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クリオオアブラムシと謎の生き物

クリの木のアブラムシは、クリオオアブラムシのようです。このアブラムシは、クリの他はコナラ属(ミズナラ カシワ コナラなど)を宿主としています。今年は、クロオオアリの餌場を確保するために、このクリオオアブラムシを駆除しませんでしたが、他の果樹に広がらなかったのは、宿主の対象ではなかったためでした。来年も駆除しないでよさそうです。
今朝は、今シーズンで最も気温が下がり、庭の気象計では早朝は2〜3℃でした。天候は薄曇り主体の日でした。こんな日には、クロオオアリはどうしているのでしょうか。
午前8時半過ぎに、例のクリの木のクリオオアブラムシの様子を見に行きました。クリオオアブラムシの個体数が減っているようです。クロオオアリは来ていませんでした。

クリオオアブラムシの個体数が減っている クロオオアリの姿はなかった 8時41分撮影

再び夕刻前に見てみると、今度はクロオオアリの姿がありました。

クロオオアリが2匹来ていた 15時49分撮影

下方の幹にも帰路についているクロオオアリが1匹いましたが、寒さのためか体が動かしにくいようで、とてもゆっくりと歩いていました。

帰路のクロオオアリ 寒さの中ゆっくりと歩いていた 15時51分撮影

気温は7℃程 15時57分撮影

11月28日のブログ「クリの木に他のコロニーから来訪」で上述の箇所とは別のクリオオアブラムシの2箇所の群塊を紹介していますが、それらの群塊は既になくなっていました。それでは、上述の箇所も含めて、クリオオアブラムシはどこへ行ったのでしょうか。
地上から近い幹を見ると、黒いものが見えました。

写真上方に黒いものが見える

クリオオアブラムシが寄り添っている

アブラムシは卵で越冬するとのことですから、茶色を帯びた小さな粒がクリオオアブラムシの卵なのでしょう。
隣のクリの木にもクリオオアブラムシがいて、そちらにはクロオオアリは行っていませんが、そのクリの木の様子を見てみると、こちらも地上から近い幹に、とてもたくさんのクリオオアブラムシが集まっていました。

幹が異様に黒くなって見える

ここにも茶色を帯びたクリオオアブラムシの卵がたくさんあった

ところがよくよく見ると、幼虫のような生き物が所々に混じっていました。

この写真には幼虫のような生き物が2匹写っている

いったいこれは何の生き物なのでしょうか。ひょっとするとクリオオアブラムシを食べるある種のテントウムシの幼虫なのかも知れません。ただ、テントウムシは成虫で冬越しをするので、この時期にまだ幼虫なのは不自然ですが、成虫になり損なった遅育ちの個体なのかも知れません。もしテントウムシの幼虫なら、かなり目立つ肢が6本あるはずです。そこで、採集して実体顕微鏡で見ることにしました。

背面 左側が頭部

腹面 左側が頭部

テントウムシの幼虫の特徴である目立った肢は見つかりませんでした。それどころか、肢そのものがないようにも見えます。樹の幹や枝を移動する必要があるはずなのに、なぜ肢のようなものがないのでしょうか。ひょっとするとこの生き物は、ナメクジの仲間なのかも知れません。当初幼虫のように見えたこの生き物が、個体によって大きさが違っていたのですが、もしナメクジの仲間だとすれば、説明がよりうまく出来そうです。
それにしても、この生き物は、クリオオアブラムシとどのように繋がりがあるのでしょうか。寄生なのか共生なのか、それともただ一緒にいるだけなのか謎です。

※ この謎の生き物は、ヒラタアブの幼虫のようです。(2020年5月17日になっての知見)