38分撮影

6月30日に、直短寄生のT20220910-16に繭を10個加えて以来、2個は羽化できずに死に、1個は羽化後に死に、7個が無事に成虫になりました。これら7匹は、寿命としては1年以上と考えられますので、今年後半、または来年の春以降、女王アリが産卵を始めれば、コロニーの発展が望めることでしょう。