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まだ活動している庭のクロオオアリ

今年の6月5日のブログ「アンテグラウンドⅠ型」で紹介している飼育器の中のクロオオアリは、このところ、ほとんどフィールドには出てこなくなりました。

アンテグラウンドⅠ型の様子 撮影した13時32分時点では、このフィールドには、働きアリは1匹も出て来ていなかった 11月21日撮影

気温の方は、今朝は、今年の夏以降の最低の3℃(自宅の屋外気象計による)になり、いよいよ冬が間近になってきました。それでも、庭のミツバチはまだ活動していました。

巣箱を出入りしている 11月21日11時2分撮影

もうすっかり昆虫の姿を見る機会が少なくなりましたが、カマキリムシだけは、まだ庭で姿を見ます。

11月21日11時2分撮影

11月21日11時7分撮影

ところで、庭のクロオオアリは今日も地上で活動しているのでしょうか。様子を見に行くと、これまでも通路になっていた場所にクロオオアリがいました。それは、クリの木の幹に通じる道で、クリの木の上方をよくよく見ると、アブラムシが群がっている枝があり、そこにクロオオアリがいました。

11時1分撮影

アブラムシのすぐ横の枝にいたり、甘露で濡れた葉を舐めていたりしました。このアブラムシは、かなり大きな体の種で、クリの木に毎年発生しています。クリの木には目立った害はないようなので、今年からは駆除しないでいました。庭の果樹の中では唯一アブラムシを保護していて、クロオオアリをはじめ他の種のアリたちの餌場になっています。

アンテグラウンドⅠ型

「アリたちの広い活動スペースを作りたい。その中には、いつも水があり、蜜のある植物も育っている」─ そんな構想を、かなりの以前から持っていました。それをどんな形で実現するかを最近になって考えてきました。そうしてできあがったのが、「アンテグラウンドⅠ型」です。

アンテグラウンドⅠ型全体像

大きさは、450mm×600mm規格のアクリル板を使って、底面積が最大の大きさになるように作りました。
このアンテグラウンドⅠ型は、大きくは4つの部分から構成されています。
○本体(水色の部分)
○クリーナーボックス(黄色の部分)
○リフト(下の茶色の部分)
○プラントライト架台(外側の部分)

本体・クリーナーボックス・リフトの正面図

本体・クリーナーボックスの側面図

本体の中には15cm立法の水槽を入れ、濾過器をつけてメダカを飼います。

メダカは5匹入れた

この水の中にアリが廃棄物を入れたとしても、メダカの餌になって、水は腐らないでしょう。これで、アリが水を汚すことによる水変えは、必要でなくなります。またこの水は、アリの飲料水になります。水が飲みやすいように、水槽には水面に達する木製のスロープを取り付けています。

木製のスロープ クロオオアリは水辺が好きなようだ

その水槽の中のメダカに餌を与える際、蓋を開けることなく給餌できるように、蓋に穴を空けてガラス製のロートを設置しました。また、水槽の水を補給する際にも使います。

本体の蓋に径6mmの穴を空けロートを通している ロートの穴はシリコン栓で塞いでいる

水槽からは、絶えず水蒸気が出ているはずです。ところが、アクリルは水を容易に吸収し、湾曲します。すると、飼育ケースにすき間ができやすい状態になります。そこで、本体の空気を換気することにしました。取り付けたのは、4cm四方の小さなミニ送風機です。これは、コンピュータ用の冷却ファンで、USB電源で動きます。

ケースの中の空気を吸い出すようになっている

この他に何も取り付けない蓋もある

ミニ送風機の下のアクリル板には、1.5mm径の穴を多数空けています。この穴の大きさでは、クロオオアリの働きアリはくぐり抜けることができません。
ところで、ケースの中に何か物を入れる際に便利なようにある工夫をしています。それが、右側の蓋にあるアントピットです。これは傾斜のある落とし穴になっていて、例えば脱走したアリなども楽にケースの中に落とし入れることができます。

傾斜の角度は60°になっている

もちろんこのアントピットには、ケースの中から出てこられないように穴を塞ぐ蓋もついています。
さて、冒頭に書いた「蜜のある植物」も本体の中に入れています。

イチゴの苗 土の替わりになっているのがハイドロボール 肥料としては水耕栽培に有効な液肥を使っている

植物の選定には少し迷いました。本体ケースの高さの内法は22cmですから、背が高くなる植物は入りません。花外蜜腺のある植物なら、長い間蜜が集められそうでしたが、背が低い植物は見当たりませんでした。そこで、長い間に渡って花が咲き、花に蜜があり、実もできる植物として、品種名が「トスカーナ」という赤花イチゴにしました。
そのイチゴを育てるために、プラントランプを使います。2つ前の写真には、プラントランプの光がアクリル板に反射して写っています。
ところで本体の底面には1.5mmの穴を空けています。

本体底面には1.5mm径の穴が多数ある

自然界では雨が降って汚れが流されますが、同様に、本体が汚れた時に水で洗うためです。汚れを含んだ水は、この1.5mm径の穴から下へと流れ落ちます。その水を受けるのがクリーナーボックスです。クリーナーボックスは、本体の下部21mmの部分の周囲を囲んでいて、水が決して外には漏れ出さないようになっています。クリーナーボックスに水が溜まると、クリーナーボックスを本体から離して水を捨てると便利です。それには、本体を上方へ持ち上げて固定すれば良いわけです。

本体を持ち上げた時

最初から2番目の図と比べて見て下さい。上図の濃い茶色の部分は非固定の木材で、リフトと本体との間に挟むことで、本体を30mm持ち上げることができます。こうすることによって、クリーナーボックスを本体下から取り出せるようになり、その中の水を捨てることができるようになります。
このアンテグラウンドⅠ型には、左右にそれぞれ2つのアクリルパイプがついていて、クロオオアリのコロニーとホースで繋ぎます。右側にあるアクリルパイプの1つには、S/N:B110608-07のクロオオアリのコロニー(2011年6月8日に新女王アリを採集)を、左側のパイプには、S/N:B15006のクロオオアリのコロニー(2015年5月27日に新女王アリを採集)を繋げました。これまで、人工飼育下では、一つの空間を2つのコロニーが共有するということはありませんでしたので、何か新しい発見があるかも知れません。

続 トゲアリの新居

7月1日・2日、6月16日に引き続き、まだ新居を持たない残りの10コロニーのトゲアリを移転させました。
飼育器の造りは、ほぼ前回と同様ですが、少し小さめの水槽を使っています。また、巣箱は新しくデザインしました。巣箱には、閉ざされた空間があり、側面の1つの穴からのみ出入りできるようになっています。

トゲアリの新居

トゲアリは、現在のところ13コロニーを飼育していて、その内2コロニーは、昨年リトルアンテシェルフに移転させました。11コロニーは、カップ型のコンクリート人工巣やW拡張蓋で飼育していて、いつか広い飼育器に移転させたいと考えていました。

6月16日、11コロニーの内、取り敢ず1コロニー用に新しい飼育器を作りました。
この飼育器は、市販のガラス水槽を使い、アクリルで蓋と餌器を作り、木製の巣箱のようなものを入れます。

木造物を入れている パイプ状のものが餌器と水器

餌器と水器はパイプの下方に切れ目があり、大気圧を利用して漏れ落ちないようにしています。この飼育器では、敢えて土(真砂土)を敷いています。生活の汚れを吸収させる目的があります。

パイプの切れ目から蜜を飲む働きアリ

木製の巣箱のようなものをこんな風に利用している

新しいアリの飼育器を開発(オオアリ用)

土を使う飼育器「アンテネスト」を開発致しました。巣作り(巣穴)を観察することができます。
幅30mmの縦長の水槽に「真砂土」(山土)を入れます。「真砂土」は細目の篩(ふるい)にかけてあります。
水槽には、上方に活動室が付いていて、蓋を兼ねています。

アンテネスト

アンテネスト

詳しくは、こちらをご覧下さい。

新たなアリの人工巣

これまで開発してきたアリの人工巣を改良して、新たに人工巣を提供できるようになりました。9月1日から提供できるのは、大きくは3製品群で、次の3点になります。

1.システム飼育器シリーズ

basestation1
2.フォトフレーム型人工巣セット

interiariset
3.コンクリート製人工巣セット

maruconomote

1のシステム飼育器シリーズでは、ベースステーションの「アンテキューブⅡ」を改良しました。バージョンは3ではありますが、今回からはただ「アンテキューブ」のみの表記としました。また、新たに大型ユニットとして「アンテフィールド」を作りました。これは、縦も横もアンテキューブの2倍の大きさで、面積では4倍の広さとなります。更に、フォトフレーム型の人工巣やコンクリート製の人工巣と繋ぐことができるアダプター「アンテアダプター」も作りました。これより、科学的授業実践研究会が開発した全ての人工巣と繋げることができるようになりました。

2のフォトフレーム型人工巣セットでは、人工巣本体の石膏に着色することとしました。これまではつや消しのクリア塗料を吹き付けていましたが、アリの生活廃棄物の汚れを目立ちにくくするために、薄い茶系統の「サンド」色のアクリル樹脂で塗装しました。また、餌器のモートフィーダーの蓋の穴を増やしています。

3のコンクリート製人工巣セットでは、巣穴の数をこれまでの2つから4つに増やしました。また、標準の蓋を大きく改善しています。更に、「W拡張蓋」を別途開発しました。これは、蓋としての機能の他、生活スペースの拡張と他の人工巣ともつながるという2つの拡張性を持っています。

これらの人工巣の詳しい仕様などは、科学的授業実践研究会のアリ教材のページでご覧いただけます。