庭に2品種の梨の木を植えているのですが、今年は二十世紀梨の実も病気に罹ってしまいました。その果実の病片で果汁が吸えるようになり、クロオオアリや他種のアリがやって来ていました。
参照:梨の木とクロオオアリ
「梨の花に集まる昆虫たち」2020年4月6日ブログ
「梨の木のアブラムシとクロオオアリ」2019年6月10日ブログ
「庭の果樹とクロオオアリ」2018年4月18日ブログ
庭に2品種の梨の木を植えているのですが、今年は二十世紀梨の実も病気に罹ってしまいました。その果実の病片で果汁が吸えるようになり、クロオオアリや他種のアリがやって来ていました。
参照:梨の木とクロオオアリ
「梨の花に集まる昆虫たち」2020年4月6日ブログ
「梨の木のアブラムシとクロオオアリ」2019年6月10日ブログ
「庭の果樹とクロオオアリ」2018年4月18日ブログ
小学生と中学生の頃、アリを飼育していましたが、2010年になって再びアリを飼育するようになりました。その年の6月8日、たまたまですが長野県のK地点でクロオオアリの新女王アリを1匹採集したのが、再びアリを飼育するきっかけになりました。そして、その翌年の3月に退職したため、2011年からは、アリを飼育する時間が持てるようになりました。
2010年に採集したクロオオアリの女王アリは、5年後の2015年6月27日に死に、現在コロニーは残っていません。
現有の最も古い採集年のコロニーは、2011年に新女王アリを採集したコロニーになります。以下、今年採集のクロオオアリの新女王アリのコロニーを除く、現有のクロオオアリのコロニーを列挙します。
2011年採集 4コロニー(以下シリアル番号と飼育器を記載)
B110608-04 旧型アンテシェルフで飼育 過去大家族 現在小家族
B110608-06 カップ型コンクリート人工巣をグッピー水槽に入れて飼育
B110608-07 リトルアンテシェルフ2個を中型水槽に入れて飼育 大家族
B110608-11 グッピー水槽で飼育
2012年採集 2コロニー
B120614-03 グッピー水槽で飼育
B120614-86 旧型アンテネストとアンテシェルフと百均トレー5段組で飼育 最多大家族
2013年採集 1コロニー
B130617-04 カップ型コンクリート人工巣をグッピー水槽に入れて飼育
2014年採集 1コロニー
B14034+133(同種間共存) リトルアンテシェルフをグッピー水槽に入れて飼育
2015年採集 2コロニー
B15006 虫籠コンクリート人工巣と特製アンテシェルフとアンテグラウンドⅠ型
B15099 カップ型コンクリート人工巣をグッピー水槽に入れて飼育 大家族
2016年採集 4コロニー
B16000 百均簡易飼育器で飼育
B16001 リトルアンテシェルフで飼育
B16012 研究用アンテネストで飼育
B16018 研究用アンテネストで飼育
2017年採集 14コロニー
BH17001+BH17025(同種間共存) カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17007 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17015+BH17009(同種間共存) カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17010 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17023 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17027 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BH17031 カップ型コンクリート人工巣で飼育
BK17015 ミニアンテシェルフで飼育
BK17022 百均簡易飼育器で飼育
BK17040 リトルアンテシェルフで飼育
BK17052 リトルアンテシェルフで飼育
BK17055 百均簡易飼育器で飼育
BK17064 百均簡易飼育器で飼育
BK17081 リトルアンテシェルフで飼育
2018年採集 9コロニー
BH18008 百均簡易飼育器で飼育
BH18015 百均簡易飼育器で飼育
BH18019 百均簡易飼育器で飼育
BH18020 百均簡易飼育器で飼育
BH18024 グッピー水槽で飼育
BH18030 グッピー水槽で飼育
BH18034 百均簡易飼育器で飼育
BH18037 グッピー水槽で飼育
BH18040 百均簡易飼育器で飼育
以上37コロニー
こうして見ると、8年以上生きている女王アリがいることが分かります。
また、37コロニーの中で最も大家族になっているのは、2012年採集のB120614-86で、次に大家族になっているのは、2015年採集のB15006です。このことから、コロニーの規模の大小は、結果的には、経過年の長短によらないことが分かります。ただ、故意にそうしたわけではありませんが、飼育環境や餌の量の違いが要因となったかも知れません。ですから、女王アリ(とそのコロニー)には個体差があることは分かっていますが、以上の記録からだけでは、コロニーの規模を個体差だけで説明するには無理がありそうです。
ところで、大家族のB120614-86とB15006に限りませんが、他の大家族のコロニーも含めて、これからを期待していることがあります。それは、羽アリの誕生です。今年も羽アリは生まれないようです。羽アリの誕生の条件については、飼育下での先行事例もあるようですが、検証してみたいと考えています。
クロオオアリでは、創巣から何年か後に羽アリが生まれるのですが、何年後から羽アリが生まれるのかは、私にはまだ分かりませんし、そもそもコロニーの個体差(集団差)や、巣のある場所の周りの環境の差や、気候などが要因となって、一律に何年後からということではないでしょう。
では、何年後かに羽アリが生まれるようになってからは、毎年羽アリは生まれるのでしょうか。このことについては、過去4年間の観察で少し分かってきました。
自宅の庭にはいくつかクロオオアリの巣があるのですが、この内、これまでに羽アリを見たA巣とB巣とC巣で、年次ごとに振り返ってみましょう。
2016年 羽アリを見たのは B巣のみ
2017年 B巣と C巣(わずかに雄アリのみ)
2018年 A巣と B巣と C巣(少数の雌雄アリ)
2019年 A巣のみ
B巣は、庭のクロオオアリのコロニーの中で、一番繁栄していると思っていましたが、3年連続で羽アリが出てきた後、今年は羽アリが出てきませんでした。A巣とC巣は2年連続で羽アリが出てきましたが、C巣では3年目は羽アリが出てきませんでした(C巣は、A巣とB巣と比べて、これまでの観察からコロニーの規模が小さいと思われます)。
以上のことから、いくつか考えられるのですが、次のように考えることもできます。
A巣では、羽アリが生まれるようになってからは2年連続で羽アリが生まれていて、来年も羽アリが生まれるかもしれない。
B巣では、少なくとも3年連続で羽アリが生まれたが、コロニーが終焉をむかえた(女王アリが死んだ等)のかもしれない。
C巣では、コロニーの規模が不安定で、来年以降羽アリが出てくるかわからない。
いずれも、来年以降の各コロニーの羽アリの有無を見なければ、確かなことは言えないようです。
(1)昨年2018年の3月28日のブログ「クロオオアリの同種間共存(1)」で取り上げている「ケース1」のその後について
2018年4月5日には、B15053+R(2016年8月16日女王アリ死)のクロオオアリの働きアリ7匹を加えました。この時、 喧嘩は無く受け入れられました。
2018年4月14日に、BH17022(2018年4月13日女王アリ死)のクロオオアリの働きアリ7匹と幼虫3匹を加えています。
2018年5月1日に、B130605+R(旧名B131015)のクロオオアリの働きアリ6匹とムネアカオオアリの働きアリ1匹を加えました。この時、ムネアカオオアリも受け入れられました。
2018年5月7日に、BK170530-114(2018年5月7日女王アリ死)のクロオオアリの働きアリ2匹を加えました。しかし、受け入れられませんでした。
2019年の02月28日には、既に全滅していました。
(2)昨年2018年の3月28日のブログ「クロオオアリの同種間共存(2)」で取り上げている「ケース2」のその後について
2018年6月3日に、BK170530-195(2018年6月3日女王アリ死)のクロオオアリの働きアリ3匹と幼虫2匹を加えましたが、働きアリは受け入れられませんでした。
そこで、2018年の6月3日時点でのコロニーの構成は、女王アリに働きアリ15匹と幼虫が2匹になります。それから13ヶ月強経った現在の様子は、下の写真のようです。
かなりコロニーが大きくなったことが分かります。
(3)今年2019年の4月19日のブログ「Q+WとWのみのクロオオアリのコロニーを合併」で取り上げている1つ目の例のその後について
4月16日に合併したコロニー
BH170521-025:
2017年5月21日に岡山県蒜山高原で採集した女王アリのコロニー
働きアリ2匹と女王アリ 幼生虫なし
BH170520-001:
同年5月20日同地(採集箇所も同じ)で採集した女王アリのコロニー
昨年女王アリ死 働きアリ多数 幼虫あり
4月16日には、女王アリに、働きアリ多数と幼虫も多数いたことになります。次の写真は、その後の3ヶ月弱の様子です。
人工巣には、写真の部屋の他にもう一つ部屋があり、そこにも幼生虫がいました。写真には写らなかったのですが、卵もありました。一つのコロニーになったようです。
(4)今年2019年の4月19日のブログ「Q+WとWのみのクロオオアリのコロニーを合併」で取り上げている2つ目の例のその後について
4月19日に合併したコロニー
BH170520-015:
2017年5月20日に岡山県蒜山高原で採集した女王アリのコロニー
働きアリ2匹と女王アリ 幼生虫なし
BH170520-009:
同年同日同地(採集箇所も同じ)で採集した女王アリのコロニー
今年3月に女王アリが死亡 働きアリ4匹のみ 幼生虫なし
4月19日には、女王アリに働きアリ6匹のみで、幼生虫はいませんでした。次の写真は、その後の3ヶ月弱の様子です。
4月19日には居なかった幼生虫が育っています。働きアリは、写真には4匹写っていますが、5匹いました。1匹は死んだようです。
少し以前から、ミツバチの蜜枠を屋外に出しています。
一度スムシが付いてしまった蜜枠で、蜜を別のコロニーのミツバチに与えるのが目的です。
既にクロヤマアリはこの蜜枠にやってきていましたが、つい2〜3日前から、クロオオアリもやって来るようになりました。
このクロオオアリの帰路を追ってみると、A巣から来ていることが分かりました。
少し意外なのは、この蜜枠で同時に見かけるのが2匹までだという点です。ここには蜜が豊富にあるにも関わらず、仲間を引き連れて来ないようなのです。その理由として考えられるのは、A巣が比較的遠方にあることや、蜂蜜の嗜好性についてですが、確かなことは分かりません。
B16015は、6月19日に、自宅の庭にミツバチの巣箱を使って移植したクロオオアリのコロニーです。そのコロニーが、引越を始めていました。
気づいたのは6月29日のことで、早朝に庭を見回っていた時のことでした。
先ず目に付いたのは、繭を運んでいるところでした。芝地の斜面を上へと歩いていきます。少しして、そこより下の方を見ると、同じく繭を運んでいる複数のクロオオアリがいました。
これは、6月19日に移植したコロニーが引越をしているところだろうと思い、更に下の方にあるミツバチの巣箱を見ると、ちょうど仲間を咥えて歩いていくクロオオアリがいました。
やはり、B16015が引越を始めているようです。もう一度斜面の上の方を見ると、階段として踏み石にしているコンクリートブロックと芝生の間に繭を引きずり込んでいました。
後に続くクロオオアリを観察しても、同じ場所で繭を引き込んでいきます。この場所に巣を作ったようです。その場所は、コンクリートブロックの階段の上から2番目でした。
幼虫を運び出しているところも見ました。
初めに引越に気づいてから2時間ほど経っても、まだ繭を運び出しているところを見ました。
この引越はいつから始まっていたのか、また何時頃終わりそうなのかが全く分かりませんでした。ミツバチの巣箱の蓋を開けて、人工巣アンテネストを見ると、まだ引越前とほとんど様子が変わりませんでした。引越は始まってまだそれほど時間が経っていないように思えました。
引越の際、女王アリがどのようなタイミングで移動するのかを観察したかったのですが、これ以上時間を取って観察しても、しばらくの間は女王アリの引越に出会せないように思え、9時に観察を終了しました。
それから、1日置いて7月1日、ミツバチの巣箱を開けてみると、アンテネストの中のアリの部屋が空になっていました。
2匹ほどアンテネストの中で働きアリを見ましたが、女王アリも含め引越は既に完了しているようでした。
引越先の巣の場所は分かってはいましたが、巣口を特定するために、コンクリードブロックに接する芝を刈りました。すると、コンクリートブロックの1つの穴が一部むき出しになり、穴の中から働きアリが飛び出してきました。
コンクリートブロックの穴を巣として利用しているのかも知れません。だとすると、上下左右の4面はコンクリートに覆われ、安全が確保されていると思われます。
芝を刈ったために、不用心にも空いてしまった前面の穴を塞がなくてはならなくなりましたが、辺りには穴を塞ぐ材料が無いように思いましたので、真砂土で周囲を覆いました。
1時間ほど経つと、巣口は適度に塞がれていました。
今回の引越先は、意外にも移植した場所からかなり離れた場所でした。
直線距離にして7.8mです。人間にとっては極近くですが、クロオオアリにとっては、たいそうな距離です。上掲の6月29日の8時31分撮影の繭を咥えたクロオオアリの足跡を追ってみると、ミツバチの巣箱から新巣の巣口に到着するまで、17分強かかっていました。直線距離を使って計算するのは必ずしも妥当ではありませんが、分速にするとおよそ46cm/分になります。この数値は、繭を運んでいたとは言え、クロオオアリの通常の歩く早さからするとかなり遅い数字です。その原因として考えられるのは、主に芝生の上を移動したからでしょう。もっとも、巣口から下方にあるコンクリートブロック9箇所については、全て平面を横断していました。これはクロオオアリなりの知恵のようなものなのでしょう。
どのような過程で、こんなにも移動するには不便な場所を見つけ、移動先として選んだのか興味深いところです。
ところで女王アリは引越の過程のどの時点で移動したのでしょうか。今回は、というか今回もなのですが、ついに出会すことはできませんでした。私がひそかに思っていることは、女王アリが引っ越すのは夜間なのではないかということです。鳥に襲われるのが一番危険だと思うのです。
6月19日に「ミツバチの巣箱で「移植」その3(B16015)」を行いましたが、その際、ミツバチの巣箱のすぐ傍にクロオオアリの巣穴があるのに気づきました。
この場所に突如、巣穴が空いたと言う感じで、少し驚きでした。一番近いところにあるクロオオアリの巣はA巣で、5.7m離れていて、次に近いところにある巣はB巣で、7m離れています。これだけの距離離れていますので、同じ巣だとは考えにくく、新発見のコロニーの可能性が高いと思いました。ただ、この日は別のコロニーなのかを確かめることはしませんでした。
それから2日後の6月21日、この新発見の巣穴の中に棲むクロオオアリが、これまでとは別のコロニーなのかを確かめることにしました。
A巣には巣口が主に2箇所あるのですが、その内この新発見の巣口に最も近い西寄りの巣口に帰ろうとしているクロオオアリをフィルムケースで捕らえ、新発見の巣口の上に被せました。
巣口には入ろうとしません。もしかすると巣口があることに気づいていないのかも知れません。もし、この巣口がA巣の巣口なら、この働きアリはすぐに自分のコロニーの出入り口であることに気づくはずです。
それからほんのしばらくして、この巣口へと向かってくるクロオオアリがいました。そこで、そのクロオオアリも同じフィルムケースで捕らえました。すると、すぐに栄養交換が始まりました。
そのまま、巣穴の上に移動しました。
しばらくすると、どちらが先かは分かりませんでしたが、2匹共に巣穴に入っていきました。
巣穴を覗いて見ると、そのうち1匹は完全には巣穴の中に入っていないようです。
腹部の膨らみから、A巣の近くで捕らえたクロオオアリのように見えます。
2匹が巣穴の中に入ってから3分26秒後に、A巣のクロオオアリと思われる働きアリが巣穴から出てきました。そこでこのクロオオアリを捕らえ、A巣の巣口の近くで放ちました。すると、A巣の巣口の中に入っていきましたので、このクロオオアリがA巣の成員であったことが確かめられました。
同じように、A巣の近くで更に2匹クロオオアリを捕らえ、それぞれ同じようにクロオオアリが入ったままフィルムケースを巣穴に被せましたが、この2例ではクロオオアリはいずれも巣口の中には入っていきませんでした。その後、A巣の巣口の近くに放ち、いずれもA巣の巣穴に入っていくのを確認しました。
以上のことから、この新発見の巣のクロオオアリとA巣のクロオオアリとは友好的ですが、別のコロニーのように思えます。
次に、夕刻になって、B巣のクロオオアリと思われる働きアリをB巣の近くでフィルムケースで捕らえ、新発見の巣穴に被せました。このクロオオアリは、人工的に設置している蜜器の蜜を吸って帰っていくところだったようです。腹部が膨れています。
4分ほどすると巣穴の中に入っていきました。
2匹目でも観察することにしました。今度は、B巣から出てきたクロオオアリをフィルムケースで捕らえ、新発見の巣穴に被せました。このクロオオアリは、腹部が膨れていません。このクロオオアリも、新発見の巣穴に入っていきました。
1匹目のクロオオアリが巣穴に入ってから、10分ほども経って、1匹目と思われるクロオオアリが巣穴から出てきました。
10分ほどの間、巣の中で何をしていたのでしょう。それから1分ほど経って、もう一匹クロオオアリが出てきました。
巣から出てきたこれら2匹を再びフィルムケースで捕らえ、B巣の近くで放ちました。2匹共に、B巣の巣穴に入っていきました。
以上のことから、この新発見の巣のクロオオアリとB巣のクロオオアリとは、喧嘩はなかったようですが、別のコロニーのように思えます。
この新発見の巣をM巣と名付けることにします。
今年も異常気象なのでしょうか、私が住む中国地方では6月26日に梅雨入りしました。これは、記録が残る1951年以降で最も遅い梅雨入りだそうです。
そのためか、今年はクロオオアリやムネアカオオアリの結婚飛行の日を見誤ったようです。採集旅行には4回出かけましたが、結婚飛行のピークの日に出会うことなく、今年の採集を終えることになりました。
6月11日に自宅の庭で、本格的なクロオオアリの結婚飛行を観察してから、翌日の12日から14日まで長野県へオオアリの採集に出かけました。これまでに3回、岡山県の蒜山高原へ採集旅行に出かけたことについては、既にブログに書いた通りですが、4回目に当たる長野県では、1匹も新女王アリを採集することはできませんでした。既に、クロオオアリもムネアカオオアリも結婚飛行は終わっていたようです。どの巣穴を覗いて見ても、巣穴は小さく、羽アリの姿はありませんでした。
これまでに分かっている今年の結婚飛行のピークの日は次のようになります。(市町村名も分かっていますが、ここでは県名のみ記載します)
5月23日 栃木県(ムネアカオオアリも)
5月25日 長野県(ムネアカオオアリも)
6月03日 香川県(クロオオアリのみ)
そして、自宅の岡山市では、6月11日(クロオオアリのみ)
これのみの情報からは、より北方でしかも高度が高いところの方が、結婚飛行が早かったことになります。このようになったのは、やはり、各地方間の気象の違いによるのでしょう。
昨日10日は、庭のクロオオアリの結婚飛行が、おそらく雨が降り出したためと思われますが、中断してしまいました。今日は夕刻ににわか雨はなさそうなので、本格的な結婚飛行が行われるのではないかという期待がありました。
13時過ぎにA巣を見ると、巣口の中に羽アリが見えました。
それから30分ほどすると、僅かですが有翅女王アリが地上に出ていました。
そして、13時46分には、有翅女王アリが1匹飛び立ちました。
所用のため、観察の空白が出来てしまいましたが、15時半前に観察に行くと、既に多くの有翅女王アリが巣口から出ていました。
それからは、盛んに有翅女王アリが飛び立っていきました。15時25分から58分までの33分の間に、数えられただけでも30匹ほどの有翅女王アリが空高く飛び立ちました。(この間は、A巣の巣口の中で最も西側にある巣口のみを観察していましたから、東へ1.8mの場所にあるA巣の巣口から出て飛び立った女王アリの数は入っていません。)
ところが16時になるととても急な感じで、結婚飛行が終結していきました。働きアリが、女王アリに巣に戻るよう促したようです。
そして、10分も経たない16時9分には、有翅女王アリの姿が消えてしまいました。
A巣の東側の巣口の周りからも羽アリの姿が消えました。ただ1匹の有翅女王アリが、巣穴へと戻っていきました。
ところで、有翅女王アリが姿を消した直後の働きアリの動きを見ていると、その動きには意味があるように思えました。
小枝に1匹、切り株に5匹ほど働きアリが見えますが、いずれも素早く動き回って、何かを捜しているように見えます。推察するしかありませんが、まだ巣に戻っていない有翅女王アリがいるかどうかを調べているように私には見えたのですが、どうでしょうか。
さて、これでやっと本格的な結婚飛行が行われたようです。昨年は、同じA巣で、5月16日に本格的な結婚飛行を観察しましたから、今年は1ヶ月近くも遅い結婚飛行となります。ただ、以上の観察からも分かるように、今日の結婚飛行は、飛び立った羽アリの個体数からもピークであるとは思いますが、まだ巣の中には有翅女王アリが残っています。昨年は同じA巣で2度目の大きめの結婚飛行を観察していて、その2度目は、最初の結婚飛行の22日後でした。今年もA巣の2度目の大きめの結婚飛行があるのかも知れません。
もう何時頃からか、二十世紀ナシにアブラムシが付いていました。そこにクロオオアリがやって来ていました。
その様子を見ようと下から覗き込むと、クロオオアリたちはとても慌て出し、ドラミングをしてカサカサと葉音をたてます。こんなにまで、興奮するクロオオアリを屋外で見ることはまずありません。その行動が不思議なのは、息を潜め、普通に距離をとって、本当にそっと見るだけなのに、クロオオアリがそれを感知することです。
クロオオアリはいつも人間が近づいても何の反応もしません。人間の姿など、見えていないかのようです。蜜を飲んでいる時も、地上を歩いている時も、結婚飛行の時も、……、人間が近づいたからといって、何も反応がないのです。
それなのに、梨の木のアブラムシのところにいるクロオオアリだけは、意外な反応を示すのです。いったいクロオオアリは、どのような感覚を使って人間の何を察知しているのでしょうか。それが分かりませんでした。
さて、このアブラムシは、ナシミドリオオアブラムシのようです。
ナシミドリオオアブラムシが梨の木に付くことについては、複雑な思いがあります。というのは、一方ではナシの害虫ですから駆除しなくてはならないのですが、他方ではクロオオアリにとっては貴重な蜜源なのです。そこで、ナシミドリオオアブラムシが適当な数に留まるように、間引くことにしました。毛の部分が固めの絵の具筆を使って、葉の裏面についているアブラムシを撫で落とします。但し、アブラムシが付いている何枚かの葉はそのまま残しました。
ところで、ナシミドリオオアブラムシを実体顕微鏡で見ると、とても意外な動きをしていました。
ナシミドリオオアブラムシの腹部の先端から球形をした透明な甘露が出たり入ったりしていました。ちょうど夜空の星が瞬いているかのようです。このリズミカルに出入りしている甘露をクロオオアリは摂取しているのでしょう。
よく目にする記述に、例えば「アリは、2本の触角でトントンとアブラムシをたたきます。すると、アブラムシはお尻から液体を出します。アリは、その液体を吸い込みます」と言うのがありますが、今回の観察だけで言えば、そもそもアブラムシは、アリが触角でアブラムシをたたかなくても甘露を出している、と言えます。
結婚飛行における働きアリの役割とは、どんなものなのでしょうか。
クロオオアリで観察してみましょう。
結婚飛行中またはその前後の働きアリの動きを次のムービー(6月1日撮影 再録)で見てみます。
働きアリと羽アリは巣口の周りに出ていて、働きアリが大きく身体全体をぴくぴくと動かしています。ただ、働きアリが羽アリに接して、そのぴくぴくする動きを伝えているとは限りません。働きアリ同士で動きを伝えあっている場面も多く見られます。
有翅女王アリへの働きアリの働きかけについては、5月26日のブログ「女王アリが出てきた」で取り上げています。
引用:「この写真(下の写真)には、働きアリが有翅女王アリにしているある行為が写っています。よく見ると、働きアリが女王アリの翅を咬んでいるように見えます。写真では分かりませんが、数匹の働きアリが、この女王アリの周りで何らかの働きかけをしていました。想像に過ぎませんが、巣に戻るように働き掛けていたのではないかと思います。」
次に紹介するムービーでは、結婚飛行を終える時刻になったのでしょう、その時の働きアリが雄アリへ働きかける様子が映っています。画面中央上方を見て下さい。
働きアリが雄アリに巣へ戻るように促したのでしょう。この時巣口から外に出ていた何匹かの雄アリは、巣に戻っていきます。複数の働きアリ同士が申し合わせたかのように、あちこちで雄アリを誘導したかにみえます。
以上の3例の観察から、結婚飛行における働きアリの役割はとても大きいと言えそうです。
自宅の庭のA巣で、6月1日に初めて雄アリが飛翔するのを観察しましたが、今日(6月8日)になって初めて有翅女王アリが飛翔しました。
巣口から出てくるところは見ませんでしたが、気づくと巣口から少し離れたところを急ぎ肢で歩いていました。何回か飛翔を試みていましたが、芝生の上からは飛び立てない様子でした。そこで、近くにあった散水ホースの一部をヤマモモの木の根元に寄せ、その散水ホースへと女王アリを導くと、案の定、そのホースの上を歩き始め、ヤマモモの木の根元に着くと、何のためらいもなく、木に登り始めました。やがて、木の上方で一休みしてから、飛び立ちました。宙に舞うところは見られませんでしたが、おそらく無事に空高く飛び立てたことでしょう。
それからほぼ1時間後の16時半頃、1匹の有翅女王アリが芝生の上を歩いていました。
やがて、ビデオ撮影をしていた三脚に上り、一番上から飛び立ちました。
ところでこの日を振り返って見ると、14時過ぎには巣口に羽アリが現れていました。
そして、16時台が一番の最盛期のようでした。
その時間帯に19匹の雄アリが飛び立つのを見ています。羽アリが現れた巣口は、今日の場合はこれまでの4箇所から2箇所になっていて、その2箇所を交互に見たり、また写真も撮ったりしていましたので、雄アリが飛び立つのを全て見られたわけではありません。ですから、実際にはもっと多くの雄アリが飛び立ったと考えられます。
ところでこの日、羽アリが出てくる新たな巣口を見つけました。
この場所は、これまで観察していたA巣の巣口から西へ1.8m離れた場所にあります。
この巣はA巣だと考えられます。(根拠については「「誘拐」されたクロオオアリは巣に戻れるか(1)」を参照)
2匹目の有翅女王アリが現れた時、それまで観察していた巣口からは歩いてくる方向が違っていて、また、巣口を見ていたにも関わらず突然現れた感がありましたが、この新たな巣口を見つけて、疑問が解けたように感じました。この2匹目の有翅女王アリは、この木の切り株の麓の巣口から出てきたのでしょう。
17時頃には、巣口から出ている羽アリはもういなくなっていました。
下のムービーは、16時13分から3分間の巣口の周りの様子を撮影したものです。
5月29日と30日は、再び蒜山高原へクロオオアリとムネアカオオアリの新女王アリを採集しに出かけていましたが、1匹も採集できませんでした。
まだコロニーの規模が小さい場合は、羽アリは生まれていません。ですから、羽アリが巣口から現れない巣もあるのですが、どの巣口からも、2日とも午後になっても、羽アリは出て来ませんでした。
まだ、結婚飛行の時期ではないのでしょうか。そうだとすると、昨年の5月15日、一昨年の5月20日前後とはかなり遅くなっています。
さて、自宅の庭のA巣ですが、5月26日になって初めて有翅女王アリが巣口から出てきたことは既にブログで書きましたが、27日以後を振り返っておきます。
27日の岡山市の天気(但し観測地点は同じ岡山市でも自宅とは9.98km北東にあります)は、
最高気温(℃) 27.3 (10:40) 最低気温(℃) 17.7 (05:30)
積算降水量(mm) 0.0 最大風速(m/s) 5.1 (09:20) 積算日照時間(時) 2.2
気温は高めで雨は降りませんでしたが、日照時間から分かるように曇の日でした。この日は終日、巣口に羽アリは出てきませんでした。
28日の岡山市の天気は、
最高気温(℃) 20.9 (12:50) 最低気温(℃) 15.7 (24:00)
積算降水量(mm) 6.5 最大風速(m/s) 6.4 (16:50) 積算日照時間(時) 0.0
気温は低めで、降水量や日照時間から分かるように雨の日でした。この日も終日、巣口に羽アリは出てきませんでした。
29日の岡山市の天気は、
最高気温(℃) 26.3 (17:20) 最低気温(℃) 13.2 (05:30)
積算降水量(mm) 0.0 最大風速(m/s) 7.0 (17:50) 積算日照時間(時) 7.2
日照時間が長い割には最高気温が26.3℃止まりでした。この日、蒜山高原へ出かけたのですが、13時前に出発しました。出発直前にA巣の様子を見ましたが、巣口に羽アリの姿はありませんでした。おそらくこの日も結婚飛行は行われなかったと思われます。
30日の岡山市の天気は、
最高気温(℃) 27.6 (14:20) 最低気温(℃) 12.3 (04:20)
積算降水量(mm) 0.0 最大風速(m/s) 4.9 (15:40) 積算日照時間(時) 12.3
気温は高めで日照時間から分かるように終日晴でした。蒜山高原にいましたが、15時頃、A巣の様子をビデオ通話で見たところ、巣口に羽アリが出ていないようでした。
31日の岡山市の天気は、
最高気温(℃) 22.6 (11:00) 最低気温(℃) 17.8 (23:00)
積算降水量(mm) 0.0 最大風速(m/s) 6.2 (12:00) 積算日照時間(時) 0.1
気温は低めで、日照時間から分かるように曇の日で、降水量は0ですが小雨が時々降りました。この日も終日、巣口に羽アリは出てきませんでした。
そして今日6月1日の天気は、
最高気温(℃) 28.3 (14:40) 最低気温(℃) 15.1 (05:10)
積算降水量(mm) 0.0 最大風速(m/s) 6.6 (17:00) 積算日照時間(時) 11.7
気温が28℃を越え、日照時間も長くなりました。
13時半頃にA巣を見に行くと、巣口の中に有翅女王アリが見えました。
今日は、巣口から羽アリが出てきそうです。それから1時間ほどして再びA巣の様子を見に行くと、これまでになくたくさんの雄アリと働きアリが巣口から出ていました。
更に16時頃になると、明らかにこれまでになくたくさんの羽アリが出ていました。
そこで、16時11分からビデオで巣口の様子を記録することにしました。
ビデオの説明
0分12秒 女王アリAの頭部が見え始める
0分36秒 雄アリAが1匹飛び立つ
1分03秒 雄アリBが1匹飛び立つ
1分29秒 女王アリAの全身が見える
1分47秒 女王アリBの頭部が見え始める
1分56秒 女王アリBの全身が見える
1分58秒 女王アリCの頭部が見える
2分01秒 女王アリDの頭部が見える
2分07秒 この前後、4匹の女王アリが同時に映る
2分13秒 女王アリAが巣の中に入る
2分13秒 女王アリCがいったん消える
2分22秒 女王アリCの頭部が見える
2分31秒 女王アリDが巣の中に入る
2分32秒 女王アリBが巣の中に入る
2分40秒 女王アリCの全身が見える
2分56秒 女王アリEの頭部が見え始める EはABCDのいずれかまたは別か特定できない
3分01秒 女王アリCが巣の中に入る
3分15秒 女王アリEが巣の中に入る
以後4分経過まで女王アリは出てこない
このビデオを撮影した僅かの期間が、ちょうど運良く、この日最も盛んな結婚飛行の予兆の時間だったように思います。この日の観察の限りでは、雄アリが僅かですが2匹飛行し、有翅女王アリは4匹確認できました。
それから1時間も経たない17時前から、もうすっかり結婚飛行の予兆はなくなっていました。
A巣の巣口で、今年初めて雄アリを見た翌日の22日、朝から正午までは巣口にアリの姿はほぼありませんでしたが、13時前になると、巣口にアリが集まるようになりました。
13時58分に撮影した写真をコンピュータに取り込んで、穴の中を明るくして見ると、有翅女王アリらしいアリが写っていました。もし、そうであれば、今年初めてカメラで有翅女王アリの姿をとらえたことになります。
下の写真は午後3時前に撮影したものですが、今日は昨日と比べて、巣穴から出てくる雄アリは少なくなっていました。
4月22日・23日に引き続き、三度クロオオアリを「移植」することにしました。これまでの移植では、クロオオアリやムネアカオオアリにしてみれば、いわば強制的に「移植」させられたのですが、今回は「自発的」な「移植」になるようにします。
移植するコロニー:B16021 (2016年6月11日に蒜山高原で採集した新女王アリのコロニー 当初から研究用アンテネストで飼育)
この研究用のアンテネストが入る箱を用意します。箱の条件としては、風雨を防ぎ、遮光でき、箱の中が高温にならないもの、外界と出入りできる穴があること、そして簡単に中にアクセスできること、です。そんな条件を満たす箱を作ることもできましたが、ちょうど条件を満たす箱がありました。ミツバチの巣箱です。
このようにして、このコロニーのアリたちがどうするかを観察します。箱の中が気に入れば、3年間過ごしてきたアンテネストでの生活を捨てずに、このままずっと住み続けるかも知れません。そうなればそれでいいのですが、引越すれば「移植」したことになります。その際には、「強制的」な引越よりも、時間をかけて引越先としてより良い場所を探して新居を構えるかも知れません。そうなれば、それに越したことはないでしょう。
庭には幾本も果樹を植えています。冬に果樹の根元の周りに寒肥を撒いておきましたが、そのため果樹の根元の周りの芝が勢いよく繁っていました。そこで、その芝を刈っていました。モモの木の根元の周りを刈っている時、そのモモの木にかなりの数のクロオオアリが来ていました。このクロオオアリは、A巣のアリであることは、以前確かめていました。
そこで、ある実験をしてみようと思いました。帰路の環境を変えてみるのです。そのような場合、クロオオアリは迷わずに帰路につけるのでしょうか。
初めにモモの木の葉などに蜜を垂らしました。
やがて1匹目が帰り始めました。果たして迷わずに巣へと帰れるのでしょうか。
迷う様子もなく斜面を下っていきました。2匹目も、3匹目も、4匹目も同様に迷う様子はありませんでした。
10匹目まで観察しましたが、その全てのクロオオアリが、帰路を迷う様子もなく巣のある方へと進んでいきました。
では、その10匹が全て同じ道を辿って帰っていったかというと、そうではありませんでした。
帰路の途中に敷石があるので、その敷石を目印として観察してみました。本ブログの上から4番目の写真「フィールド写真」に写っている一番手前の敷石をA、次の奥手の敷石をB、更に次の奥手の敷石をCとすると大体の帰路の経路を次のように分けることができました。
A:3番目と7番目のクロオオアリ
B:4・6・8・10番目のクロオオアリ
C:5・9番目のクロオオアリ
以上の観察から次のことが言えそうです。
① クロオオアリの場合、いつもの餌場からの帰路では、帰路の環境が変わっても巣のある方へと迷うことなく帰ることができる。
②クロオオアリの場合、いつもの餌場からの帰路では、その辿る道筋は個体によって違っている。
2014年3月8日のブログ「クロオオアリの子育て 着々と」で、クロオオアリのコロニーの子育ての様子に触れていますが、そのコロニーと今飼育しているクロオオアリのコロニーの子育てを比較してみましょう。
そのブログでは、「比較的大きな家族のクロオオアリ」の様子に触れています。そして、そのコロニーは、「冬の間も書斎においていましたので、20℃前後の室温の中にいる時間が多くありました」とあり、「2月下旬に繭が1つあることに気付いていました。幼虫がもう大きくなっているようでした。……繭の数が増え、巣全体で4こになっていました」とあります。
ところで、今飼育しているクロオオアリの中で、よく繁栄しているコロニーの一つにS/N:B120614があります。このコロニーの女王アリは、2012年の6月14日に採集していますので、創巣から7年目を迎えようとしています。このコロニーの現時点での様子は下の写真のようです。
たくさんの幼虫がいて、卵もあります。幼虫は昨年孵化して越冬したものと思われます。また卵はこの春になって生まれたものです。けれども、繭は見当たりません。
2014年の場合の3月8日からすると、今日の5月5日はおよそ2ヶ月も経っているのですが、それでもまだ蛹(繭)になっていません。この成長の違いはいったいどこから来るのでしょうか。
ちなみに今飼育している部屋は、2014年の時とは違って、冬も春も暖房をしていませんでした。そこで考えられることは、飼育していた部屋の室温の違いです。おそらくそれが、成長の違いとなって現れたのでしょう。
5月26日に、22日と23日に移植したクロオオアリの遮光のための板と外枠にしていた透明ケースを外しました。
22日に「移植」した2つのクロオオアリのコロニーの内、BK17162は、飼育ケースの中で女王アリの死体が見つかりました。働きアリの姿はありませんでした。
BK17075を見ると、巣穴から土を運び出している働きアリがいました。
しばらくして、花壇の岩の上を歩いているクロオオアリを見つけました。体格からして移植したコロニーの働きアリのようです。そこで、岩の上に蜜を垂らし、蜜を飲ませました。やがて帰路についたその働きアリの後を追ってみるとBK17075の穴の中に入っていきました。
23日に「移植」した5つのクロオオアリのコロニーの内、BH18006は、飼育ケースも取り除くと、飼育ケースの下に巣穴がありました。
それから1時間ほど経って見ると、その巣穴を1匹の働きアリが塞いでいるところでした。やがて塞ぎ切ると、自身も巣穴の中へ入ろうとするのですが、すき間がなかなか見つからないようで、かなり苦労している様子でした。それでも何とか体を押し込むようにして巣の中に入っていきました。
この日生存が確認できたのは、上記のBK17075・BH18006と、BH18010とBH18018の4コロニーでした。
ここでは、カラスノエンドウに付くアブラムシを使います。複数本の茎の先端付近に付いているアブラムシを採集し、冷凍庫で凍死させます。マメアブラムシとソラマメヒゲナガアブラムシが混在しています。
クロオオアリとトゲアリで調べてみましょう。クロオオアリの場合は、これまでの経験から、アブラムシは食べないだろうと予想できます。
4月24日、アンテグラウンドⅡ型をフィールドにしているトゲアリ(S/N:T140906-40)にアブラムシを与えました。
巣へと運んで行きます。
アンテグラウンドⅠ型をフィールドにしているクロオオアリ(S/N:B15006)にアブラムシを与えました。
アブラムシを咥えて運び始めましたが、巣口へと結ぶシリコンホースとは反対の方へ進み、アブラムシを置きました。その場所は、このクロオオアリのコロニーがごみ捨て場にしている場所です。
それから2時間以上が経つと、アブラムシを入れて与えた容器の中のアブラムシは全て運び出されていました。
トゲアリでは、アンテグラウンドⅡ型の中にアブラムシは残っていませんでしたが、クロオオアリでは、アンテグラウンドⅠ型の中にたくさんのアブラムシが捨てられていました。
以上の観察から、クロオオアリはカラスノエンドウに付く2種のアブラムシは食べませんが、トゲアリはこの2種のアブラムシを食べると考えられます。ただ、トゲアリの一つのコロニーだけの観察では、一般化するには不十分ですから、トゲアリの他のコロニー(S/N:T130921-09)で追試をしてみました。
すると、巣へと運んでいきました。
以上の観察から、トゲアリはカラスノエンドウに付く2種のアブラムシを食べると考えられます。